EdTech導入補助金とは?概要から申請方法まで解説

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EdTechは、教育(education)とテクノロジー(technology)を掛け合わせた造語で、オンライン学習の導入やVRを使った疑似体験授業、学習効率の管理など、テクノロジーによってもたらされる教育分野の変化の総称。

教育領域に変化をもたらすビジネスやサービス、スタートアップ企業はEdTech導入補助金の申請が可能だ。

ここでは、EdTech導入補助金の概要や申請方法について解説する。

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近年盛り上がりを見せるEd Tech

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近年教育とテクノロジーをかけ合わせたEd Techが盛り上がりを見せている。

これまで教員の聖域とされて、古い体質を抜け出せなかった教育の現場にテクノロジーが入っていくことで、大きな変革が起こることが期待される。

eラーニングとの違い

eラーニングとは少し前に流行った言葉だが、意味としてインターネットを用いて学習を行うという程度のことを指していた。

一方でEd Techとはもう少し広い意味合いを含む。

例えばインターネットで講義を受けること以外にも、VRを使った学習や、学習管理の効率化などもある。

具体的な内容は次で紹介する。

具体的には?

具体的にeラーニングと定義されているのは、MOOCなどのオンライン学習や一人一人の進捗に合わせたアダプティブラーニング、VRによる疑似体験学習などが挙げられる。

これらによって場所や時間の格差がなくなることや、よりリアリティのある教育へと変わっていくことが期待される。

市場規模

日本ではまだまだ認識されていないEd Techですが、中国やアメリカではすでにかなり力が入れられている。

日本でも2023年には3000億円の市場規模になると予想されていたり、国がEd Techを推進していく姿勢を見せているため、これから大きく盛り上がっていく分野だと考えられる。

またそれによってこの分野への投資も活発になると考えられ、ビジネスのチャンスも十分にあるといえる。

Ed Techと相性がいいのは

では実際にビジネスをしていく上で、どのような事業を展開すればいいのだろうか。

ここではEd Techと相性のいいものを紹介する。

まずはプログラミング学習だ。代表的なサービスはprogateで、オンライン完結で学習が進められる。これから需要が高まるエンジニアは市場価値も高いため、大きな成長が見込める。

もう一つは英会話だ。グローバル化が進む世の中では必ず必要になる言語である。子供だけではなく、お金を持っている大人も学習意欲が高いため、事業として成功しやすいと言える。

EdTech導入補助金とは?

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近年教育現場では、ICT環境の整備とともにEdTechサービスを導入し、公平な学びとプログラミング教育などの創造性を高めるSTEAM学習の構築が必要とされている。

EdTech導入補助金とは、EdTechソフトウェア・サービスを取り扱う事業者へ経費を補助し、学校や学校設置者への負担を減らし教育現場のICT化を進めることが目的だ。

コロナ休校時にオンライン授業のあり方などが見直され、補助金額は最大200万円に増額している。学校や学校設置者である自治体などにとって、文部科学省が推進する「GIGA スクール構想」に向け、EdTechソフトウェアを導入する大きなチャンスだ。

補助対象事業となる事業、ならない事業

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EdTech導入補助金の申請は、学校や学校設置者が行うのではなく事業者が主体となって行う。EdTechソフトウェア・サービスの導入実証を行う現場となる学校教育機関のほか、教育支援センターあるいは一定の条件を満たしたフリースクールとともに計画を画し、学校設置者と連携して申請する。

つまり学校や教育機関がEdTech導入補助金を利用するためには、事業者を選び連携することが必要となる。参加事業者リストには、候補となる事業者が掲載されている。導入してみたいEdTechソフトウェア・サービスを探し、取り扱っている事業者へ打診し、条件が合えば導入計画へと進められる。

導入先となる学校設置者や学校教育機関とEdTechソフトウェア・サービス利用者に、DMの送付、EdTechソフトウェア・サービスを介した広告等の表示を行うと補助対象とならないので注意しよう。

補助対象となる事業者は、みなし大企業を含む中小企業、大企業だ。

日本国内の法人で、EdTechソフトウェア・サービスを導入できること、安定的な事業基盤を持つこと、過去に教育サービスを学校教育機関などに提供したことがあることなどの要件がある。

その他、対象事業者に求められる詳しい要件は、EdTech(エドテック)導入補助金公募要領を確認してほしい。

補助対象となるソフトウェア・サービスの要件

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補助対象となるソフトウェア・サービスは、児童・生徒・教職員が学習や指導のために使用するフロント型ツールが主な対象だ。オンライン学習ツールや学習動画、AI 教材などの学習支援コンテンツなどがそれにあたる。

