必ず抑えておきたい。絶対に成功する税理士事務所の開業方法とは!?

2020年10月4日

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合格率が非常に低く、難関の国家試験である税理士試験。1年ですべてを一発合格するのは至難の業で、多くの人は合格までに数年を費やす。そんな狭き門を潜り抜けて税理士資格を取得した後は、最終ゴールとして税理士事務所の独立開業を目指す方も多いのではないだろうか。今回は、これから開業を目指している税理士の方に向けて、税理士事務所の開設/開業において必要な経費や受けられる支援援助から絶対に成功するために抑えておくべきポイントを網羅的に解説していく。

この記事を読むメリット

  • 成功する税理士事務所の開業方法が分かる

税理士事務所を開業するには?開業費用は?

税理士事務所の独立開業を目指していても、どんな準備が必要なのか、何から手を付けたら良いのか分からないという方も多いだろう。税理士事務所を開業するまでのステップは、大まかに以下のとおりである。

  • 税理士試験に合格する
  • 実務経験を積む
  • 税理士名簿へ登録申請する
  • 市場調査を行う
  • 開業費用を準備する

それぞれのステップについて、詳しく解説していく。

①税理士試験に合格する

税理士として開業するためには、言わずもがな税理士資格を取得することが必要不可欠だ。税理士資格を取得するには、年に1回開催される税理士試験で、全11科目中、会計科目2科目、税法科目3科目の計5科目に合格する必要がある。税理士試験の申込期間は例年5月中旬~下旬、試験日は8月上旬の3日間。その後、例年12月中旬に合格結果が通知される。税理士試験の難易度は非常に高く、1回の受験で5科目すべてに合格することは難しい。働きながら数年かけて勉強し、資格を取得する受験者が多い。試験勉強と並行して独立開業に向けた情報収集もしておくと、開業する際に役立つ。

②実務経験を積む

試験に合格すれば「税理士」と名乗れるわけではない。税理士試験に合格したら日本税理士会連合会の税理士名簿への登録が必要となり、その際に実務経験が求められる。租税または会計に関する事務のうち、所定の業務に従事した経験が通算して2年以上あれば、実務経験として認められる。税理士試験の合格を目指して勉強しながら、会計事務所などで勤務して実務経験を積む人が多い。

実務経験では、ただ税務処理のスキルを磨くだけでなく、人間関係を築く上でも重要である。事務所の所長や上司、顧客などと良い関係を築いておけば、後に自分で独立開業したときにも助けてくれる人が増える。顧客を紹介してもらえることもあるだろう。また実務経験を積みながら、その事務所はどのように業務を行っているのか、経営や人員の体制などを観察し、自身の開業に向けて情報収集することも大切だ。あらかじめ自分が何に特化した税理士になりたいのか、どのような顧客をターゲットにしたいのか、自分が開業したい税理士事務所のイメージを明確にし、それに応じた勤務先で働くのがおすすめだ。

③税理士名簿へ登録する

必要な要件を満たした上で、税理士名簿への登録を申請する。日本税理士会連合会の税理士登録申請書に必要事項を記入し、必要書類を添付して提出する。必要書類については日本税理士会連合会のウェブサイトで確認しよう。

登録申請書が受理されたら、最終的に申請先である各エリアの税理士会による面接や必要な調査が行われる。その結果「登録適当」と認められれば税理士名簿に登録され、同時に官報に公告される。

④市場調査を行う

日本税理士会連合会のサイトでは、自分が独立開業を検討しているエリアで、どのくらいの税理士、税理士法人がいるのかを検索することもできる。同業他社の市場調査のために、調べておくと良いだろう。市場調査を行った上で、開業エリアを選定し、事業計画と資金計画を立てる。税理士資格を取得し、開業までの準備期間は、少なくとも6か月以上は見ておきたい。理想は1年ほど準備期間があると、余裕をもって準備できるだろう。しかし、長く時間をかけて準備をすれば良いという訳では無い。税理士の市場の環境はどんどん変化していくため、時間をかけすぎると当初のプランが崩れてしまう可能性もある。限られた期間で効率よく、スピーディーに市場調査を含めた準備を進めよう。開業1か月以内には、先輩税理士や周辺士業へのあいさつ回りをすることも忘れずに。

