【法人税とは?】法人税の基本知識や課税される条件などを徹底解説!
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「法人税の種類が分からない」「起業をしたら、法人税を必ず払わないといけない?」
会社経営者や実業家であれば避けては通れない「法人税」。しかし、このような疑問や悩みがある人も多いのではないだろうか。
会社経営にとって法人税の支払いは非常に重要で、納税を怠ると脱税で逮捕されるケースもある。
そこで、この記事では法人税の大概や基本について解説する。この記事を読めば、法人税についての基礎基本が理解でき、会社経営に専念できるだろう。
法人税について疑問のある人は、ぜひこの記事を最後まで読んで頂きたい。
目次
法人税の種類
法人税と一口で言っても、大きく分けてその種類は3つある。
・各事業年度の所得への法人税
・各連結事業年度の所得への法人税
・退職年金等積立金への法人税
それぞれ取扱や特徴が異なるため、しっかり理解して頂きたい。
各事業年度の所得への法人税
法人税を納める上で最も該当しやすいのが、「各事業年度の所得への法人税」だ。
各事業年度の所得への法人税は、決算期に税金を申告する形をとっており、期間内の所得額を基準に納める金額を算出する。
また、法人税の対象となる課税所得とは、企業会計上の利益である「収益−費用」ではなく税法上の所得金額「益金−損金」のこと指す。
各連結事業年度の所得への法人税
そもそも連結事業とは、親会社と子会社が連結している法人のことを指す。そして、親会社と子会社をひとつの組織として考えた法人税が「各連結事業年度の所得への法人税」だ。
この方法を選んだ場合は、先程の各事業年度の所得を計上する必要がなくなる。
しかし、子会社の所得を全て計上するのが規則であるため、親会社は注意して頂きたい。
退職年金等積立金への法人税
最後に、「退職年金等積立金への法人税」というものがある。
これは、信託会社・保険会社といった退職年金に関する事業を行う法人に課される法人税だ。
また、退職年金等積立金への法人税は、法人が支払ったタイミングではなく、個人が受け取ったタイミングで課税される。このような微妙なタイミングの違いがあるので、注意して頂きたい。
法人税の対象となる法人
「法人税は起業した時点で全ての法人が課税対象になる?」このような疑問を抱いている人も多いだろう。
しかし、答えはNOだ。
法人税には課税対象にならない法人も存在する。それぞれ課税される、されない法人の条件について理解して頂きたい。
課税対象となる法人
課税対象となる法人の条件を簡単に解説すると、「事業を行うことで利益を得ている法人」だ。
主な法人の種類は以下の通りである。
普通法人 | 協同組合等 |
---|---|
・株式会社 ・有限会社 ・合資会社 ・合名会社 ・相互会社 ・協業組合 ・医療法人 ・日本銀行 ・労働組合 ・管理組合 | ・労働者協同組合 ・農業協同組合 ・生活協同組合 ・漁業協同組合 ・信用金庫 |
また、協同組合は普通法人よりも法人税の課税率が低いことも特徴だ。
課税対象とはならない法人
次に、課税対象とならない法人の条件は、「事業を行うことで利益を得ていない法人」だ。
課税対象とはならない法人には、以下のような組織が挙げられる。
公益法人等 | 公共法人 | 人格のない社団 |
---|---|---|
・社団法人 ・財団法人 ・学校法人 ・宗教法人 ・社会福祉法人 | ・地方公共団体 ・国立大学法人 ・国民金融公庫 ・住宅整備公団 ・日本道路公団 ・日本放送協会 | ・実行委員会 ・同窓会 ・PTA |
このような法人には、基本的に課税は行われない。しかし、事業を通して利益が出ていると課税対象となる。
法人税の計算方法
ここからは、法人税の計算方法について解説する。
しかし、法人税を計算する上でまず理解しておかなればならないのが、「法人税率」だ。それぞれ資本金や区分によって税率が異なるため、計算に用いる税率が変わってくる。
計算方法を理解する前に、まずは法人税率について理解して頂きたい。
法人税率
法人税率は2019年4月1日以降に事業を開始した場合、以下のように設定されている。
区分 | 法人税率 | ||
---|---|---|---|
普通法人 | 資本金1億円以下の法人など | 年800万円以下の部分 | 15% |
