経営者必見【M&Aとは?】どこよりも分かりやすく解説!!

2020年10月4日

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「事業の後継者がいない」「経営を建て直したい」などの経営者の悩みを解決するひとつの選択肢として、今注目されているのがM&A。耳にしたことはあっても、実際にどういうものなのか詳しく理解していない方も多いのではないだろうか。 そこで今回は、M&Aとは何か、M&Aのメリット・デメリットや読み方・事業承継との違いなども網羅的に解説していく。 

この記事を読むメリット

  • 近年認知が広がっている経営戦略としてのM&Aについて簡単に理解出来る

まずはM&A(Mergers&Acquisitions)の読み方から

M&Aは「Mergers and Acquisitions」の略で、「エムアンドエー」と読む。「Mergers」は「合併」、「Acquisitions」は「買収」という意味の英語。つまりM&Aとは、企業の合併買収を指す言葉だ。2つ以上の会社が1つに統合されるのが企業の「合併」、ある会社が経営を支配することを目的として他の会社の株式を買うのが「買収」。広義では合併・買収だけでなく、提携までを含めるケースもある。いずれも経営戦略に大きな影響を与える選択である。

M&Aが特に注目を集めたのは、バブル崩壊後。不良債権処理や企業再編の必要に迫られた大企業がM&Aを選択したことで大きな話題となった。当時の記憶からマイナスイメージを抱く方も少なくないとは思うが、近年では会社が抱えるさまざまな問題解決の方法として、ポジティブな意味で行われることも多い。

【M&Aとは?】どこよりも分かりやすく解説!!

資本の移動を伴う企業の合併と買収を指す「M&A」。M&Aは、大きく分けて以下の4つの目的で行われることが多い。

  • 事業承継などの後継者問題の解決を目的としたM&A
  • 新規事業などの会社の成長戦略を目的としたM&A
  • 経営再建などを目的としたM&A
  • 個人・サラリーマンの人生戦略を目的としたM&A

近年は、比較的小規模の中小企業のM&Aの流れが注目されている。その理由は、中堅・小規模企業の後継者不足が主だ。経済産業省中小企業庁の発表によると、「今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万人(日本企業全体の1/3)が後継者未定」といわれている。このデータから、将来的に多くの雇用が失われて、日本経済は大きな打撃を受けることが予想される。そのため問題解決のために、日本政府も、事業承継の課題解決のためのM&A活用を後押ししている。

M&Aには、主に以下の3つの手法が用いられる。

  • TOB:テイク・オーバー・ビット
  • MBO:マネジメント・バイアウト
  • 株式譲渡

それぞれについて詳しく解説していく。

TOB:テイク・オーバー・ビット

TOBとは、ある株式会社の株式等の買付けについて、買付け期間・価格・株式数を新聞などで不特定多数に公告した上で、株式市場外で株式等を買い集める制度のことを指す。証券取引所を通さずに取引するため、市場価格に上乗せされた株価で買い付けられる。「Take-Over Bid」の略で、「株式公開買付」とも呼ばれる。世界中で用いられている手法である。一般的にTOBにおける買付価格は市場の取引株価よりも高く設定されるため、対象会社株の保有者は市場で売るよりも得になる。

MBO:マネジメント・バイアウト

MBOとは、経営陣やオーナー、従業員など、現経営陣や経営に関与している人が自社の株式を買い取り、経営権を取得して独立することを指す。主な目的としては、経営体制や企業運営の見直し、上場廃止などがある。自社にもともと関与している人が経営権を獲得することで、意思決定のスピード化が図れるようになる。株主や投資家の意向に左右されず、自由で柔軟性のある経営が可能になるのがメリットだ。中小企業でも、後継者が見つからないときにMBOが行われるケースがある。

株式譲渡

中小企業のM&Aで利用される場合、その多くは株式譲渡か事業譲渡を選択する。中でも最も簡単なのが株式譲渡である。株式譲渡では、個人や会社のオーナーが保有する株式を売買して、買手に会社の経営を承継させる方法である。株主が法人となった場合は、売り渡された会社は子会社化され、事業をそのまま継続することが可能だ。手続きは売手と買手が合意した内容の株式譲渡契約書(SPA)を締結して、株式の対価の支払いが行われたら、株主名簿の書き換えを行うだけ。M&Aの方法の中では、かなり簡単な手続きで完了する。

