融資とは?融資の審査と融資を受ける際の注意点まとめ

2020年6月30日

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資金繰り改善のために、融資を検討している経営者は多いだろう。しかし審査の流れが見えないと、なかなか手を出しにくいもの。そこで今回は、融資の制度一覧から融資の審査の実情、融資を受ける際の注意点や融資相談の具体的な方法までを網羅的に解説していく。

本記事を読むメリット

  • 融資の概要と制度、審査の実態、注意点全てがわかる
  • いつ誰にどのように相談すれば良いのかまとめられていて参考にすることができる

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税理士監修で解説!融資とは?

融資とは、文字通りある目的のために「お金を借りること」を指す。一般的には事業のために銀行や信用金庫からお金を借りることである。

企業が利用できる融資には大きく「公的融資」と「民間融資」の2つに分類される。公的融資とは、日本政策金融公庫の融資や商工組合中央金庫など、国や地方自治体などが行う融資。民間融資とは、銀行や信販会社や消費者金融会社など、民間の銀行から受ける融資。

事業を展開するには、設備投資、人材投資などの事業資金が必要になることもある。特に創業時は、事業が軌道に乗るまでの運転資金も必要だ。そんなときに融資を受けることで、自己負担額を減らし、手元に預金を残しておける。目先の利益に捉われず、すばやく事業を展開することが可能となる。どの制度も申込みをして審査に通る必要があるため、時間に余裕を持って申込む必要がある。

融資の制度一覧まとめ

中小企業が利用できる融資制度は、大きく以下の4つがある。

  • 日本政策金融公庫
  • 地方自治体の融資制度
  • 信用保証協会
  • 民間企業の融資

それぞれについて詳しく解説していく。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫とは、政府系の金融機関である。国民生活の向上に寄与することを目的とし、その業務の一環で中小企業に広く融資を行っている。中でも利用しやすいものは、以下の通りである。

融資制度対象貸付限度額
新事業育成資金新しい技術の活用や特徴的なサービスの提供など、「新規性」と「成長性」が見込める事業を始めて約5年以内の方6億円
女性、若者/シニア起業家支援資金女性、または35歳未満か55歳以上の方のうち、新事業を始めて約7年以内の方7億2,000万円
経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)社会的・経済的環境の変化などで一時的に業況が悪化しているが、中長期的な回復が見込める中小企業7億2,000万円
IT活用促進資金情報技術の普及やITに関連した事業環境の変化に対応するための資金7億2,000万円

なお上記の制度を利用するためには、以下の条件に当てはまる必要がある。

  • 製造業、建設業、運送業:資本金3億円以下または従業員300人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下または従業員100人以下
  • 小売業:資本金5,000万円以下または従業員50人以下
  • サービス業(一部対象とならない業種もあり):資本金5,000万円以下または従業員100人以下

地方自治体の融資制度

地方自治体では、その土地で活躍する中小企業を支援するために、独自に融資制度を設けている。比較的低金利かつ長期の固定金利で借りられるので、条件が合えばぜひ活用したい。また、担保や第三者保証人もほぼ不要である。

融資制度運営制度内容
東京都中小企業制度融資東京都・東京信用保証協会・指定金融機関一般的な中小企業を対象とした一般事業資金融資や、より小規模な企業を対象とした小規模企業向け融資など
千葉県中小企業向け融資制度千葉県一般的に利用できる制度から創業資金、セーフティネットに対する資金など
埼玉県中小企業向け制度融資埼玉県・指定金融機関・埼玉県信用保証協会の三者と、申込受付機関の商工会議所や商工会など一般的な事業資金や創業資金、成長分野関連事業や人手不足対応など

信用保証協会

信用保証協会とは、中小企業・小規模事業者が金融機関から融資を受けやすくするために、保証人となることでサポートする公的機関である。金融機関などに融資の申込みをすると、並行して信用保証協会にも保証の申込みをする。審査を経て保証承諾が下り、金融機関の融資審査に通過すると融資を受けられる。独自の融資制度もあるが、これを利用するには基本的に金融機関の融資を既に受けている必要がある。追加分として活用できる制度だ。

民間企業の融資

一般の金融機関などから融資を受ける方法だ。銀行融資や信用保証付き融資、ビジネスローンなど、金融機関によってさまざまな制度がある。大手だと貸付金利は低いが、審査が厳しい傾向がある。

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融資の審査はどうなっている?

