分かりやすく解説!源泉徴収とは?「勝手に引かれる理由と仕組み」

2021年1月1日

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サラリーマンの方は会社から給与天引きという形で毎月源泉徴収されているだろう。

もちろん、アルバイト・パートやフリーランスの方でも収入額や取引先次第で源泉徴収されるケースがある。

毎月勝手に引かれるということもあり、源泉徴収に対してよくないイメージを持っている方もいるかもしれないが、実はどちらかというとありがたいものであることをご存知だろうか、

本記事では、源泉徴収について勝手に引かれる理由や仕組みなど解説していく。

源泉徴収とは?差し引かれる理由と名目について

源泉徴収とは所得税や住民税について、年収額を想定してあらかじめ差し引かれる額を給与天引きという形で差し引く制度のことだ。

勤務先の会社があなたの給料に応じて課される税金を自動で計算して給与から税金を差し引いてくれる。

サラリーマンの方であれば、毎月の給料からおおよそ同程度の税金が差し引かれているはずだ。

仮に源泉徴収がなされていなかった場合、あなたは毎年2月16日~3月15日の間に実施される確定申告の時期に自分で給与を計算して、税金を納めなければならない。

会社がその分の手間を負担してくれていると考えると、助かるものだといえよう。

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源泉徴収票の見方

源泉徴収票は年初に勤め先や取引先から、昨年分の給料と納税額が記された形で発行される。

この源泉徴収票には、1年分の給料と納税額の他、社会保険料控除額など計上した経費の額が書かれている。

このため、仮に医療費控除など年末調整の対象外の経費を確定申告で計上したい場合でも、源泉徴収票に記載されている数字をそのまま入力すればスムーズに手続きできるようになっているのだ。

「確定申告が不要」所得税の源泉徴収で納税を簡略化

サラリーマンの場合、会社が毎月の給料から所得税や住民税を源泉徴収したうえで、年末調整を済ませてしまえば原則として確定申告しなくてもよくなる。

ただし、年収2,000万円超の会社員のケースや年末調整を実施していないケース、また医療費控除や住宅ローン控除など年末調整の対象外となる経費がある場合には、確定申告しなくてはならない点に注意が必要だ。

源泉徴収の対象になるケース

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サラリーマンの方の場合、基本的に会社から支給される給料は給与所得として源泉徴収の対象となる。ただし、フリーランスなど個人で仕事を請けた場合には、全てが源泉徴収の対象となるわけではない。

具体的に、源泉徴収の対象となるのは以下のようなものだ。

  • 原稿料および講演料など
  • 広告宣伝のための賞金
  • 弁護士、税理士、公認会計士などの特定の資格を持つ人へ支払う報酬、料金
  • ]プロスポーツ選手や芸能人などの報酬

源泉徴収の対象外になるケース

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一方、上記のような、所得税法や租税特別措置法といった法律に定められていない取引については、源泉徴収の対象とならない。

フリーランスで仕事をしている人は注意しておこう。

「正社員」「フリーランス」「アルバイト・副業」の源泉徴収の違いとは?

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源泉徴収については、正社員とフリーランス、アルバイト・副業で捉え方が異なるであろう。