学校内の業務を効率化するための校務支援ツールのようなバックヤード型ツールは単独で申請することはできない。学校と児童・生徒・保護者間で使用する掲示板などの連絡用ツールもバックヤード型に含まれる。必ずフロント型ツールと合わせて申請しなければ補助対象とならない。

クラウドサービスで児童・生徒・教職員が使用する学習の効率化ができ、料金が明確なEdTechソフトウェア・サービスであり、セキュリティ対策もしっかりと行われていることが必要だ。広く使用されているソフトウェアは対象とならないので確認必須だ。

補助対象となる経費

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補助対象となるものは、大きく導入費と宿泊費・交通費に分けられる。詳細は以下のとおり。

・導入費

EdTechソフトウェア・サービスの導入に対して教職員向けの研修や導入のサポート業務も対象に含まれ、サポート業務を委託した場合も対象経費となる。

・宿泊費・交通費

EdTechソフトウェア・サービスを導入する際に発生する交通費や宿泊費だ。

申請類型ごとの補助率と上限額は?

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申請類型は、A類型、B類型に区分される。

A類型は中小企業型、B類型は大企業複合型だ。B類型は、大企業の単独申請はできず、必ず中小企業のEdTech事業者と共同(コンソーシアム)で申請することが必要だ。A類型は、中小企業同士で共同(コンソーシアム)し申請することもできる。

補助率は、類型ごとに異なる。補助率は、各類型一律で、補助対象経費のうち導入費は補助上限・下限額の範囲内で申請すること。

それぞれの補助率と補助上限額は次のとおり。

A類型

 補助率補助上限額補助下限額
中小企業単独で申請補助率2/3以内上限額200万円×申請校数下限額60万円以上
中小企業コンソーシアム上限額200万円×コンソーシアム参加社数×申請校数下限額150万円以上

B類型

 補助率補助上限額補助下限額
大企業及び中小企業コンソーシアム補助率1/2以内補助上限額200万円×コンソーシアム参加社数×申請校数下限額150万円以上

なお、複数校に導入する場合、学校ごとの経費配分は自由だ。例えば、EdTech事業者AがA類型にて単独で申請を行う場合。3校に対して導入実証を行うとすると、200万円×3校=600万円。しかし、それぞれ200万円ずつ使用する必要はなく、それぞれの学校の状況に応じて、150万円、50万円、400万円というように配分を自由に変えることが可能だ。

交通費や宿泊費に関しては、上記の補助上限額には含めずに申請することができる。

1申請あたりの導入費の補助金額の10%もしくは、宿泊費・交通費の総額に補助率をかけた金額のいずれか低い方が上限となる。

EdTech導入補助金申請の流れ

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ここからは、EdTech導入補助金の申請方法と流れを解説する。

申請は、オンラインで行う。

事前準備

導入先へEdTechソフトウェア・サービスの導入を提案し、導入計画の協議や策定を行い、補助事業にかかる経費の見積もりをする。

申請回数には制限があるので、この段階で導入先を確定しよう。

交付申請

EdTech事業者は、事務局のホームページの「申請マイページ」でアカウントを作成し、オンラインフォームへ情報入力をする。事務局へ提出した申請内容の訂正や書類の差し替えはできないので、正確に入力しよう。

交付決定・事業実施

採否の案内はメールで案内され、申請マイページで採否の確認ができる。

交付決定すると、導入計画に基づき事業を実施する。交付決定前に発生した経費は補助対象とならないので注意しよう。

完了報告提出

期日までに完了報告を申請マイページで提出する。

事業の完了は

  • 導入先には納品・研修まで実施されていること
  • 外注・委託先には支払いまで完了していること

となる。

補助金交付手続き

完了報告内容から、実施内容が補助金ルールに則って行われたかを検査される。

報告内容が不明瞭な場合は訂正が求められ、期日内に訂正しない場合は交付決定の取り消し処分になることもある。検査に問題がなければ、「確定(予定)内容の承認」を求める通知が送られ、問題なければ補助金が交付される。

事業実施効果報告

補助事業終了後、EdTechソフトウェア・サービスの事業年度終了時点における導入状況や導入計画の報告する。

まとめ:EdTech導入補助金は新しい学びへの第一歩!

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EdTech導入補助金の活用は、オンライン学習やAI教材のような新しい学びを導入するきっかけとなる。今後、教育現場ではICT環境の整備などが進み、児童・生徒はより充実した学びへ、教職員は働き方の改善へと変化していくだろう。

文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」を進めるためにも、ぜひEdTech導入補助金を活用しよう。

監修税理士・公認会計士からのコメント

近年、教育領域におけるビジネスは拡大傾向にあります。新しい価値を提供するEdTechは益々、市場規模の拡大が期待できるため、導入を検討している方はぜひEdTech導入補助金制度を活用していきましょう。

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