クラウドファンディングとは? やり方から種類まで簡潔に解説!

2020年6月7日

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本記事を読むメリット

  • クラウドファンディングの概要から 具体的なやり方まで理解できる
  • クラウドファンディングのメリットデメリット と3つほどの有名ドコロを比較できる

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングは、自社や個人で温めていた商品やサービスを広く公開することによって出資を募る資金調達方法である。そのため、アイディアが他人や他社に盗用されてしまうリスクがある。事前に特許を出願するなど、しっかり対策を立ててから情報を公開すべきである。
また、クラウドファンディングで目標額を達成し、企画が進行したとしても、途中で頓挫する可能性がある。その場合約束不履行として、支援者からだけではなく社会的な信用を落とすことになってしまうので要注意である。

クラウドファンディングのやり方

クラウドファンディングには様々なプラットフォームがあるが、どこも基本的には同じような流れで資金を調達している。以下、大まかなプロセスである。

1.目標を設定する

まず何をやりたいのか決めなければならない。計画が見通せないと銀行が融資をしてくれないのと同じように、クラウドファンディングでも目標の設定は大切である。

2.利用するサービスを考える

次に、どのサービスを利用するのかを決める。国内のクラウドファンディングサイトでは様々なサービスがあるが、それぞれ強い分野やプロジェクトの手数料が違う。自分が叶えたいプロジェクトに合ったサービスを選択してみよう。

3.プロジェクトの登録・投稿

プロジェクトを考えたら、サイトに登録し、どんなプロジェクトをやりたいのか、熱意を伝える文章を投稿しよう。どうしてそのプロジェクトを達成したいのかということを記載する際、自分の原体験などを併せて書いておくと、共感を覚えやすいとされている。「私もそう思う」や「これなら応援したい」と思わせることがクラウドファンディングの成功のコツだからだ。

4.プロジェクトの審査

どんなプロジェクトでも運営側からゴーサインが出るわけではない。プロジェクト実行の見通しが立つかどうかを運営者側は見極める。当たり前だが、社会的に問題となるものや、犯罪に加担するものなどは却下される。

5.プロジェクトの開始

そして、いよいよ資金集めを始める。目標設定期限から逆算して、1日当たりにどのくらい集めなければならないか注意を払っておこう。自分のSNSで協力を呼びかけるなどして、積極的に広報したほうがいい。閲覧者を増やすことで共感を広めよう。

6.閲覧者・支援者への活動報告

集まったお金をどのように使うかの活動報告は欠かせない。一度そのプロジェクトを閲覧し、寄付するかどうか悩んでいる人に訴えかけるのに有効なのが「経過報告」だ。「あといくらで達成できそう」や「これだけの人達に応援してもらっている」などと途中経過を知らせることで、「プロジェクトに賛同している人同士の連帯感」が生まれる。

7.プロジェクトの終了・支援者へのお礼

プロジェクトが達成したら、運営者側から手数料を差し引かれて自分の口座に入金される。もし達成できなかった場合は、支援金は支援者に返金されてプロジェクトそのものが終了となる。プロジェクトの期間が終了したら、達成しても、達成できなかったとしても、お礼の文章をきちんと掲載したり、メールや手紙でしたためたりしよう。もし事前に約束した支援者への特典があるなら、それも届けよう。許可を得られた支援者一覧をHPに載せるなどの方法もある。

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クラウドファンディング3分類

クラウドファンディングには、支援者が金銭的なリターンを得ることができる「投資型」と、金銭以外の物やサービスを受け取ることができる「非投資型」がある。また、プロジェクトの性質や資金を援助する支援者へのリターン(特典)の在り方によって、3つの種類に分けることができる。

1.購入型クラウドファンディング
購入型クラウドファンディングは、「非投資型」の代表的なタイプである。現在の国内におけるクラウドファンディングの大多数がこれにあたる。プロジェクト起案者は目標額と期限を設定し、支援者を募る。支援者のリターンとしては、市場に出回っていない物やサービス、権利といった金銭以外の特典を設定する。


2.寄付型クラウドファンディング
「非投資型」である寄付型クラウドファンディングの場合、集まった資金は全額寄付となるため、基本的に支援者にリターンは無い。プロジェクト起案者、支援者ともに純粋な社会貢献を目的としている傾向がある。環境保全、罹災地支援、病気の子供たちの支援といった、共感性の高いプロジェクトが多いのが特徴である。募金と同じようなイメージだが、寄付金を使用した活動の内容は、報告書やインターネットサイトで周知されるため、お金の流れを把握できるという点が異なる。また、支援者が達成感と充実感を味わうことができるのも大きな魅力である。

3.金融型クラウドファンディング
金銭的なリターンがない「購入型」と「寄付型」に対し、「金融型」のクラウドファンディングは支援者に金銭的なリターンが発生する投資型であるのが特徴である。
金融型は、さらに「融資型(貸付型)」「ファンド型」「株式型」に分かれる。