ここでは、それぞれの違いについて見ていく。

給与と報酬の違いを理解する

まず、正社員やアルバイトの場合、基本的には会社から給与という形でお金を受け取ることになる。

給与は税金の計算上給与所得として計上し、経費などの計上がなく、定められた給与所得控除を差し引く形で納税額を算出できる仕組みとなっている。

一方、フリーランスや副業の場合には、給与として受け取ることもあるが、業務委託契約などで報酬として受け取るケースも多いだろう。

この場合、給与所得控除にあたる部分は、報酬を得るために自分で負担した経費として自分で計算して確定申告しなくてはならない。

まずは、この給与と報酬の違いについて理解しておこう。

アルバイト・副業

アルバイトや副業の場合、上記通りアルバイトは基本的に給与所得、副業の場合は業務委託契約などで雑所得や事業所徳として所得を計上する必要があることが多い。

また、1年間の所得が税金を支払う額に達していなければそもそも税金を納める必要がない。

例えば、給与所得の場合は103万円まで、雑所得や事業所得の場合は経費を差し引いた所得が48万円以下であれば源泉徴収はもちろん、確定申告しなくてもよいのだ。

正社員

正社員の場合、通常は勤め先の会社が源泉徴収をして、最後に年末調整を実施してくれる。

年末調整まで実施したら、確定申告が不要になる。

ただし、他に副業があり年間の所得が20万円を超えるケースや給与所得が2,000万円を超えるケースでは確定申告が必要になるため注意が必要だ。

フリーランス

フリーランスの場合、基本的には自分で確定申告しなくてはならない。

ただし、原稿料など収入の種類によっては会社が源泉徴収を実施してくれる。

とはいえ、フリーランスであれば複数の取引先から収入を得ていることだろう。仮に源泉徴収されていたとしても、それらの収入を合算して納税しなければならない。

その際、先に源泉徴収されていた税金については確定申告で算出した納税額から差し引くことができる。

また、仮に源泉徴収で納めた額が確定申告で算出した納税額より大きい場合には還付を受けることもできるのだ。

源泉徴収の計算方法について

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通常、源泉徴収は所得に対して復興所得税と併せて10.21%という税率で算出される。

ただし、給与所得の場合は所得額に応じて源泉徴収される額も変わる仕組みになっている。

具体的な額については、国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」で確認できるようになっているので確認してみるとよいだろう。

源泉徴収の控除を理解する

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源泉徴収では扶養控除の人数に応じて給与から控除される仕組みになっている。また、社会保険料控除も差し引かれる。

一方で、火災保険料控除などは年末調整で会社の控除証明書を提出することで最終的な税額を計算してくれる。

ただし、医療費控除や住宅ローン控除(初年度)など一定のものについては、源泉徴収や年末調整の対象外となるため、自分で確定申告しなくてはならない。

源泉徴収の1年間の流れ

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最後に源泉徴収の1年間の流れを見ていこう。

毎月の源泉徴収

サラリーマンの源泉徴収の場合、毎月の給料から所得税と住民税が差し引かれる形で源泉徴収が実施される。

源泉徴収された後の額のことを「手取り収入」などと読んだりする。

なお、フリーランスなど業務委託契約で源泉徴収する場合は、1カ月分の仕事などまとめて請求書を作成するときに、最後に一律で10.21%差し引くことになっている。

1年に1度の年末調整

サラリーマンの源泉徴収の場合、年末に行う年末調整が行わないと、確定申告が不要とならない。

年末調整は1年に1度、年末に行われ、火災保険料控除など控除証明書を会社に提出することで完了する。

それらの資料を元に、年始に源泉徴収票が発行される仕組みだ。

確定申告

通常、源泉徴収と年末調整が済んでいれば確定申告する必要はない。

ただし、2,000万円以上の給与所得があるケースや、医療費控除、住宅ローン控除など年末調整の対象とならない控除を計上したいケース、サラリーマンの方で所得20万円以上の副業を行っているケースでは確定申告しなくてはならない。

この場合、毎年2月16日~3月15日が確定申告を受け付けてくれる時期となっているため、この期間中に自分で確定申告書を作成して申告、納税しよう。

源泉徴収を忘れてしまった場合

源泉徴収を忘れてしまった場合は、全ての収入の額と経費の額、控除として計上できるものを自分で計算して確定申告する必要がある。

まとまった納税額を用意しなければならないなど不安も増えるので、源泉徴収を受けられるのであれば確実に受けるようにしておくとよいだろう。


まとめ:源泉徴収は所得税の納税を簡略化し、年末に調整する仕組み

源泉徴収と聞くとあまりよくないイメージを持っている方もいるかもしれないが、確定申告せずに済むように会社が手続きしてくれているものだと考えると有難さも感じるのではないだろうか。

ただし、源泉徴収しても、確定申告が必要なケースもあるため、本記事の内容を参考に自分はどこに当てはまるのか確認しておくとよいだろう。

分からない場合は税理士など専門家を頼ることをおすすめする。

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監修税理士・公認会計士からのコメント

サラリーマンは毎月税金を源泉徴収という形で給与から天引きされています。普段はあまり意識することもないかもしれませんが、フリーランスになると自分で確定申告をする必要があります。どうしても仕組みがわからないという人は会計ソフトの利用やや税理士に相談することをおすすめします。

2021年1月1日起業準備

Posted by taxtech-editor