【分かりやすく解説】確定申告延長の情報まとめ!

2020年11月14日

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新型コロナウイルス感染拡大の影響で、確定申告の延長ができることになったのは、皆様ご存知だろう。しかし、確定申告延長の詳細が不明な方は多いだろう。

本記事では、確定申告の延長の概要・延長が認められる理由・個人と法人それぞれ向けの期限の個別延長・還付申告などに関して解説する。
具体的な確定申告の延長ができる税金の種類も、合わせてご説明する。

国税庁が定める確定申告の延長期限について、対象ごとに分かりやすくご理解いただけるだろう。

確定申告の期限が1カ月延長

2019年2月27日に国税庁から正式に、確定申告の期限の最大1ヶ月間の延長が発表された。
2019年度分の所得税と贈与税、個人事業者の消費税の申告・納付期限が、確定申告の延長対象だ。

所得税および贈与税

所得税と贈与税は、従来の2020年3月16日の期限が2020年4月16日にまで延ばされた。つまり、1ヶ月間の確定申告の延長である。 対象の申告所得税や贈与税は、下記でご確認いただきたい。

<申告所得税にまつわる関係>

・所得税および復興特別所得税の確定申告
・所得税および復興特別所得税の更正を請求する場合
・所得税の青色申告の承認申請する場合
・青色事業専従者の給与に関する届出の提出(または変更届出)
・所得税の青色申告を取り止める届出の提出
・純損失の金額分の繰戻し結果による、所得税の還付の請求する場合
・所得税の減価償却資産の償却方法を届出る場合
・所得税の減価償却資産の償却方法の変更の承認を申請する場合
・所得税の有価証券や仮想通貨の評価方法の届出の提出
・所得税の有価証券や仮想通貨の評価方法の変更の承認を申請する場合
・個人事業の開業や廃業を届出る場合 <贈与税にまつわる関係>
・贈与税の申告する場合
・贈与税の更正の請求をする場合
・相続時の精算課税の選択を届出る場合

個人消費税

個人消費税は、元来の2020年3月31日の期限から2020年4月16日までに延ばされた。すなわち、約2週間の確定申告の延長だ。 下記の個人消費税が、対象である。

・消費税および地方消費税の確定申告
・消費税および地方消費税の更正の請求

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申告・納付等の期限の個別延長関係

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政府は新型コロナウイルス感染拡大ならびに緊急事態宣言の発動を受け、確定申告の個別延長に対応中である。

確定申告延長の個別申請では、別途申請書などの作成や提出は不要だ。
申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載いただければ、問題がない。
e-Taxの利用者の方であれば、所定の欄に同様の旨をお記しいただきたい。

各税目の具体的な申請手続きは、下記のリンク先でのご確認をお願いしたい。下記ページでは、余白部への記載方法や、e-Taxでの所定の欄への入力方法などを把握いただける。

申告所得税等:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/0020004-021_02.pdf#page=2

相続税:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/0020004-074.pdf#page=2

確定申告期限の柔軟な取扱い

法定申告期限は2020年4月16日だ。

しかし、国税庁は2020年4月17日以降も柔軟に確定申告書を受け付けており、個別に期限延長の取り扱いを行うとのことである。新型コロナウイルス感染症による、外出制限などの状況を考慮した結果だ。

ただし、2019年度分の所得税や贈与税、そして個人事業者の消費税のみが、期限延長の対象となっている。 なお個別の期限延長の終了時期は未定だが、事実上は「期限なく常時、確定申告受け付け期間」となっている。

さらに、国税庁によると、「しばらくはこのまま」とのことだ。つまり、終了時期は不明だが、コロナウイルス感染症の状況が落ち着くまでは継続される特例措置のようである。 加えて、確定申告の不申告は、通常ではペナルティが発生する。

けれどもコロナウイルス感染症による不申告では、ペナルティがない。 よって、確定申告書の作成または来署が可能になれば、税務署へ申し出よう。
個別の申請を通して、確定申告の期限延長の取扱いは認められる。 下記のリンクより、詳細をご確認いただきたい。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/0020004-021_02.pdf#page=2

また申告期限と納付期限は、原則として申告日を提出日とみなす。申告書を郵便や信書便で配送にて税務署に提出する場合は、通信日付印の表示日が提出日となる。

国税通則法22条で規定されているため、納付の際は期限にご注意いただきたい。 納付期限は、申告日から計算して示される。そのため、資金繰りが厳しい場合は申告日を遅らせることで、自動的に納付日も延長できる。

