【法人税とは?】簡単に、分かりやすく解説!
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目次
法人税とは?

法人税とは、会社や公益法人などの法人が事業活動する上で得た各事業年度の所得にかかる税金のことの総称である。
実際に、法人は利益を得た際に税務署に所得税を申告・納税する義務ある。これは、個人事業においても同様である。
法人税と所得税の大きな違いは、税率である。所得税は、所得の額によって納税額が変動する累進課税制度である。しかし、法人税は法人の資本金規模や所得総額によって変わる。
また、納税の方法は、納税者みずからが税額を計算した上で、所轄の税務署に申告・納税する申告納税方式となっている。その為、より細かく理解する事で、節税などに活かすことが出来るのだ。
法人税法 解説
法人税法とは、法人税について様々な取り決めを定めた法律のことである。
法人を持つ経営者はこの法人税法を理解していないと、知らずに法に触れていたなんてこともあり得るわけだ。一言で言うと、
『経営する上での国のルール』なのである。
では、法人税法の概要について触れていこうと思う。
法人税の種類
1)各事業年度の所得に対する法人税
一般的に認識されているのはこの法人税である。法人の事業活動を通じて得た所得に対して、各年度ごとに税金がかけられる。
なお、「事業年度」とは、法人税を課す所得を計算する期間のこと。基本的には各法人が定款などで定めている会計期間と同一である。
2)各連結事業年度の所得に対する法人税
子会社を含んだグループ全体で、法人税を申告する場合の法人税である。『連結納税』とも呼ぶ。
各連結事業年度の連結所得に対して法人税を適用するか否かは各法人の自由。適用する場合は100%子会社のみ対象である。申告と納税を行うのは親会社で、子会社は連結所得の個別帰属額などを記載した書類を税務署に提出しなければならないのだ。
3)退職年金等積立金に対する法人税
信託会社や保険会社など、積立金を事業としている法人に対して課される税金のことである。具体的に言うと、法人が退職年金として払い続けた掛金は、信託会社や保険会社の場合、払込をした年度に計上されるものとなっている。しかし、実際に課税されるのは従業員が退職して年金を受け取ったときである。
つまり、このタイミングのズレに対して課される法人税という事である。

法人の税金計算方法 まとめ
法人税の計算は、
「(課税)所得×税率」
の計算式できる。計算式自体はシンプルだが、詳細は複雑となっている。ここでは、それぞれの構成される要素について詳しく説明しよう。
・課税所得
毎月の経営状況を確認したり、毎年の税金を計算したりする際、「利益」や「所得」に触れる機会は多いであろう。利益と所得は同じように思えるが、実は異なるものだ。だから、法人の計算をする場合は利益と所得の違いを理解しておく必要があるのだ。
・利益
利益とは、会社の儲けたお金の事。実際に売り上げた収益から経費や仕入れ値を引いた金額の事を示す。一般的に会計上の利益と呼ばれることもある。
この利益は、税金の概算額を把握する目安にはなるが、税金の計算の基になる訳ではない。そのかわりに、税金の計算には所得を使って計算するのだ。
・所得
所得とは、税金の計算の基になる数値である。税法では、税金を計算する上の収益を「益金」、費用を「損金」と言う。所得は、益金から損金を引いた数値で計算される。
税金の計算は、日々の取引履歴から算出された利益(会計上の利益)から始めるが、日々の取引履歴による会計上の収益や費用と、税法上の益金と損金は大きく異ならない。実際の計算の際では、会計上の利益を基に税務調整を行い、課税所得を計算する(確定決算主義)。

法人税率
法人税率は法人の資本金規模や所得総額によって異なる。
平成27年度の税制改正に伴って、これまで25.5%だった法人税率は23.9%に、翌年の平成28年度からは23.4%に引き下げられた。また、平成30年度から23.2%と法改正によって大きく引き下げられた。これらをまとめた内容が表が以下である。
所得金額 | 平成28年4月1日以後開始事業年度 | 平成31年4月1日以後開始事業年度 |
---|---|---|
800万円以下の部分 | 15% | 15%(19%)※ |
800万円超の部分 | 23.4% | 23.2% |
※ 平成31年4月1日以後に開始する事業年度において 、その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等に該当する 法人の年800万円以下の部分については、19%の税率が適用
上の表は資本金が1億円以下の法人に適用される税率表であるが、資本金1億円以下の中小法人は優遇されている。資本金1億円以下の法人、かつ年の所得金額が800万以下であれば税率は15.0%に引き下げられている。ただし、年の所得金額が800万を超える法人は、資本金が1億円以下でも税率23.4%となっている。なお、年の所得金額が0、つまり年単位で赤字だった法人は法人税はゼロになる。
地方法人税って?
地方法人税とは、「会社が事業を行うことによって得た所得に対して課税される税金」の事である。
これまで地方税として地方自治体に納めていたものの一部を、国税にも分配するというものだ。自治体間の税収のばらつきを縮小する目的で作られた。この地方法人税には「地方」とついているが、地方税ではなく国税であるので注意。
法人税の計算方法
法人税の計算方法は、以下の方法で算出される(税率は令和元年10月1日以降開始する課税事業年度)。
地方法人税=法人税額×税率(10.3%)
地方法人税の計算は、法人税額を算出し当該金額に税率を乗じて計算する。法人税の税率は、先ほど述べた通りである。

【税理士監修】法人税節税のコツ!

法人税を節税するコツは簡単に大きく分けて3つ紹介!!!
1)損金を増やす
上記の法人税計算式の通り、損金が増えれば所得が減り、税額も減る。
例えば、従業員の給料など、毎月継続してサービスを受けてから、翌月に「後払い」で払うものを年度内に計上することが出来れば、年度内の損金が増やし、所得を減らすと言う事である。
これは主に中小企業に多いのだが、「後払い」は「未払費用」として損金算入出来るものである。
2)益金を減らす
売上を減らすという意味ではなく、例えば入金はされたものの実際の役務提供が次の事業年度になるような場合に、適切に益金(会計上の収益)を繰り延べることによって益金の額を減らし、結果として法人税の額を減らすことができる。
法人税は各事業年度ごとの計算となるので、年度をまたげば課税所得を減らすことにつながる。
3)特別控除を利用する
優遇措置を受けることのできる特別控除を利用することによって節税できる。
例えば、所得拡大促進税制といって、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事 業主は所得税)から税額控除できる制度などがある。その時々の国の政策が反映されるもので、毎年年末に公表される税制改正等で確認しておくと良い。
他には、中小企業投資促進税制なども挙げられる。

まとめ
いかがだったでしょうか。
TaxTechメディアでは、ややこしいこと、わかりづらいことをシンプルにわかりやすく。
をモットーに経営者の皆様へ有用な情報を提供して行きます。
法人格にかかってくる税金は今回の法人税だけではありませんので、
より網羅的に把握したいという方は以下の記事に全てまとめていますので、参考にしてみてください。
監修税理士・公認会計士からのコメント
法人税は個人の所得税と違って申告書の種類も多く複雑と感じる方も多くいらっしゃいますが、多くの中小企業では課税所得は会計上の利益と一致することが多いので、難しいことはありません。とはいえ最初は慣れないことだと思いますので、Tax Techメディアの他の記事を読まれたりや税理士に聞かれるなどして少しずつに会計・税務に触れていって頂きたいと思います。