【徹底解説】補助金と助成金の違い【代表的な制度の説明あり】

2020年12月30日

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補助金制度、助成金制度とは、国や地方公共団体が事業者に対して、原則返済不要なお金を支給してくれる制度である。

どんな法人にでももらえるわけではなく、公益性が求められることが多い。これにより、一定の条件や審査が必要になることも。

補助金制度と助成金制度は、扱っている金額の規模や母体が違い、また相談する専門家も変わる。

これらの違いについて知ることで、誰に相談すれば良いのか、どのように応募すれば良いのかが明確になる。

この記事では、補助金と助成金についてのプロが、それぞれの違いと審査フロー、代表的な精度をまとめた。

ぜひ最後まで見ていって欲しい。

補助金と助成金の違い

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結論から申し上げると、補助金と助成金、それらの言葉に特筆した違いはない。

経済産業省系の制度でよく使われるのが補助金、厚生労働省系の制度でよく使われるのが助成金である。

共にお金をもらえる制度だが、細かな違いはあるので以下に表に記す。

 補助金助成金
主な対象産業の復興や技術開発雇用の増加や安定
難易度
審査内容形式要件の充足と審査形式要件の充足
費用数百万円〜数億円数十万円〜百万円
公募期間年一回で数週間程度通年など長い期間
専門家中小企業診断士など社労士や行政書士