年800万円超の部分 | 23.20% | ||
上記以外 | 23.20% | ||
公益法人等 | 公益法人等とみなされているもの | 年800万円以下の部分 | 15% |
年800万円超の部分 | 23.20% | ||
協同組合等 | 年800万円以下の部分 | 15% | |
年800万円超の部分 | 19% | ||
人格のない社団等 | 年800万円以下の部分 | 15% | |
年800万円超の部分 | 23.20% |
法人税額の計算方法
先ほどの表を参考にした上で、法人税額の計算方法を解説する。
・法人税額=課税所得×法人税率-控除額
また、自社の持ち株による受取配当金は課税所得には該当しない。受け取ったお金=課税所得ということではないので、法人税に関する法律も確認しながら仕訳を行うことを推奨する。
法人税の納税について
最後に、法人税の納税についてだ。
「法人税の種類や計算方法は分かったが、どこに申請を行えば良いのか分からない」という人も多いだろう。ここでは、
・納税地
・納税方法
・申告期限
この3つのポイントを解説する。
納税について疑問のある人は、ぜひ参考にして頂きたい。
納税地
法人税の納税地とは会社の本店または主たる事務所の所在地となる。
また、納税地などでお困りの人は、最寄りの税務署に窓口を設けてあるので、足を運ばれてみてはいかがだろうか。
納税方法
法人税の納税方法は納付方法は、ダイレクト納付やクレジットカード納付、コンビニ納付など様々な納付手続きの方法がある。
また、法人税の納品はe-Taxを利用していれば非常に手軽に行える。
納付手続きの方法についての詳細は、国税庁ホームページを参照して頂きたい。
申告期限
そもそも法人税の申告には、中間申告と確定申告の2つが定められている。
中間申告は、事業年度が6カ月超の普通法人の場合には事業開始日から6カ月を経過した日から2カ月以内に所轄税務署に提出しなければならない。
また、確定申告は原則として事業年度終了日の翌日から2カ月以内に所轄税務署に提出しなければならない。
法人税申告について詳しく知りたい人は、次の記事を参考にして頂きたい。
【税理士監修】法人税節税のコツ!
法人税を節税するコツは簡単に大きく分けて3つ紹介!!!
1)損金を増やす
上記の法人税計算式の通り、損金が増えれば所得が減り、税額も減る。
例えば、従業員の給料など、毎月継続してサービスを受けてから、翌月に「後払い」で払うものを年度内に計上することが出来れば、年度内の損金が増やし、所得を減らすと言う事である。
これは主に中小企業に多いのだが、「後払い」は「未払費用」として損金算入出来るものである。
2)益金を減らす
売上を減らすという意味ではなく、例えば入金はされたものの実際の役務提供が次の事業年度になるような場合に、適切に益金(会計上の収益)を繰り延べることによって益金の額を減らし、結果として法人税の額を減らすことができる。
法人税は各事業年度ごとの計算となるので、年度をまたげば課税所得を減らすことにつながる。
3)特別控除を利用する
優遇措置を受けることのできる特別控除を利用することによって節税できる。
例えば、所得拡大促進税制といって、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事 業主は所得税)から税額控除できる制度などがある。その時々の国の政策が反映されるもので、毎年年末に公表される税制改正等で確認しておくと良い。
他には、中小企業投資促進税制なども挙げられる。
まとめ:法人税納税は計画的に
今回は、法人税についての基本知識や納税方法を解説した。
まとめると、
・法人税には3つの種類がある。
・法人税は全ての法人が課税されるわけではなく、「利益を目的としていない法人」には課税されない
・法人税率はそれぞれの区分によって異なる
法人税は、事業を通じて利益を出している法人に課税される税金だ。
申告期限にも規則があるので、法人税納税は計画的に行って頂きたい。
監修税理士・公認会計士からのコメント
法人税は営利目的で起業した場合、必ず通らなくてはならない道です。
創業したての経営者の方には複雑なことも多いですが、ひとつひとつ疑問を解決すればスムーズに納税処理が行えるでしょう。
また、法人税についての疑問は税務署に尋ねてみるのがおすすめです。