法人で発生する消費税とは?節税方法なども解説します!

2020年5月10日

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「法人消費税の種類や特徴が知りたい」「法人消費税の節税方法は?」

法人であれば様々な面で発生する法人消費税。しかし、その計算方法や節税方法が分からない人も多いのではないだろうか。

そこで、本記事では法人消費税の計算方法や節税方法を詳しく解説する。

この記事を読めば、法人消費税の全てが理解できると言っても過言ではないだろう。法人消費税の知識を深めたい人は、ぜひ本記事を参考にして頂きたい。

法人における消費税とは?

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消費税は、基本的にほとんどのモノやサービスの消費について課税される税金だ。普段買物などでも出会う場面が多いので馴染みのある税金だろう。

これは個人のみならず当然モノやサービスを消費する法人にもかかる税金だ。また、間接税であるため、事業者は消費者から受け取った消費税や自らが支払った消費税をもとに計算をした金額を納付することになる。

この事について解説していくと共に、余分な消費税を支払わないような方法も紹介していこう。

納税義務のある法人は?

法人であれば、ほぼ全ての職種が納税義務を負っている。

また、「みなし仕入れ率」という業種ごとの仕入れ率があり、それを課税標準額に対する消費税額と掛けることで、仕入控除税額を簡易的に計算が可能だ。

みなし仕入率 一覧

  • イ 第1種事業……90%
      第1種事業とは、卸売業(他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業に限る。)をいう。
  • ロ 第2種事業……80%  
      第2種事業とは、小売業(他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで販売する事業で第1種事業以外のものに限る。)をいう。
  • ハ 第3種事業……70%  
      第3種事業とは、農業、漁業、林業、鉱業、建設業、製造業(製造した棚卸資産を小売する事業を含 む。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業をいい、第1種事業又は第2種事業に該当するもの及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業を除く。
  • ニ 第4種事業……60%  
      第4種事業とは、第1種事業、第2種事業、第3種事業、第5種事業及び第6種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業等が該当する。
  • ホ 第5種事業……50%  
      第5種事業とは、運輸通信業、金融業、保険業、サービス業(飲食店業を除く。)をいい、第1種事業から第3種事業に該当するものを除く。
  • ヘ 第6種事業……40%  
      第6種事業とは、不動産業をいい、第1種事業から第3種事業及び第5種事業に該当するものを除く。

参照:税務研究会より

※基準期間の課税売上高が5,000万円以下のみ、この簡易課税方式で計算することができる。 但し、この制度の適用を受けるためには、納税地を所轄する税務署長に原則として適用しようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することが必要だ。

この「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した事業者は、原則として、2年間は原則課税方式による仕入税額の控除に変更することはできないので注意する必要がある。

法人消費税の計算方法

法人消費税の納付額の計算方法は、2種類の課税方式によって異なる.

1)原則課税方式

「納付額=売上(税抜)×消費税率−仕入、経費、購入した資産など(税抜)×消費税率

2)簡易課税方式

「納付額=売上(税抜)×消費税率−売上(税抜)×消費税率×みなし仕入率」

この簡易課税方式は、業種ごとにあらかじめ決められた『みなし仕入率』を使って計算する。「みなし仕入率」は各事業によって異なる為、各々で該当する事業を見てほしい。

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消費税の会計処理

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続いて、消費税の会計処理について解説しよう。

消費税は様々なものに課税されるため、仕入れだけでなく経費や固定資産の取得にも当てはまる。

これら消費税の会計処理には「税抜処理」と「税込処理」があり、それぞれ処理の作業が異なるので注意が必要だ。

税抜処理

税抜処理は、文字通り売り上げや経費などから消費税を抜いて計上する処理方法だ。

この際、消費者から預かった消費税分を「仮受消費税」として処理し、取引先に支払った消費税分を「仮払消費税」として処理する。

そして、仮受消費税から仮払消費税を差し引いた金額が、納税金額である。また、仮受消費税よりも仮払消費税の方が多い場合、消費税の還付を受けることが可能だ。

税込処理

税込処理は、売り上げや経費に消費税を含ませて計上する処理方法だ。

税込処理の場合、消費税額は会社の経費の「租税公課」として計上される。

税込処理の方が税抜処理よりも簡単に行えるものの、交際費や減価償却費の消費税も加算されてしまうデメリットがあるので注意して頂きたい。

消費税の節税対策

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会社経営者であれば、決算時期が来ると、キャッシュフローに影響を与えることから節税をどうするか考えるであろう。会社が成長し、利益が出てくる一方で、税金は比例して上がる。そんな時に、税金を抑えることができれば、将来の投資資金にすることもでき、事業の拡大にも繋がっていく為、非常に重要である。

ここでは、そんな経営者や個人事業主向けの節税対策を解説する。

個人の課税事業者は法人化も視野に

上述のとおり、事業者は消費者から受け取った消費税や自らが支払った消費税をもとに計算をした金額を納付することになるが、 基準期間 (法人の場合は原則として前々事業年度 )の課税売上高が1,000万円以下であれば、納付義務が免除される。

したがって、個人事業主が課税事業者になる直前に、資本金1,000万円未満の会社を設立すれば、2年間の納税免除を受けられる。

ただし、免除判定は基準期間だけでなく、特定期間(前事業年度開始の日以後6か月の期間など)に課税売上高または給与等のいずれか一方が1,000万円を超えている場合は課税事業者となりえるので注意が必要である。

また、個人事業主の確定申告について知りたい人は、次の記事を推奨する。

確定申告の必要性とは?行うべきケースを徹底解説します!