なお、延長後の納付期限までに納付が難しい際にも、納税の猶予制度を適用できる可能性がある。 ただし別途税務署で申請手続きを行い、申請に通過すると適用される。

そのため、まずは所轄の国税局にお電話にてご相談いただきたい。

国税局猶予相談センター:国税局猶予相談センターのご案内|国税庁

期限の個別延長が認められるやむを得ない理由

政府は、新型コロナウイルス感染症が原因の場合は、期限延長の個別申請を認めている。 ただし、以下のような理由で、必須の書類等の作成が遅れる場合が対象である。

1.事務所の職員を含め、税務代理などの担当である税理士が新型コロナウイルス に感染した場合 
2.現在外国に滞在中の納税者や経理責任者などが、ビザを発給できない状況または恐れがある等、入出国を制限される場合
3. 個人事業者や税務士事務所が、普段の業務体制の維持ができない場合
4. 納税者や経理担当として専業での従事者が、新型コロナウイルスに感染、または感染症の患者の濃厚接触者となった場合
5. 保健所・医療機関・自治体等から、納税者が外出自粛を要請された場合

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、外出を控えている場合など、幅広い理由が該当する。 たとえば相続税に絡む確定申告などは、相続人が何度も顔を合わせて話し合うことが一般的だろう。

そして、度重なる協議の結果を踏まえ、遺産分割協議を作成するのである。 けれども相続人の方は、高齢者も多い。

新型コロナウイルス の感染を防止するため、外出を控えていたり、親族の自宅への訪問を断っている場合も少なくない。 ご紹介した理由以外にも、個別の申請をすると申告延長ができる可能性がある。

そのため、不明な時は、所轄の税務署や国税局へご相談いただきたい。

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法人の確定申告について

続いて、法人の確定申告の個別延長について説明する。

法人における期限の個別延長

法人に関しても、政府は柔軟に確定申告の延長を受け付けている。

理由は個人と同じく、新型コロナウイルス感染症の拡大だ。 法人の場合は、所得税の確定申告ができる状況になってから、2ヶ月以内に提出すれば良い。

ただし、申告や納付が不可能な事情がある場合のみである。 先述の「期限の個別延長が認められるやむを得ない理由」でご説明した理由の1〜3は、法人の期限の個別延長にも当てはまる。 さらに、コロナウイルス感染症の拡大防止のため、多数の株主の召集を辞める措置を講じた場合も該当する。

すなわち、定時株主総会の開催時期の遅延などの緊急措置を指す。 詳細は下記のリンクにて、ご確認いただきたい。リンク先では、申告書余白部への記載方法や、e-Taxでの所定の欄への入力方法などを把握いただける。

法人税等:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/0020004-044.pdf#page=2

ゆっくりでも大丈夫!?還付申告

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還付申告は、5年間の申告ができる。医療費控除・ふるさと納税などの寄附金控除・住宅ローン控除による税還付の適用などが対象だ。

よって、2019年度分は2024年12月31日までに申告すれば大丈夫だ。
ただし、還付申告の時期の遅延と同じ期間分、還付金の受け取りも遅れる点に留意いただきたい。

しかし、特にご高齢の方はご自身の感染が不安であれば、経済状況を考慮して検討されると良いだろう。そのため、新型コロナウイルスの感染状況を鑑みて、還付申告の時期を決定されてはいかがだろうか。

なお、確定申告に関し、より詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしていただきたい。

その他延長が可能な手続き一覧

先述でご説明した確定申告の延長の手続き以外にも、次の2種の書類も提出の延長ができる。

・国外財産調書の提出
・財産債務調書の提出

ぜひ、これらに関しても延長可能であることを押さえておいていただきたい。

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まとめ

本記事では、確定申告の延長に関する情報を解説した。個人と法人向けの期限の個別延長・還付申告など重要な点をきちんと押させていただくと良いだろう。

また、具体的に延長可能な税金の種類や、期限延長の対象についても紹介をした。記事を参考に基本事項を理解しつつ、それでも不安な場合は、最寄りの税務署への問い合わせをしてみるのも良いだろう。

2020年11月14日税務サポート

Posted by taxtech-editor