人材紹介会社の起業の仕方とビジネスモデルまとめ

2020年6月1日

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「終身雇用が崩壊しつつある」と言われている現代。働き方の多様化と共に転職も身近なものとなり、人材業界の市場規模は大きくなっている。

大きな波が来ている今、人材紹介会社の起業を検討している方も多いのでは。そこで今回は、人材紹介会社の起業の仕方とビジネスモデルについて紹介する。これさえ読めば、人材紹介会社を起業するための具体的なアクションが分かるはずだ。

本記事を読むメリット

  • 人材紹介会社を起業する際に知っておきたい情報を網羅できる
  • 人材紹介会社を起業する際の具体的なアクションが分かりすぐに実行できる

人材紹介会社とは?

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人材紹介会社とは民間の職業紹介業のことである。

転職を希望する方から登録を受けた上で、企業から依頼を受けた求人の紹介を行う。「人材バンク」や「転職エージェント」と呼ばれることもある。

ただ転職先企業を紹介するだけではなく、登録者の希望業種や職種、適正を見極め、その人に合った求人をピックアップする。本人からは聞きづらい年収や福利厚生などの情報も入手し、面接から入社まで転職活動をサポートする役割を担う。

人材紹介業の要件

起業と求職者の間に入り、雇用関係の成立をあっせんする事業を「有料職業紹介事業」と呼ぶ。

人材紹介業もこれに含まれる。有料職業紹介事業を行うためには、厚生労働省からの許可が必要となる。許可の取得に必要な要件は、主に以下の4つ。

  • 財産に関する基準
  • 個人情報保護に関する基準
  • 職業紹介責任者に関する基準
  • オフィスに関する基準

この資格の取得については、後ほど詳しく解説していく。

人材派遣会社との違い

よく混同されがちな業種に、「人材派遣会社」がある。ここでは、人材派遣会社と人材紹介会社がどう違うのかを解説する。

人材派遣会社は、会社と求職者の間に雇用関係が発生する。つまり、給料を支払うのは人材派遣会社だが、求職者が実際に働くのは派遣先起業だ。

対して人材紹介会社は、あくまで求職者に求人をあっせんするだけ。求職者が働き始めたとしても、会社と求職者の間に雇用関係は発生しない。

人材派遣は、求職者が派遣先起業で働き続ける限り収入が見込めるので、安定した収入を得やすい。しかし人材紹介会社と比べると利益率は低いため、より多くの求職者を派遣させる必要がある。

人材紹介は継続して求人をあっせんしていかなければいけないので売上収入が不安定になりがちだが、利益率が高いのが特徴だ。詳細は以下の記事を参考にして欲しい。

 

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人材紹介会社を起業するには?

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厚生労働省の許可が必要な人材紹介会社の起業。起業自体はさほど難しくはないが、許可を取得するには、資産要件や事務所の立地・スペースに関して細かい規制がある。

ここでは、人材紹介会社を起業するための様々な基準について解説する。

財産に関する基準

少なくとも以下の2点を満たしている必要がある。財産に関する基準は、起業を検討している人にとって大きなハードルになる。前もって準備を進めておきたい。

  • 基準資産額が500万円以上であること
  • 自己名義の現金・預貯金の額が、150万円以上であること

個人情報保護に関する基準

今やどこの業界でも厳しい管理が求められる個人情報。人材紹介会社では求職者の個人情報を扱う機会が非常に多いため、適正に管理するための措置が講じられていることが必要となる。

職業紹介責任者に関する基準

有料職業紹介事業を行う際には、「職業紹介責任者」がいることが必要とされる。職業紹介責任者の要件は以下の通り。

  • 成年に達した後3年以上の職業経験を有する者であること
  • 厚生労働省指定団体が主催する「職業紹介責任者講習会」を受講した者であること

代表者及び役員に関しては、労働関係法令に関する知識など、一般的な事項がある。

オフィスに関する基準

面談時に求職者のプライバシーを保護して、適切に人材紹介会社を営むために、オフィスに関しても細かい基準がある。具体的には以下の3つが挙げられる。

  • 位置が適切であること
  • 事業所の面積が20㎡以上あること
  • 個人情報などを保持し得る構造であること

この他にも、さまざまな細かい基準がある。「なるべく早く、一発で許可を取得したい」という方は、許可申請のプロに依頼するのもおすすめ。お金はかかるが、プロならではのノウハウで許可取得までの時間をかなり短縮できる

人材紹介会社の起業で掛かるコストは?

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ここまで人材紹介会社を起業する上での基準や法律を解説した。

しかし、人材紹介会社の起業で掛かるコストについてあまりピンと来ていない人も多いのではないだろうか。

ここでは、人材紹介会社の起業で掛かるコストを、初期費用とランニングコストに分けて解説しよう。

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初期費用

人材紹介会社の起業にあたり、具体的に必要な金額は以下の通りである。

  • 資本金:500万円
  • オフィス賃料
  • 免許申請費用:13,400円
  • 法人登記手続き費用:20万円

これらが最低限必要になってくる。また、オフィス賃料は場所によって相場がかなり変動するため、一概には言えない。

しかし、全てまとめると600~700万円程度は必要である。

ランニングコスト

人材紹介会社の起業後は、普通の会社と同じくランニングコストが掛かる。

人材紹介会社のランニングコストは、主に「企業を集めるのに必要な費用」と「求職者を集めるのに必要な費用」の2つが大きい。

テレアポを行うのか、広告で宣伝するのかなどで費用感は全く異なる。

しかし、厚生労働省の調査によると、人材紹介会社全体の経費のうち、企業を集めるのに必要な費用は全体の8.7%、求職者を集めるのに必要な費用は全体の15.3%くらいに設定されている。