計算方法を選択する

消費税の納付額の納付額は原則課税方式(A)と簡易課税方式(B)があることはすでに述べたが、(A)と(B)を比べて、納付額がより少なく済む方式を選択することだ。

人件費など非課税の仕入れや経費が多い事象者では簡易課税を選択することで納税額を低くすることがある。ただ、簡易課税方式は事業年度が開始する前までに届出必要があること、 簡易課税方式を選択した場合は一定期間それを続ける必要があることから、確度の高い事業予算によって試算する必要がある点に留意して頂きたい。

免税事業者があえて課税事業者を選択する。

免税事業者は消費税の納付義務はないものの、還付を受ける権利もない。

還付については後述するが、創業1期目などで設備投資は多額になったり、当面は売上よりも経費の方が多い場合など、受け取った消費税(売上等にかかる消費税)よりも支払った消費税(仕入、経費、購入した設備等の資産にかかる消費税)が多くなることが見込まれる場合は、還付を受けるため「消費税課税事業者選択届出書」を税務署に提出して、あえて課税事業者を選択することだ。

ただ、あえて 消費税課税事業者選択届出書は事業年度が開始する前までに(ただし、創業第1期目の場合は第1期目の決算までに)提出する必要があること、提出した場合は一定期間それを続ける必要がある場合もあることから、確度の高い事業予算によって試算する必要がある点に留意。

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法人消費税還付とは

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消費税の還付とは、消費者から預かった消費税から、支払った消費税を差し引いた額でその金額がプラスであれば納付、マイナスであれば会社側に還付される事である。

また、消費税の還付額の計算方法は以下となる。

「消費税の還付額=預かった消費税(売上高の消費税)−支払った消費税(仕入等消費税)」

この計算式で還付額がプラスであれば納付し、マイナスであれば法人に還付される。

消費税還付を受けられる条件とは

消費税還付を受けられる条件は以下である。

1.課税事業者である事

課税事業者とは、消費税の申告・納税義務のある事業者である。また、会社や個人事業主が課税事業者になるパターンがある。基準期間の課税売上高などから課税事業者と判定される場合と、自ら「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になる場合である。

2.原則課税の適用

支払った消費税を預かった消費税から差し引く。これが原則課税である。

例えば、1,100円(税込)で仕入れたものを、消費者に2,200円で売るとする。その場合、預かった消費税は200円であり、支払った消費税は100円である。この差額分である100円を納めるのである。また、設備投資など支払った消費税が多かった場合、オーバーした金額分は戻ってくる

これらを満たす事で、消費税還付を受けることが可能である。

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法人消費税の各種届出

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法人消費税には、税務署への届出が必要だ。

税務署へ届出を出すと、先程解説した基準期間における課税売上高を1年分に換算して1,000万円以下であるか否かが審査される。

審査には一定の期間を要するため、ゆとりを持った届出を出して頂きたい。

消費税の各種届出書類の様式

ここでは、消費税の各種届出書類に関して、代表的なものを紹介する。

どれも国税庁のホームページからダウンロードできるので、ぜひ参考にして頂きたい。

届出書名 届出が必要な場合
消費税課税事業者届出書基準期間における課税売上高が1,000万円超となったとき
消費税課税事業者届出書基準期間における課税売上高が1,000万円超となったとき
消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書基準期間における課税売上高が1,000万円以下となったとき

法人の会計を自分でやるには?(会計ソフトの利用など)

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会計処理に関して、資金的余裕がない場合は自身で完結したいという気持ちも少なくないだろう。税理士に頼むのが手っ取り早いのは間違いないが、資金を抑えて自身で会計をする方法を記していこう。

1)帳簿をつけて手動で計算する

法人税の計算をするには決算書が必要であり、そのためには最低限の簿記知識が必要である。この帳簿づけは会社法で定められていて、10年間保存しなければならない

2)会計ソフトを利用する

帳簿づけを簡易化することができる。帳簿づけに時間をかけることなく、決算書類の作成もワンクリックで行うことができる。

ペーパーレスが浸透しているこのご時世、手書きの帳簿づけは非効率的である。こういった便利な会計ソフトを活用することで、会計を効率的に自分自身で行うことができる。

 

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まとめ:法人消費税は賢く節税すべき

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今回は、法人消費税の計算方法や節税方法を解説した。ぜひ、この記事を参考に賢く消費税を節税して頂きたい。

また、法人消費税の他にも様々な税金がある。具体的には、法人税・法人事業税・法人住民税・地方消費税などである。

これらの税金を把握する事はなかなか容易なことではない。しかし、把握することによっては事業規模拡大の資金として貯めることもでき、今後の新規事業展開に役立つであろう。なぜなら、節税対策にも役立つからである。

消費税だけでなく、法人に課される税金は複数あるということを頭の片隅に入れておいた方がいいだろう。

 

監修税理士・公認会計士からのコメン

 

消費税等が段階的に引き上げられ2019年10月には10%になったことは記憶に新しいと思いますが、2020年度国税(予算)と地方税(見込み額)において、消費税が占める割合は個人所得課税は30.4%、法人所得課税は20.4%を差し置いて35.5%を占める重要な税金となっています。
消費税等は①免税事業者であるか、課税事業者であるか、②課税事業者の場合は取引を課税取引、非課税取引、輸出免税に分類することおよび資産譲渡のタイミングを抑えることがポイントとなります。①は原則として基準期間(前々期)の課税売上、特定期間の課税売上と給与等の確認、②は新規の取引が発生した場合は都度確認することが望まれます。
また、課税事業者は値札等によって商品やサービスの価格をあらかじめ表示する場合には、消費税等を含めた支払総額(税込価格)の表示が義務付けられていること留意が必要です(ただし、誤認防止措置の特例もあります)。

 

 

2020年5月10日税務サポート

Posted by taxtech-editor