・「融資型(貸付型)」は、複数の個人から資金を集めて大口化し、企業に融資するしくみになる。基本的には、クラウドファンディングで募集した時点で利率が決まっていて、毎月金利が支払われることになる。資産運用の側面があるので、「ソーシャルレンディング」とも呼ばれる。メリットしては、少額から始められること、金銭的リターンを狙えることがある。ただし、借り手が返済できない状態になることもありえるため、リスクを想定しておくこと。

・「ファンド型」のプロジェクトの起案者は、ビジネスに対して出資を募る。支援者は、そのビジネスが生んだ利益に応じた分配金を受け取る。売上に応じて分配金が変動するため、支援者の収益はビジネスが成功するかどうかで大きく異なる。

・ 「株式型」。支援者が、リターンとして「資金提供先の企業の株式」を受け取るタイプである。M&AやIPOを視野に入れている企業であれば、株式の前向きな売却に期待できるため、このタイプも資産運用の側面を有している。

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クラウドファンディングの意外なデメリット

クラウドファンディングは、自社や個人で温めていた商品やサービスを広く公開することによって出資を募る資金調達方法である。そのため、アイディアが他人や他社に盗用されてしまうリスクがある。事前に特許を出願するなど、しっかり対策を立ててから情報を公開すべきである。
また、クラウドファンディングで目標額を達成し、企画が進行したとしても、途中で頓挫する可能性がある。その場合約束不履行として、支援者からだけではなく社会的な信用を落とすことになってしまうので要注意である。

クラウドファンディングの税金の扱いに関して

 投資型のクラウドファンディングでは金銭的なリターンを得るタイプもあるため、納税が必要になる場合も生じる。
 また、税金が生じないタイプであっても確定申告することで支払った所得税が還付されることもあるので、確認しておこう。
1.「融資型」にかかる税金
融資型クラウドファンディングでは、投資資金の運用で利益が生じた場合、所得税や住民税が発生する。「融資型」で受け取る利子や配当金(以下「分配金」)は雑所得としての扱いとなり、総合課税(各種の所得を合算して税金を計算する制度)の対象となる。投資家が受けとった分配金には、通常20.42%の所得税等が源泉徴収される。基本的に源泉徴収されるから、給与所得のみ受け取っている方は確定申告をする必要は無いが、給与所得と退職所得以外の所得が20万円超になる場合は、確定申告をしなければならない。なお、源泉徴収税額が正規の所得税額より多くなる場合、確定申告すれば過納分が還付される。
※法人の場合、受け取った分配金は法人の収益とみなされるから、法人税および法人住民税・事業税の対象となる
2.「株式型」にかかる税金
株式型で受け取った配当金は、配当所得として20.42%の所得税等が源泉徴収される。取得した株式を売却して利益が生じた場合、譲渡所得としての利益にかかる税金として20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)が課税される。なお、譲渡所得は申告分離課税(他の所得の金額と区分して税金を計算する制度)になるから、給与所得者でも原則確定申告をする必要がある。ただし、源泉徴収ありの特定口座を利用している場合や、給与所得と退職金以外の所得が20万円以下の場合には、確定申告は不要である。
3.非投資型にかかる税金

非投資型クラウドファンディングの利用について、出資者が納税するケースは基本的に無い。しかし、確定申告により還付金が受けとれるケースがあるので確認しておこう。

寄付型にかかる税金・・・寄付型は、税法上、募金の形態に当たるため基本的に納税する必要は無い(ただし、寄付金に対するお礼として受け取った返礼品の合計が50万円を超える場合は、一時所得として課税対象になる可能性もある)。
なお、寄付型の利用で確定申告をすると「寄附金控除」もしくは「寄附金特別控除」の適用を受けられる場合もある。どの案件でも寄附金控除の適用を受けられるわけではないため、運営事業者に確認する必要がある。

購入型にかかる税金・・・購入型は税法上商品等を購入する形態と考えられるため、基本的に納税する必要は無い。受け取る商品等は現金化しにくいケースが多いため、一般的には課税の対象にならない。なお、個人事業主の方で、その商品等が事業に必要なものである場合は経費にすることも可能である。

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税理士・公認会計士コメント

近年、IT環境の発展に伴いその利用が身近になってきているクラウドファンディング。私のクライアントでも特に社会性のある事業を行っている企業では活用している例も増えてきています。その際、ここでは資金の出し手の立場からの税金に関して述べていますが、逆の資金調達サイドからしてみても、当然上記の3分類によってその税務処理も異なるため留意が必要になります。実施する場合には顧問税理士に確認することをお勧めします。特に寄付型の場合には消費税の取り扱いについても留意が必要になります。

まとめ

いかがだっただろうか。近年よく耳にするクラウドファンディングについて説明してきた。クラウドファンディングのしっかりとした知識を深く持つことで、大きなミスを起こさないように心がけていただきたい。

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