脱税に時効はある?脱税のペナルティについても解説!

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国民の義務である納税。納税からは、誰も免れることはできない。この納税の義務を故意に免れることを脱税という。

脱税は、追徴課税や刑罰を受けるなどのペナルティに加えて、社会的信用を失うためリスクが非常に大きい。実は時効が存在するが、この時効はまず成立しない。

この記事では、脱税の時効や発覚した際のペナルティについて解説する。

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脱税に時効はある?

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脱税には、時効が存在する。

時効とは、ある一定の期間過ぎると、その事実に対する罪が問われなくなる、または権利が消滅すること。脱税に時効が存在するというわけではなく、税務署の「税額の決定権」や「税金を徴収する権利」に時効が存在するのである。

賦課権は、税務署が納付者の税額を決定すること。徴収権は、税務署が確定した税額を納付するよう求めること、または強制執行することである。正確には、徴収権に対しては時効、賦課権に対しては時効ではなく除斥期間という。

 この徴収権には民法の消滅時効が適用され、国税の徴収権は、原則5年間行使しないことによって消滅する。税金の場合、納税者の意思表示(援用)がない場合でも時効が成立する。ただし、消滅権の時効には中断期間が存在する。

 賦課権は一定期間が経過すると行使することができない。この期間のことを「賦課権の除斥期間」といい中断することがない。つまり、一定期間が経過することにより、税務署長は税金の金額を確定できなくなるので納税の義務はなくなるということだ。

 賦課権の除斥期間と徴収権の消滅時効の違い

賦課権の除斥期間は、一定期間賦課権を行使しないことで税務署は権利を失う。この期間は民法上の時効ではなく、中断することはない。徴収権の消滅時効は、税務署の督促状の送付や差し押さえなどにより中断する。徴収権の消滅時効は、民法上の時効にあたる。

時効は何年で成立する?

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時効は、状況によって次の4パターンに分けられる。無申告や申告した内容に追加課税する場合は、賦課権が行使されるので時効ではなく「賦課権の除斥期間」。納税を求める徴収権には時効。

期間の違いをそれぞれ解説する。

 3年

課税標準申告書の提出を必要とする国税への賦課決定の除斥期間は3年。(国税通則法第70条)納付すべき税額を減少させるものは除く。

しかし、2021年3月現在の国税で課税標準申告書を提出する主要な国税はない。

 5年

国税の「徴収権」は、原則その国税の法定納期限から5年間行使しないことによって、時効により消滅する。(国税通則法第72条)国税の徴収権の時効は援用する必要はなく、その利益を放棄することもできない。

また、更生、決定及び賦課決定(3年の除斥期間を除く)「賦課権」の除斥期間も原則5年である。

国が国税の徴収を行えるのは法定納付期限から原則5年(贈与税は6年)。しかし、その時点で意思があったとみなされた場合は、有無を言わさず時効の期間が7年に延長される。

 7年

偽りその他不正行為により税額を免れる、または還付を受けた場合は、その時効は原則として法定納期限から2年は進行しないため、実質時効の期間は7年になる。つまり、脱税とみなされた場合の時効は7年である。(国税通則法第70条4項)

9年

法人税にかかる純損失の金額で当該課税期間に生じたものを増加、減少させる更生などの除斥期間は9年である。(国税通則法第70条2項)

※平成30年4月1日以後に開始する事業年度に生じるものについては10年とする改正がされている。

 時効の起算日はいつ?

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時効は存在するが、時効が成立するまでの期間はいつから始まるのだろうか。

国税の徴収権の起算日は原則として、「法定納期限の翌日」。例えば修正申告書を提出した場合、その提出日が法定納期限なのでその翌日からカウントされる。

賦課権の場合、課税標準申告書の提出を要する国税に関してはその提出翌日が起算日。課税標準申告書の提出を要しない国税に関してはその納税義務が成立した日の翌日が起算日となる。課税標準申告書の提出を要する国税は存在しない(※2021年3月現在)ことから、起算日は「納税義務が成立した日の翌日」となる。

 脱税のペナルティとは?

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不正行為に関わらず脱税とみなされると、刑罰を科せられる。刑罰の重さは、不正行為の種類や悪質さに応じて異なる。また、発覚することにより世間に知られることとなり社会的信用を失うリスクも。

ここでは、ペナルティに関して詳しく解説する。

 追徴税が課せられる

まず発覚すると、無申告の国税や過少申告している税額の修正申告や更正処分によって算出された差額を徴収される。

この追徴税額に加えて他の税金がペナルティとして課せられ、多額の税を納めることになる。この中でも重加算税は特に、税務署が悪質だと判断した場合に課させるペナルティ。かなり税率が高く、その計算の基礎となる税額に対して40%の税率になる。

これは、すぐに支払わなければならず、原則として一括で請求される。すでに支払っているはずの税金なので、当然だと言える。どうしても一括払いが苦しい場合は、税務署で相談すると分割払いに応じてくれることも稀にあるが、長くても1年以内に納付するように求められる。しかも、分割で納付している間にも延滞税がかかるので、分割で支払う場合は延滞税も視野に入れて慎重に検討をすることをすすめる。

