個人の脱税はバレない?脱税の基準は?税務調査の範囲も解説

この記事を読むのに必要な時間は約 13 分です。

1x1.trans - 個人の脱税はバレない?脱税の基準は?税務調査の範囲も解説

法人の脱税がニュースになることはよくある。反面、個人の脱税がニュースになることは少なく、バレないのではと考えている人も多いかもしれない。

しかし、個人の場合でも税務調査の対象になり、脱税はバレる可能性が高い。

この記事では、個人の脱税について詳しく解説する。個人の脱税の基準や確定申告の対象となる人、税務調査の範囲についても解説するので、個人の脱税はバレないのではと考えている方は、ぜひ参考にしてほしい。

この記事でわかること

  • 個人の脱税もバレる可能性が高い
  • 脱税の基準は意図的か、悪意があるか
  • 確定申告が必要な人について
  • 税務調査の範囲。疑問に思うことは理由を聞こう
1x1.trans - 個人の脱税はバレない?脱税の基準は?税務調査の範囲も解説

個人の脱税はバレない?

1x1.trans - 個人の脱税はバレない?脱税の基準は?税務調査の範囲も解説

個人の脱税は、バレる可能性が高い。法人の脱税事件などを目すると法人のためにバレるのではと思っているかもしれないが、脱税は個人の場合でも法人の場合と変わらない。

個人の脱税は、フリーランスや自営業などの個人事業主に限った話ではない。会社員が副業で一定額以上の収入がある、投資で多額に利益を得た、不動産収入や一時所得があるなど、個人でも確定申告が必要なことはよくある。申告漏れで脱税とみなされてしまい、知らなかったでは済まない事態になることも十分に考えられる。

個人の脱税でも、法人と同じように起訴され、刑罰を受ける可能性があるのだ。

個人の脱税の基準は?所得隠しや申告漏れとの違い

1x1.trans - 個人の脱税はバレない?脱税の基準は?税務調査の範囲も解説

個人でも法人で脱税とみなされるのは所得隠しや申告漏れ。

実は、法律では申告漏れや所得隠しと脱税の違いについて、明確に定義されていない。脱税と所得隠しや申告漏れの違いは、申告漏れが意図的であるかどうか、所得隠しに悪意があるかがポイント。国税庁の調査により、金額や手口や状況などから意図的か、悪意があるかを判断する。意図的であるか、悪意があるかどうかは、本人しかわからないこと。いずれに分類されるかは、国税庁の判断にゆだねられることになる。

申告漏れ

申告漏れは、経理上の単純な計算ミス。税金をごまかすための意図的な工作は見られないことがポイントとなる。

所得隠し

所得隠しは、意図的に税金を減らすために所得が少ないように見せること。売上の隠蔽、経費の水増しなどの書類の改ざんを行っている場合を所得隠しという。脱税との違いは悪質性の高さで決まるという見方もあるが、明確な線引きは決まっていない。

脱税

脱税は、虚偽や不正な行為により意図的に納税を逃れること。所得隠しよりも悪質性が高く金額が大きいもので、検察庁に告発され刑事罰の対象となったものをいう。

【脱税をしないために】個人で確定申告が必要な人とは?

1x1.trans - 個人の脱税はバレない?脱税の基準は?税務調査の範囲も解説

申告漏れで脱税とみなされないためにも、個人で確定申告が必要な場合を把握しておくことが大切だ。確定申告とは、1年間の所得を申告し正確に納税するために行うこと。

ここでは、個人で確定申告をする必要があるケースを解説する。

個人事業主、自営業、フリーランス

自営業やフリーランスなどの個人事業主は、事業所得が48万円を超えると確定申告の必要がある。

基礎控除の金額は48万円なので、48万円未満の金額は課税対象とならず確定申告の必要はない。ここでいう所得とは、収入ではなく収入から経費を引いた金額のこと。仮に、年収が700万円あったとしても、経費が660万円かかった場合、事業所得は40万円となり確定申告の必要はない。