⑤開業費用を準備する 

税理士の資格取得や登録の準備と並行して行っておきたいのが、開業費用を貯めることである。先述した税理士名簿への登録には、以下のような費用がかかる。

  • 登録免許税:6万円
  • 手数料:5万円
  • ブロック会費・入会金:14万円
  • 支部会費・入会金:3万円

この内訳は東京税理士会を例にしたもので、実際は地域によって異なるが、約30万円ほどは見込んでおくと良いだろう。

その他にも、以下のような開業費用がかかる。

  • 事務机
  • 応接セット
  • 名刺代
  • PC代
  • ネット環境
  • ホームページ開設
  • チラシ印刷(広告宣伝費)
  • ロゴ制作

自宅で開業できない場合、賃貸物件の取得費用や設備費用が必要だ。自宅で開業する場合でも、税務・会計システムにかかる導入費用、顧客獲得のためのマーケティング費用、営業費用は必要となる。また、開業してすぐに十分な利益を得られるとは限らないため、当分の運転資金も用意しておいた方が良い。場合によっては創業資金として融資を活用するのもひとつの手だ。

初期費用をなるべく下げるためには、レンタルオフィスを活用するのも良い。レンタルオフィスであれば、入会金と月々の利用料、共益費程度で利用できる。デスクや電話、インターネット環境など、税理士の業務に必要な設備も揃っていることが多い。初期費用のうちの多くを占める物件取得費用と設備費用をグッと抑えられるため、開業のハードルが下がる。まずはレンタルオフィスから始めて、顧客が増えて経営が安定してきたら事務所を設ける流れがおすすめだ。

絶対に成功する税理士事務所の開業方法 5選

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せっかく狭き門をくぐりぬけて税理士になったなら、税理士事務所の開業は絶対に成功させたいもの。そこでここでは、成功する税理士事務所の開業方法をご紹介する。

webサイトやホームページなどをしっかり整備・準備している

税理士事務所を開業したら、まず作成すべきなのがWebサイトやホームページ。近年では会社や組織、お店のホームページはあって当たり前のものであり、顧客からの信用・信頼を獲得するためには必要不可欠だ。ホームページは、いわば事務所の名刺代わりになる存在

特に創業したての税理士事務所は口コミもなく、何の情報もない。どれだけの実績があるのか、どんな人柄なのか、どんなサービスがあるのか……顧客はこのホームページを見て判断することになる。ただ作るだけでなく、定期的に情報を更新するなどしてしっかり整備・準備する必要がある。ホームページは、顧客にとって問い合わせ窓口にもなる。せっかく興味をもってもらえても、問い合わせ窓口がなければ契約につながりにくい。契約に至るまでの流れを明確にし、最初のステップを行動しやすくするために、問い合わせ窓口は必ず用意しておきたい。

ホームページを作成・運用していくにはコストも時間もかかるが、その効果はバツグンだ。Webマーケティングの中でも受注につながりやすいツールなので、必ず用意しておきたい。税理士事務所のホームページの作り方について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてほしい。

紹介プラットフォームのみに集客を頼らない

創業したての税理士事務所では、新規顧客の獲得のために税理士の紹介ポータルサイトなどに頼ることもあるだろう。また、今までお世話になった税理士事務所からの紹介などで顧客を獲得するケースもある。税理士法人としてのれん分けのように独立するのであれば、顧客を引き継ぐことも珍しくない。確かにこうした紹介プラットフォームを活用することで、効率よく集客できる。知人や先輩からの紹介もありがたく、人間関係を広めていくことに越したことはない。しかし、紹介プラットフォームのみに集客を頼るのは危険だ

紹介プラットフォームを利用して顧客を獲得すると、多くの場合紹介料がかかる。目安として、契約時に年間報酬総額の50%程度を紹介サイトの運営側に支払う形が一般的だ。

例えば年間報酬額が50万円だった場合、25万円の紹介料を支払い、税理士の取り分は25万円。せっかく顧客が獲得できても手元に入るお金は少なくなってしまうので、「忙しく働いているのになかなか経営が安定しない」という状態になりかねない。また、知人や先輩からの紹介にも限りがあるため、別の集客方法を見出しておかないといずれ顧客は枯渇する。紹介プラットフォームに頼らず、自らの力で集客できる道筋を用意しておく必要がある。