 懲役や罰金などの刑罰を受ける

発覚した場合、脱税(ほ税)犯が成立する。また、不正行為がない場合でも意図的に納税を免れた場合は無申告脱犯が成立する。

刑罰を受ける場合は、国税庁に悪質と判断され検察庁に告訴した場合。故意に行っているかどうかが重要で、例えば経費ではないものを経費と思い込んで申告した場合は「申告漏れ」となり、基本的に意図的とはみなされない。

 社会的信用を失う

ペナルティは、金銭面や刑罰だけではない。告発されると、100%有罪判決を受ける。執行猶予がつき、実刑を免れることが多いが「前科」が付くことには違いない。有罪判決が出てしまうと、金融機関や取引先などの信用は一気に失うことになる。また事件は格好のマスコミのネタ。規模が大きければ大きいほど、各マスコミがこぞって取り上げ、そのダメージは深刻なものとなる。社会的信用を取り戻すことは大変な時間と労力が必要になるだろう。

時効は成立しないケースがほとんど

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時効が成立することは、100%ありえない。賦課権の除斥期間は時間経過で成立するが、徴収権の消滅時効の場合、決定するのは税務署である。税務署が見逃すことはあり得ないので、時効が成立する前に対策をすると考えるのが妥当だろう。

徴収権の消滅時効に関しては、5年で成立するが、時間が来れば成立するわけではない。徴収権には時効の中断があり、期間の途中で督促状を送る、差し押さえを行うなどがあればカウントはリセットされ、督促状の送付日から新たにカウントが始まる。

税務署が督促状を送らないことはあり得ないので、永遠に時効は来ないとも言える。脱税に時効は存在するが、まず成立しない。脱税は時間が経てば経つほど追徴課税も増える。また、刑罰を受ける、社会的信用も失う可能性があることから、リスクしかない。納税からは逃れられないと考えよう。

脱税がわかったら通報しよう

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身近で脱税をしている人がいたら通報する必要がある。

しかしどのように通報すればいいのか。通報したことがバレてしまわないかなどの不安もあるだろう。

そこでここでは通報する際の注意点や疑問点を紹介する。

脱税の通報の仕方

脱税を知ってしまったらまずは国税局に通報する必要があるが、大きく分けて2つの方法がある。

まずは公式サイトで通報する方法。国税局には情報提供フォームがある。こちらのフォームから脱税に関する情報を提供することで、国税局が動いてくれる可能性が高くなる。

もう一つ直接情報提供する方法で、電話や面接などによっても情報提供する事が可能。

通報はバレる?

もう一つ気になる点としては通報がバレるかどうかということだ。結論からいうと、隠してもらうことを希望すれば、通報はバレない可能性が高い。

しかし、捜査の必要上、どうしても開示しなくてはいけない場面がある可能性もあるので注意が必要。

通報をしたら調査が入る?

通報は税務署や国税局からするとかなり有用な情報になる。

しかし、どんな通報でも調査が入るというわけではなく、しっかりと具体的な情報でないと調査には移されない。なので情報提供する際にはいつ、どこで、誰が、何を脱税したのかということを明確にしておこう。

また通報後の調査に関しては、具体的な内容を知ることができない場合がほとんどだ。

脱税するなら節税の方がおすすめ

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ここまで時効について解説してきましたが、時効はほとんど成立しない上に、バレた場合のリスクがあまりにも大きくなる。そこまでのリスクを背負うよりも、合法的に節税をすることで減らせる税金もある。

そこで、ここでは個人事業主におすすめの節税方法を解説していく。

青色申告を行う

個人に事業主の確定申告の方法には「白色申告」と「青色申告」の2種類の方法がある。

白色申告の方は手軽にできる一方で、青色申告にすると節税上のメリットが大きくなる。具体的には65万円の特別控除といって、収入から65万円をひくことができるようになる。

ふるさと納税を行う

もう一つの方法はふるさと納税をすること。

実際には節税ではなく寄付で、寄附金額から2000円引いたものが控除として適用されるという仕組みになっている。これを行うには確定申告をしている必要があったり、控除の上限金額が決まっているので、しっかりと調べた上で行うようにしよう。

経費で落とせるものを確認する

個人事業主の税金は所得に対してかかる。つまり売上から経費をひいた金額に対してかかるので、しっかりと経費に計上できるものはしっかりと確認して、所得額を小さくすることが大切だ。

消耗品や交通費などは一つ一つは小さくても、積み重なると大きな金額になるので、しっかりと領収書をもらっておくようにしよう。

また、会計ソフトなどを利用してしっかりと会計管理をしておくことも重要。

まとめ:脱税には時効はあるが逃げられない!正しく税金を納付しよう

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脱税は、原則5年で成立する。

しかし、徴収権の消滅時効には税務署が督促状を送る、差し押さえを行うなどで中断が適用され、まず時効が成立することはない。脱税が発覚した場合のペナルティは、追徴課税などの罰金だけにとどまらない。罰金や懲役などの刑罰を受け、社会的制裁を受ける可能性も多いにある。

脱税が発覚しないことは、まずありえない。税金は正しく納付することを心がけよう。

監修税理士・公認会計士からのコメント

脱税のペナルティは、あまりにも大きすぎます。社会的信用を失うリスクがありますので、正しい節税方法を正確に知っていくことが重要です。

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