【法人 事業税まとめ】概要から節税まで一挙に解説!

2020年5月10日

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法人事業税とは、法人が事業を行うにあたって利用している道路や港湾、消防、警察などのさまざまな公共サービスや公共施設について、その経費の一部を負担する目的で課税されるものだ。実は詳しく内容を見ていくと、法人の所得が赤字であれば、納付する必要ないのである。

このように知っておけば、損しなくて済んだなんてこともあるので、詳しく解説していこう。

法人税等の概

『法人税等』とは、企業会計の勘定科目を構成する要素のことである。また、以下の要素が挙げられる。

  • 法人税・・・法人税は、会社で得た各事業年度の所得に対して課される税金で、法人税等のうち唯一の国税である
  • 法人住民税・・・法人住民税は、「法人都道府県民税」と「法人市町村民税」の総称で、法人の事業所がある自治体から課税される地方税である
  • 法人事業税・・・法人が事業を行うにあたって利用している道路や港湾、消防、警察などのさまざまな公共サービスや公共施設について、その経費の一部を負担する目的で課税されるものである。

これらは、損益計算書の当期純利益の上に記載されるものであり、重要な要素だ。

法人事業税と法人税の違いって

法人税と法人事業税は『法人税等』の科目に計上される。そのため、処理方法に関して違いはない。しかし、それ以外では大きく違うのでその違いについて説明していこう。

何が大きく違って来るの?

1)国税と地方税の違い

法人税は国税であり、法人事業税は地方税である。また、各都道府県の地方自治体が法人に対して、事業を営む上で課している税金である。

2)赤字の場合に課税されるかどうか

法人税は課税対象が『所得のみ』なので、所得が0(赤字)の場合は法人税が課税されない。法人事業税も基本的には所得に課税されるが、資本金が1億円を超える法人の場合は「外形標準課税」が適用され、資本金の額や報酬給与額など所得以外が課税対象となる場合がある。一般的には黒字でなければ基本的に法人事業税は課されないが、「外形標準課税」の対象法人は赤字でも課される可能性がある

3)損金算入ができるか

法人税は損金算入ができない。が、法人事業税はそれを支払った時点で損金算入できる。

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法人 事業税の計算方

法人事業税の計算方法は以下の通りである。

「法人事業税=所得×法人事業税率」

ちなみに、法人事業税の他に、特別法人事業税というものがある。地方税である法人事業税に対して、特別法人事業税は国税として払うものである。計算方法は以下となる。

特別法人事業税 = 法人事業税「額」 × 特別法人事業税の税率

法人事業税は各都道府県に納める地方税なので、その税率(法人事業税率)は各都道府県によって異なる。例えば、令和元年10月1日から開始する事業年度は、東京を例に挙げると、東京都の法人事業税率は年間所得ごとに3段階に分かれている。

  • 年所得〜400万円:3.5%
  • 年所得400万〜800万:5.3%
  • 年所得800万〜:7.0%

このように東京都に限らず、他の各都道府県もそれぞれ定められている。

対して、特別法人事業税は、税率37%とされている。

法人 事業税 納付手続

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法人事業税は、一会計年度の法人事業税を「中間申告納付」と「確定申告納付」の年2回に分けて納付しなければならない。

中間申告納付・・・中間申告納付の方法は、前期の法人事業税の金額を基にした「予定申告」と、「仮決算による中間申告」がある。中間申告納付の金額は、「仮払法人税等」という勘定科目で処理する。

確定申告納付・・・決算が終われば当期の利益が確定するので、利益を基にして正確な法人税等の金額を求める。法人税等の金額が確定したら、「仮払法人税等」の金額を「法人税等」という勘定科目に振り替える。

法人事業税の申告、納税期限は基本的に会計期末から2ヶ月以内となっている。これは法人税も同様だ。法人事業税の納付先は各都道府県である。納付方法は、納付書を使って現金で納める方法、またeLtaxで電子納税をすることも可能である。

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法人事業税の節税手段とは

法人事業税の節税方法は、いくつか考えられるが例として2つ紹介していこう。

1)資本金1億円を超えない

前述の通り、資本金1億円を超えると「外形標準課税」が課される。それによって、納税額が増えることになる。つまり、資本金を1億円以下に抑えれば外形標準課税の対象外となり、節税できる。ただ、単年度損益が大きく、収益配分額や資本金が小さい場合には、税負担が減少するケースもあるのでシミュレーションをする必要がある。

2)法人事業税率を抑える

法人事業税率は各都道府県ごとに異なる。事業税率の低い地域に行くことも1つの手段である。他にも節税対策として、所得を抑えるなどもあるが、それは稼がないといことでもあるため、現実的ではない。ですから、地域を移動できるのであれば、それも1つの手段だと考える。

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その他の法人にかかる税金まと

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これまで法人事業税や法人税について詳しく触れてきたが、その他にも

  • 法人住民税
  • 地方消費税
  • 消費税

などかかる税金は多くある。消費税については詳しく記載している記事があるのでそれを見て頂きたい。

『法人税等』だけでなく、法人に課される税金は他にもあるということを頭の片隅に入れておいた方がいいだろう。

監修税理士・公認会計士からのコメン

法人に係る税金は法人税だけではなく、地方税も合わせて支払う義務がある点を忘れずに認識しておきましょう。また、特に昨今は 地方税の充実確保と税源の偏在是正の観点から税制改正によって税金の種類や税率変更が発生しており、納税者としては注意が必要です。

2020年5月10日税務サポート

Posted by taxtech-editor