税理士事務所の集客方法についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてほしい。

積極的に営業を行っている 

かつては税理士事務所は、何もしなくても顧客が集まってきてくれた。「税理士資格さえ持っていれば安心」と思っている方も多いだろう。しかし実際は、近年税理士の数は増えているものの企業の数は減りつつあり、税理士は飽和状態にある。また会計ソフトの登場で、簿記の知識がない人でも自分で会計業務をこなしやすい体制が整いつつある。今後AIがさらに発達すれば、税理士の業務はどんどん減ってしまうだろう。こうした状況に対応して税理士事務所の経営を安定させるためには、積極的に営業を行っていく必要がある

税理士の営業活動では、まずお客様のニーズを汲み取り、引き出すのがポイント。ニーズを汲み取るには、目的と手段をはき違えないことが重要である。例えば「パン屋さんを開業したい」という顧客がいたとする。この言葉を聞いただけだと、パン屋開業が目的だと勘違いしがちだ。しかしなぜパン屋を開業したいのかを紐解いていくと、実は「自慢の食パンをたくさんの人に食べてもらいたい」が本当の目的であり、パン屋開業はそのための手段に過ぎなかった。目的が明らかになれば、手段の選択肢は広がる。このケースであれば、何も広い物件で開業しなくても、小さな工房で作って卸す、という方法でも目的は達成できる。このようにお客様の本質的な目的、ニーズを汲み取り、それに対する解決方法をアピールする。そうすることで自分の悩みを解決してくれる存在として他社との差別化が図れて、契約につなげやすくなる。

また、オフラインだけでなく、オンライン面談やTELでも営業活動を行うことで、より顧客の対象範囲が広がる。営業が苦手な方は、士業に特化した営業代行を活用する方法もある。プロの力で集客効果を最大限に得られて、かつ自分は営業の手間が不要となるため本業に集中できる。いち早く収益を上げたい方にとっては、良い選択肢となるだろう。

税理士事務所を潰さないための営業活動方法について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてほしい。

webマーケティング/web広告を活用している

創業初期の企業は、まずは認知度を上げることが大切である。そこで役に立つのがWebマーケティング。

一言にwebマーケティングといっても、その施策は非常に多岐にわたる。例えば、以下のような方法がある。

  • SEO:検索エンジンで自社の記事を上位に表示させ、集客する施策
  • リスティング広告:検索エンジンでキーワードを検索した際にでてくる「広告」などの施策
  • SNS(ソーシャルメディア):自社の公式アカウントを作成して運用する施策
  • メルマガ(メールマガジン):登録してくれたユーザーに対して定期的に一斉に同じ情報を発信して、サービスの購入・申込みを促す施策
  • バナー広告:特定のWebメディアにバナーを貼って、ユーザーをLPに呼び込む施策

それぞれメリット・デメリットがあり、効果的な層も異なる。そのためwebマーケティングやweb広告をより効果的に活用するためには、まず集客対象を絞り込むことが大切だ。たくさんの人の目に留まるWeb広告を出したとしても、ターゲット層に届かなければ意味がない。まず自分のサービスを利用してもらいたいのはどんなユーザーなのかをなるべく具体的に想定し、ターゲットを絞り込む。例えば以下のような内容をイメージしてみてほしい。

  • 年齢や性別、年収や家族構成などの基本情報
  • インターネットの使い方
  • 解決したい不安や悩み
  • 商品を購入する動機

その上で、Webマーケティングで取り組むべきメディアやコンテンツを決める。

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ブログやSNSをしっかりと活用している

先にご紹介したWebマーケティングの施策のひとつでもある、ブログやSNS。無料、または低コストで始められて、優れた営業ツールであるため、創業初期にはぜひ取り入れたい。自社ブログやSNSを定期的に更新することで、顧客からの信頼を得られる効果がある。また、顧客とのコミュニケーションツールとして活用できるメリットもある。特にSNSは顧客に親近感を抱いてもらいやすいため、ブランディングに活かせる。