どちらも共通しているのは、お金は後払いで支払われることと、返済義務がないということである。

補助金のメリット

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補助金のメリットは以下の3つである。

  1. 助成金よりも種類が豊富
  2. 支給額が助成金と比べて比較的大きい
  3. 経費の適用範囲が広い

それぞれ説明していく。

【メリット1】助成金よりも種類が豊富

補助金は、助成金よりも種類が豊富である。しかし、全ての補助金に審査があるために、自社の事業と制度の目的・趣旨が合致する補助金を見つける必要がある。

募集用件が毎年異なり、募集期間も短いものが多いので、細かくチェックする必要がある。

【メリット2】支給額が助成金と比べて比較的大きい

助成金は多くても百万円ほどの支給額に対して、補助金は数百万円〜数億円と、支給額が大きいものが多い。

最近のもので言うと、IT補助金の支給金額の最大450万円が有名である。

ITツールの導入ならば幅広く受け付けており、「IT導入事業者」が申請や手続きをサポートしてくれるのも大きい。

【メリット3】経費の適用範囲が広い

助成金に比べて、経費の適用範囲が広いのも事実。支給される金額が大きいので、経費としてみなせる条項にも余裕があることがわかる。

補助金のデメリット

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補助金の代表的なデメリットは以下の2つである。

  1. 支給されるまでに時間がかかる
  2. 公募期間が短い

それぞれ解説していく。

【デメリット1】支給されるまでに時間がかかる

補助金は支給が決定されてから支払われるのに約一年程かかることが多い。また、申請するのに様々な書類の準備が必要になることも。

支給まで時間がかかるということは、それだけ様々な種類の経費を使う可能性があるということである。

日頃から経費精算をしておくことで、書類提出時にスムーズに動けるように準備しよう。

【デメリット2】公募期間が短い

募集期間も短いものが多く一般的には1カ月前後で、もっと募集期間が短い場合も。

補助金の受給を考えている人は、あらかじめ専門家に相談して、補助金の情報をタイムリーに入手したい。

公示されてから準備しても、内容の薄いものになってしまい、せっかく準備しても審査に通らないことも少なくない。

そのため、普段から事業計画書を作っておき、その事業計画書にあった補助金が発表されたら申請することをすすめる。

また、補助金ポータルで昨年度や概算要求がでた時点で予測して計画を準備しておくことも大切である。

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助成金のメリット

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助成金のメリットは以下の2つが主である。

  1. 通年で申請可能
  2. 要件を充足していればほぼ支給される

それぞれ説明していく。

【メリット1】通年で申請可能

助成金の多くは通年で申請可能である。通年で公募していることが多いので、焦らずに済む。

たとえば厚生労働省が実施している雇用や人材育成に関する助成金の場合、いつでも申請できるものも多い。

これは、助成金の要件に該当する場合、そのすべてに助成金を支給するという助成金ならではの特性が大きく影響を与えているからだろう。

自社にとって有益な助成金があるかどうか、一度調べてみるのも良い。

【メリット2】要件を充足していればほぼ支給される

助成金を申請するのは、企業が何らかの支援を必要とするときなので、できれば確実にその資金の支給を受けたいもの。

助成金は支給要件を満たしていればほぼ確実に支給・受給できるようになっているので、助成金に期待し、申請を行った企業にとっては大きなメリットだろう。

助成金のデメリット

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助成金のデメリットは以下の2つが代表的である。

  1. 支給額が少ないことが多い
  2. 使った経費が全額支給されるわけではない
  3. 人気の助成金だと、募集期間が短縮される

【デメリット1】支給額が少ないことが多い

助成金は補助金に比べて支給額が少ない。手間は補助金と大して変わらないので、金額に見合わないコストをかけざるを得ないことも。

また、何らかの理由で助成金の取り組みができなくなった場合、要件を満たしていないとして受給できない恐れもある。

【デメリット2】使った経費が全額支給されるわけではない

助成金のための取り組みとはいえ、経費として認められないこともある。社労士に確認を取りつつ、経費か経費でないかの判断をしていく必要があるので注意。

助成金でもらえる金額よりも、自社で使った金額の方が多いと、取り組みをしたのに赤字になってしまうので、経費精算は慎重になる必要がある。

【デメリット3】人気の助成金だと、募集期間が短縮される

助成金の多くは通年募集しているが、人気なものは受付終了になることも。

自治体にもよりますが、助成金の多くは3月末の年度いっぱい募集や受付をしている。

しかし人気のある助成金の場合、発表から2カ月程度で受付終了になるなど募集期間が短縮されてしまう場合がある。

助成金だからいつでも申請でき、必ず支給されると考えていて支給を受けられなくなる場合も十分にある。

手続きの際には注意しよう。

補助金・助成金支給の流れ

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補助金の支給の流れは、以下のようになる。

【申請】

事業者は申請する際、事業の内容や必要経費についてまとめた申請書という形で所轄の事務局に提出する必要がある。補助金の場合、その補助金を担当している部署が提出先となることが多い。

【審査】

事業者から提出された申請書をもとにして、助成金・補助金の交付を受けるのに適切かどうか事務局で審査される。

補助金の場合、税理士や中小企業診断士といった士業の有識者が審査員となって、面接や書類精査など厳格な審査を行うため、採択されない可能性も。

【採択】

事務局が補助金の交付を受ける事業者を選定し、申請された全事業者に採択か不採択かの結果を通知をする。

【交付】

採択された事業者が必要な経費などを申請する。

それが事務局に受理されると、支給対象となる事業内容や費目、そして金額(概算)が決まり、交付決定通知書が送られる。

注意点として、この交付決定通知書が届く前に事業をスタートすると、補助金・助成金が支給されない恐れがある。

【実施】

申請した内容に沿って事業を実施する。

当初の計画に沿って、事業を進めよう。ただし、補助金も助成金も原則後払いなので、その事業を実施するための費用は自分で調達する必要がある。また実施中にも、きちんと事業を進めているか検査が入ることも。

【報告】

対象事業の実績について、どんなことをしたか、どんな効果があったかを記載した報告書を作成して提出。

補助金・助成金の対象となる経費について、支払い実績のわかる領収書や契約書などのエビデンス(証拠)の用意も必要。

【検査】

事務局が申請通りに事業が実施されて、経費が適正に支出されたかをチェック。

必要に応じて現地調査やヒアリングが行われる場合も。

【確定】

対象事業が適正に行われたと認められると、補助金・助成金の支給金額が決定。

ただし、実際に事業実施にかかった費用が当初の予定より低かった場合、交付決定額が減額されることも。

また逆に、実際の費用が交付決定額より高かったとしても、原則交付決定額以上の金額は支払われない。

【請求】

事業者が確定した金額を事務局あてに請求。

もうやることはないと思って請求するのを忘れてしまうということはないように。

せっかく事業を実施しても、請求をしなければ、当然支給はされない。

【入金】

事業者の指定口座に、事務局が請求された金額を入金。

補助金・助成金にしろ、実際に入金されるのは、申請してから1年以上かかるのが一般的。

場合によっては入金されない可能性もあり、補助金・助成金での収入を見込んで資金繰りするのは避けよう。

代表的な補助金・助成金

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代表的な補助金・助成金について以下にまとめた。

  1. ものづくり補助金
  2. 受動喫煙防止対策助成金

これらについて説明する。

1.ものづくり補助金

「ものづくり補助金」は、生産性向上を実現するための革新的なサービスの開発、試作品開発、生産プロセスの改善をおこなうための設備投資を支援することを目的としたもの。

「ものづくり補助金」という略称から、製造業における工作機械が対象と考える方も多いが、業種に関係なく、生産性向上につながる設備の導入であれば、補助対象になる。

2.受動喫煙防止対策助成金

「受動喫煙対策助成金」とは、中小企業事業主が喫煙室等の分煙対策を講じる際に受けられる助成金。

この助成金制度の目的は、屋内の喫煙場所を分煙が完璧な空間のみに限定し、労働者の受動喫煙を防止することである。

商業空間の広さにもよるが、国または自治体が定めた面積を完全に分煙するための機材などを助成金で賄うことを目的としている。

まとめ:補助金・助成金を使って、より事業を発展させよう

補助金と助成金について説明した。国や自治体によって様々な制度があり、採択されやすいものもたくさんある。

知っているのと知らないのとでは、事業予算が変わるので、これらの制度については常にアンテナを貼っておきたいところだ。

監修税理士・公認会計士からのコメント

補助金や助成金はどちらも返済する必要のないお金で、中小企業や個人事業主にとっては役に立つことも多いのでしっかりと確認しておきましょう。特に立ち上げたばかりの企業は、資金繰りが難しいことも多いので積極的に利用していくことをおすすめします。

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2020年12月30日経営者の課題と解決策

Posted by taxtech-editor