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では、具体的に融資を受けるためにはどのような流れで審査を受けるのだろうか。利用する融資制度によっても異なるが、ここでは一例として、中小企業の方が日本政策金融公庫で融資を受ける際の審査についてご紹介する。流れとしては以下のステップがある。

  1. 相談
  2. 申し込み
  3. 審査
  4. 融資

それぞれについて解説していく。

相談

まず日本広告各支店の中小企業事業の窓口に、融資を受けたい旨を直接相談する。電話や最寄りの商工会議所での定例相談も可能だ。その際、会社案内や決算書、事業計画書などの資料を持参すると具体的な話を進められる。

申し込み

融資の審査に当たって、以下の書類の準備が必要だ。

  • 会社案内、製品カタログなどの参考資料
  • 法人の登記事項証明書
  • 最新3期分の決算書、税務申告書
  • 納税証明書
  • 最新の試算表(決算月から時間が経っている方)
  • 設備投資を行うときは、概要のわかる資料(見積書など)
  • 担保の内容がわかる資料(登記事項証明書など)

必要に応じて補足資料を準備すると審査がスムーズになる。

審査

本社や事業計画予定地などに公庫職員が訪れ、事業や計画の内容について詳しく聞きながら融資の検討をする。

融資

融資が決まると、貸付契約の打ち合わせを行う。貸付契約、抵当権設定などの手続きを終えて、送金される。

融資を受ける際の注意点とは

融資を受けたことで一時的に会社のお金が潤い、「これで資金繰りは大丈夫」と胸をなでおろす経営者もいるだろう。しかし当たり前だが、借りたものは返さなければならない。早くて翌月から元本の返済と利息の支払いが始めるので、売り上げを立て、資金回収を行っていく必要がある。

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融資シミュレーションは完了していますか?

「毎月の返済額が大きくて返せない」なんてことにならないよう、融資を受ける前にしっかり融資シュミレーションを完了させておかなければならない。

借り入れた金額を何年で償却するのかを決め、毎年の返済額や金利を計算する。5年後、10年後まではもちろん、返済後以降の収益もできる限り見通しておきたい。返済年数は、限度まで自由に選べる。長くなればなるほど利息も高くなるが、毎月の負担額を増やすとそれだけ資金繰りは厳しくなる。無理なく返済できるようスケジュールを立てよう。

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融資相談サービスを積極的に活用しよう

初めて融資を受けるときは、どんな制度を利用したら良いか、どのように準備を進めていくのか、分からないことばかりなはず。そんなときは融資相談サービスを活用したい。ここでは、おすすめの相談サービスを3つ紹介する。

①融資コンサルの紹介

融資コンサルとは、融資をしてもらえるようにソリューション提供してくれるサービス。融資をしてもらうために提出・説明する事業計画書や経費レポートの作成をサポートしてくれる。信用を得られるようにポイントを抑えて作成してもらえるので、融資審査で有利になる。

②税理士相談

税務書類の作成や記帳業務、税務相談などを行ってくれる税理士だが、日頃から事業者の資金管理の相談に乗っていることから、金融機関の情報にも精通していることが多い。資金調達を得意とする税理士に相談すると、融資に関する的確なアドバイスをもらえる。また、企業の状況に合った金融機関の紹介も期待できる。

③商工会議所の融資相談

商工会議所では、中小企業の経営支援事業の一環として融資相談も行っている。日本政策金融公庫や一般金融機関からの融資獲得に向け、斡旋や橋渡しをする役割を担う。融資の流れについても質問できるので、融資に関しての知識がなくても基本的なことから教えてもらえる。

創業期の会社は創業融資を考えたい!

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創業期の会社は、売り上げが安定せず、自己資金だけでは資金繰りが厳しくなりがち。創業融資を活用して資金繰りを安定させることで、本業に集中できる環境を整えよう。

創業期の会社が融資を受けるには、「実在性」「信頼性」「実現の可能性」の3つが大切だ。賃貸契約書や実地確認などにより会社が実在することを証明する。そして綿密な事業計画書や過去の経歴、取得資格などにより、「この人になら貸しても大丈夫だろう」という信頼を獲得する。事業計画書には売り上げを裏付けるデータを記載し、今後の展望や計画の実現性を伝えよう。

税理士・公認会計士コメント

2020年6月30日経営者の課題と解決策