経費を高くすればいいのでは?と思うかもしれないが、経費ではないものを経費とする、購入していないものを経費とすると申告漏れとなる。意図的に行い納税を免れた場合は脱税となる。

不動産所得や株取引などで所得がある人

不動産所得とは、次の所得をいう。

  • 土地や建物などの不動産の貸付け
  • 地上権など不動産の上に存する権利の設定及び貸付け
  • 船舶や航空機の貸付け

参照:国税庁ホームページhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm

以上のように不動産を貸付けて所得がある場合は確定申告の必要がある。

つまり、不動産投資などで家賃収入がある場合は確定申告の必要があるということ。具体的には、不動産所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要。ただし、不動産所得が20万円未満の場合でも、確定申告をしたほうがお得になるケースも。不動産の修繕費用などで赤字になった場合に、確定申告をすることで節税できることもあるためだ。そのため、基本的に不動産所得がある場合は、確定申告は必須と覚えておこう。

株取引で利益を得た場合は、株取引に利用している口座の種類により確定申告が必要かどうかを判断できる。

株取引に利用している口座が源泉徴収ありの特定口座の場合は、確定申告の必要はない。この口座は源泉徴収選択口座ともいわれ、取引をすると自動で税金が引かれる。納税はまとめて証券会社が行うため、確定申告の必要ない。NISAで特定の株式や投資信託(MMFやMRFなどを除く)を購入した場合も、税金が非課税となるため確定申告は不要だ。

確定申告が必要なのは、一般口座と源泉徴収なしの特別口座を利用している場合。しかし、サラリーマンで年末調整を受けている場合、給与所得以外の所得が20万円以下の場合は確定申告の必要はない。また、株取引以外の所得がない場合は、年間48万円未満の所得の場合も確定申告は不要となる。

つまり、株取引で確実に確定申告が必要な人は、一般口座もしくは特定口座(源泉徴収なし)を利用して株を売買し、株売買以外で所得がある場合は譲渡益が20万円を超えている人、株売買以外で所得がない場合は譲渡益が48万円未満の人となる。

一時所得がある人

一時所得とは、以下のようなものがある。

  • 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
  • 競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)
  • 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
  • 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除きます。)
  • 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

参照:国税庁ホームページhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1490.htm

一時所得の中でも、損害保険契約の保険金、生命保険契約の給付金の一部、相続税や贈与税の対象となるものは非課税となる。

一時所得の計算方法は次の通り。

総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額

総収入から収入を得るために支出した金額から特別控除(最高50万円)を差し引いた金額だ。

収入を得るために支出した金額とは、その収入のための行為をするためまたは、その収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額のこと。例えば、生命保険の満期金の受け取りであればそれまでに支払った保険料や掛け金がそれにあたる。

特別控除は、一時所得全体に対して50万円。一時所得それぞれから50万円が控除されるのではないので注意が必要だ。

この計算式により算出した一時所得を半分にしたものが課税対象となる。年末調整を受けたサラリーマンの場合、一時所得の合計額の半分が20万円を超える場合は確定申告の必要がある。

給与所得以外の副業の所得が年間20万円を超える人

近年、国は副業を推進する流れがあり、副業解禁の企業も増加している。副業収入があるサラリーマンも増加しているだろう。サラリーマンの場合、原則勤務先で源泉徴収や年末調整が行われているため、確定申告は不要だ。

しかし、副業収入が20万円以上ある場合は確定申告が必要。副業の所得が年間20万円を超える場合は雑所得として確定申告しよう。雑所得には必要経費が認められるため、その収入を得るためにかかった経費を差し引くことが可能。必要経費を差し引いて、副業の所得が年間20万円未満の場合は原則確定申告の必要はない。

給与収入が2000万円を超える会社員

年間の給与収入が2000万円を超える場合は、勤務先で年末調整が行われないため確定申告が必要だ。確定申告をしないと、配偶者控除や社会保険料控除などの所得控除が差し引かれず、所得税や復興所得税が清算されない。年収2,000万円を超えた場合は確定申告が必要なことを覚えておこう。