ご自身が計画されている規模感に応じて、この割合を当てはめて頂きたい。

人材紹介会社を起業するまでの流れ

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ここからは、人材紹介会社を起業するまでの流れを解説する。

ここで解説しているステップ毎に起業を進めていけば、スムーズに立ち上げへと向かうはずだ。

具体的なステップは以下の通りである。

  1. 資本金の準備
  2. オフィスの準備
  3. 許認可申請免許取得

資本金の準備

人材紹介会社を起業する前に、まずなくてはならないのが資本金の準備だ。

先程解説したが、人材紹介会社の設立には最低でも資本金が500万円以上なければ国からの許可がおりない。

したがって、貯金などの自己財産で資本金を賄えない場合は、資金調達をする必要がある。

資金調達の方法について本記事では触れないが、次の記事で具体的に解説しているので、ぜひ参考にして頂きたい。

オフィスの準備

資本金の準備ができれば次はオフィスの準備である。

しかし、オフィスに関しても国からの基準が設けられており、そこをクリアしなければ許可はおりない。

もう一度確認しておくと、オフィスの基準は以下通りである。

  • 位置が適切であること
  • 事業所の面積が20㎡以上あること
  • 個人情報などを保持し得る構造であること

人材紹介会社を起業したい人は、この基準を満たすオフィスを準備しなければならない。

許認可申請免許取得

この2ステップをクリアすれば、許認可申請免許取得に進む。

許認可申請免許取得とは、文字通り国からの許可をもらうための申請のことである。

しかし、免許取得には最低でも2,3ヶ月を要するので、速やかに立ち上げられるよう、早めの申請を推奨する。

 

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人材紹介会社 代表例とビジネスモデル

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一言に人材紹介会社と言っても、そのビジネスモデルはさまざま。ここでは人材紹介会社の3つのビジネスモデルと、その代表例を紹介する。

登録型

人材紹介会社の3つのビジネスモデルの中で、最も一般的なのが登録型。

「一般紹介型」と呼ばれることもある。企業からは求人依頼を、求職者からは登録と求職依頼を受けて、人材紹介会社が求職者の条件にあった企業を仲介するサービスだ。

代表例:リクルートエージェント

いわゆる総合的な人材紹介会社であるリクルートエージェントは、人材紹介専業の企業として先駆け的な存在感を出している。

長年のリレーションと実績から、企業の人事担当者の間でも信頼は厚い。取り扱う求人情報の業界・職種は幅広く、年間の転職支援人数においても国内トップを誇る。

サーチ型(エグゼクティブサーチ・ヘッドハンティング)

サーチ型は企業から求人依頼を受け、現在現役で活躍している人の中から、その企業に最適な人材を検索し企業に引き合わせる形態のこと。

「ヘッドハンティング」「エグゼクティブサーチ」と呼ばれることもある。

代表例:ビズリーチ

ヘッドハンティングの仕組みを日本で初めて導入したのがビズリーチだ。

国内最大級の有料会員制ヘッドハンティング仲介サイトで、登録者の属性は年収600万円以上に限定している。127,000件を超えるハイクラス求人に加え、3,900名を超えるヘッドハンターがビズリーチ上でスカウト活動を実施する。

アウトプレースメント型(再就職支援型)

アウトプレースメント型とは、人員削減をする企業の依頼を受けて雇用を続けていくことが困難になった社員の再就職を支援する形態のことである。

再就職先は、グループ企業もしくは系列以外の会社であることが多い。人員削減の頻度が高いアメリカで広まり、1990年代のバブル崩壊によって日本でも広く利用されるようになった。

代表例:マイナビキャリアソリューション

就活の定番として就活生からも企業からも高い信頼を得ているマイナビだが、アウトプレースメントも行っている。

雇用調整によりリストラの対象になってしまった社員は、家族や同僚にも相談しづらく一人で抱え込んでしまいがち。マイナビキャリアソリューションでは匿名で相談できるサ-ビスを用意して、再就職に対するプレッシャーやストレスを軽減している。

まとめ:人材紹介会社の起業は余裕をもって準備を進めよう

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今回は、人材紹介会社の起業の仕方とビジネスモデルについて紹介した。

人材紹介業は、求職者の人生を左右する大切な仕事である。十分な資本金を用意した上で、求職者をしっかりサポートできるようオフィスの環境や体制も準備しなければならない。許可取得の要件は細かく、時間がかかるので、余裕を持って少しずつ準備を進めよう。

監修税理士・公認会計士からのコメント

 

人材紹介会社は、働き手が欲しい企業と職を探している求職者とをマッチングさせるサービスです。近年、ひとつの会社に留まらずに転職する流れが顕著ですので、その需要はさらに伸びつづけると予想されています。
また、人材紹介会社はランニングコストを低く抑えられるので、ビジネス的にも成功しやすいと言えます。
なにか事業に挑戦したい人は、ぜひ人材紹介会社を選ばれてみてはいかがでしょうか。

 

 

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