一言にSNSといってもその種類はさまざま。営業に活用できるSNSには、以下のようなものがある。

  • Twitter
  • Instagram
  • Facebook
  • mixi
  • YouTube
  • LINE

一般的に税理士の営業ツールとして向いているのは、Facebookだと言われる。Facebookは登録方法として電話番号があり、本名で登録している人も多いため、SNSの中では比較的信頼度が高い。近年では若者のFacebook離れも叫ばれているが、サラリーマンや中高年には未だ定番のSNSで、ユーザー数も多い。よりグローバルに使われているのもFacebookだろう。しかしFacebookの他にも、SNSにはそれぞれ異なる特性がある。例えばTwitterだと、近年企業で運用しているアカウントが増えてきている。リプやDMを通じて中の人と交流しやすいので、Twitterを通じたコミュニケーションから受注につながる可能性もある。飲食店をターゲットにしたいなら、Instagramでマーケティングを行う飲食店は多いため、Instagramに力を入れるのも良いだろう。LINEの機能のひとつである「LINE公式アカウント」は、不特定多数の人に一斉に情報を送信できる。メルマガのような使い方ができる。LINEは今や多くの人の生活に密着する馴染み深いツールなので、メールよりも読んでもらえる確率が上がることが期待できる。このようにターゲット層や目的に合わせてSNSを使い分けることで、高い集客効果を得られる。

クラウド会計ソフトを導入している

開業すると避けて通れない会計業務。税理士として会計に関する知識はあっても、毎日、毎月地道にこなしていかなければならない会計業務は、意外に負担となる。会計スタッフを雇った場合はその人件費がかかるので、自社の会計業務はなるべく効率的に終わらせたいと考えている方も多いのではないだろうか。会計業務にかかる時間とコストを短縮するためには、クラウド会計ソフトを導入するのがおすすめだ。

インストール型であれば導入コストが、有料のクラウド型であれば月額利用料がかかるが、クラウド会計ソフトの中には完全無料で利用できるものもある。こうしたものを選べば、固定費を削減できて利益も出しやすくなる。創業初期には何かとお金がかかる上、税理士事務所を開業してもすぐに軌道に乗るとは限らないため、初期費用のかからない会計ソフトはありがたい存在だ。

どこかしらの業界、業種に「特化」している 

創業初期は、顧客を獲得しようと必死になるあまり「何でもできます」というスタンスになりがちだ。一見、何でも精通していて頼りがいがある税理士のように聞こえるが、実は顧客の印象にはなかなか残りづらい。「何でもできる」というのはつまり、「何のジャンルにも特化していない」ということになる。特徴がない税理士になってしまい、決め手に欠ける。どこも同じような事務所であれば、顧客はより経験豊富で安心できるところ、もしくは値段を見て依頼する。創業初期であれば経験で勝負するのは難しく、値段を下げて受注しても事業を安定させることはできない。つまり創業したての税理士事務所にとっては「何でもできる」というのはむしろ逆効果なアピールなのである。「法人の節税対策に強い」「相続についての経験が豊富」など、ひとつの分野に特化していることをアピールしよう。専門性が高い方が、付加価値がつくため高単価の案件も受注しやすい。開業前に実務経験を積む段階から、自分の特化したいジャンルを決めておくと開業がスムーズになる。

まとめ/税理士事務所は顧客がつけば廃業はしない 

今回は、これから開業を目指している税理士の方に向けて、税理士事務所の開設/開業において必要な経費や受けられる支援援助から絶対に成功するために抑えておくべきポイントを網羅的に解説した。商売をする人がいる限り、会計業務はなくなることのない仕事だ。つまり、顧客さえつけば税理士事務所は廃業しないということである。とは言え税理士が飽和状態にある今は、いかに他社と差別化して営業をかけられるかが、開業の成功を握るポイントとなる。ホームページやSNS、ブログなどのWebマーケティングを目的に合わせてしっかり活用して集客することで、税理士事務所の成功確率はアップする。自分ですべてをこなすのが難しいときは、営業代行やWebマーケティングコンサルなどプロの力を借りるのもひとつの手だ。

2020年10月4日税理士事務所支援