2か所以上の会社から給与を受けている人

2か所以上の会社から給与を受けている場合は、まず給与を主となる給与と従となる給与に分けなければいけない。一般的に主となる給与は勤務時間が長く、給与も多い本業とする場合が多い。従となる給与が20万円を超えた場合は確定申告が必要だ。年末調整は、主となる給与にしか行えないので、残りの従となる給与分の確定申告が必要になる。

2か所以上の会社からの給与所得とは、

  • 平日は会社員として働き、週末はアルバイトをして副収入がある
  • パートやアルバイトを掛け持ちしている

というような場合があてはまる。

誰かの扶養家族となっている場合で2か所以上の会社から給与を受けている場合、基本的に2つの給与を合わせて年収103万円以上を超えた場合は確定申告が必要。給与所得者は、2種類の控除が適用される。1つ目は、給与所得者控除。給与などの収入金額が162万5000円以下であれば55万円控除。2つ目は基礎控除。合計所得が2400万円以下であれば48万円控除される。

この2つを合計した金額が103万円なので、103万円を超えた金額が課税の対象となり、確定申告の必要がある。

税務調査で調べる範囲

1x1.trans - 個人の脱税はバレない?脱税の基準は?税務調査の範囲も解説

脱税は、税務調査により明らかになることも多い。個人の場合の税務調査では、どこまで調べられるのだろうか。

税務調査は大きく分けて「強制調査」と「任意調査」に分けられる。

「強制調査」は国税犯則取締法に則り、国税局が行う調査だ。悪質な脱税の疑いがある場合に行われ、最終的に検察庁に告発することを目的としている。

「任意調査」は国税通則法に則り、国税局や税務署が行う調査のことだ。任意調査は、強制ではないので調査は納税者の許可が必要になる。個人の税務調査はほとんどの場合が、任意調査となる。

税務調査の目的は、申告内容が正しいのかを調べるために行われ、適正に納税をしているかどうかを国が調査する制度である。税務調査の対象は、法人だけではない。個人事業主やフリーランス、副業をしている人やネットで取引を行っている人などもあてはまる。

個人事業主への税務調査の場合は、法人と同様に売上金額や売上原価、必要経費や取引内容などの事業概要を詳しく調査される。さらに事業概要に基づき、申告書をどのように作成したかについても調査される。個人の場合は、生活面も調査の対象に。例えば、無申告や赤字が続いているのに生活内容が派手な場合は、お金の出どころを疑問視されることになる。取引内容が少ない場合は、簡易な調査や税務署への呼び出しだけで終わる場合もある。

税務調査の内容に疑問を感じる場合は、なぜその調査をする必要があるのかを聞く権利が納税者にはある。税務調査中は常に冷静に対応し、疑問を感じることは理由を説明してもらおう。

まとめ:個人の脱税は違法!正しく税金を納めよう

1x1.trans - 個人の脱税はバレない?脱税の基準は?税務調査の範囲も解説

個人の脱税は、違法行為だ。ニュースでは、法人の脱税を取り上げることも多く個人の脱税はバレないのではと思うかもしれない。しかし、個人の場合でも税務調査はしっかりと行われ、申告漏れがあると正しい納税を求められる。申告漏れが意図的で悪意があると判断されると脱税とみなされ刑罰の対象となるのだ。

個人でも確定申告が必要なケースは多々あるので、自分のケースがあてはまるのかをよく確認し正しく税金を納めよう。

監修税理士・公認会計士からのコメント

自分自身が確定申告が必要なケースに該当するのか、よく確認して正確に納税をしましょう。脱税には、法人・個人も関係ありません。非常にリスクが高い行為ですので、正しく納税を行いましょう。

1x1.trans - 個人の脱税はバレない?脱税の基準は?税務調査の範囲も解説