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【M&Aとは?】のメリット

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M&Aにはどのようなメリットがあるのか。譲受企業(買い手)と譲渡企業(売り手)、それぞれのメリットについて紹介する。

譲受企業(買い手)にとってのメリット

M&Aを行うことで、譲受企業(買い手)にとっては以下のようなメリットがある。

  • 新規事業への参入
  • 既存事業の強化
  • 事業拡大に伴うコスト削減

企業を成長させるための選択肢として、多くの経営者が視野に入れる「新規事業への参入」。しかし全くの0から新規事業をスタートするとなるとかなりの初期費用が必要で、成功するまでに時間がかかることもある。新規事業を行いたい場合、既にある程度実績を積んでいる企業から譲り受けた方が参入のハードルは低くなり、人材や資源を引き継げるためコストも削減できる。また、既存事業との関りがある企業を合併・買収することで、既存事業の強化にもつながる。こういった点から、譲受企業にとってはM&Aを行うことで事業の成長を加速させることができる。

譲渡企業(売り手)のメリット

M&Aを行うことで、譲渡企業(売り手)にとっては以下のようなメリットがある。

  • 事業承継問題の解決
  • 企業の存続・発展と社員の成長
  • 個人保証の解除
  • 創業者利益の実現
  • 従業員の雇用が守られる

譲渡企業にとってのメリットは、事業承継問題の解決や企業基盤の強化ができることである。後継者問題に悩む企業は近年増えてきており、せっかく育った事業が存続の危機に直面することも。M&Aを行うことで後継者を見つけ、今までの事業を存続させられる。また資金調達の手法としても効果的である。

【M&Aとは?】のデメリット

会社経営におけるさまざまな課題を解決するM&Aだが、悪いこともある。ここでは、譲受企業(買い手)と譲渡企業(売り手)、それぞれのデメリットについて紹介する。

譲受企業(買い手)にとってのデメリット

M&Aを行うことで、譲受企業(買い手)にとっては以下のようなデメリットがある。

  • 融合に時間がかかる
  • 優秀な人材の流出
  • シナジーが生まれない
  • のれん代の減損リスク

今まで1つの企業で行っていた事業に、別の組織だった企業が大きく関わることになるため、融合には時間がかかることが多い。すり合わせをしっかり行う必要がある。見込んだ収益が出ないリスクは検討しておかなければならない。

譲渡企業(売り手)のデメリット

M&Aを行うことで、譲渡企業(売り手)にとっては以下のようなデメリットがある。

  • 最適な買い手が見つかるかといった問題
  • M&A成約後の従業員と組織の問題

M&Aを行うと決めても、良い譲受企業が見つかるかどうかは分からない。最適な買い手が見つからなかった場合、金額面や条件面において妥協しなければならないこともある。M&Aの手法によっては、従業員は譲受企業と再契約が必要になることも少なくない。M&A成約後も自社の従業員を守るために、労働条件をよく確認して納得してから締結することが大切である。

M&Aと事業承継との違いとは?

事業承継というのは、会社の経営を次の後継者に引き継ぐことを指す。M&Aは、事業承継のひとつの形である。事業承継にはM&Aのほかに、「親族内承継」、「親族外承継」といった3つの方法がある。特に中小企業にとって、次の経営者が誰になるのかは会社の存続に関わるとても重要なポイントである。親族や従業員の中で最適な後継者がいない場合、M&Aを用いて広い範囲から後継者を探すのが有効な手段となる。

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まとめ/監修税理士・公認会計士コメント

M&Aは買手にとっては事業を拡大するための有効な経営戦略となり、売手にとっては有効なExitの手段であるため、ビジネスにおいては最大限利用することが望ましいと考えています。M&A実行時は情報の非対称性から生じるリスクやシナジー効果をどこまで把握できるかが大事で、買手は専門家を交えて効率的に実施することが望まれます。M&Aは買収したら終わりではありません。M&A実行後は買手はどのように組織を一体化するかというPMI(Post Merger Integration)が重要になるため、どのように進めるかをM&A実行前に準備しておくとよいでしょう。特に異なる文化、制度、環境で仕事してきた人と一緒に働くことは理屈だけでは難しい部分もあり、それを乗り越える覚悟をもっておく必要があります。

2020年10月4日経営者の課題と解決策