確定申告で重要な還付金とは?計算方法や還付金が発生するケースなどを解説

2020年11月12日

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貴方は確定申告を行う時、還付金について興味を持ったことはないだろうか?

確定申告を行う時は所得税を支払うが、計算ミスなどの要因によって本来支払うべき所得税額よりも多く納付するケースがある。そういう時に見逃せないのが、還付金である。

しかし、還付金を知らない人も多いだろう。そこで今回は、確定申告でよく耳にする還付金について解説しようと思う。

還付金をそもそも知らない人や申告方法がわからない人、もしかしたら納付しすぎているかもしれないと思った人は是非とも参考にしていただきたい。

この記事を読むメリット

・確定申告における還付金の定義、また取得までのスケジュールや申請方法を知ることができる

確定申告の還付金とは?

確定申告において本来納めるべき所得税よりも多く所得税を納付していた場合に、余分に納めていた分が戻されるケースがある。これが還付金である。

この還付金が返ってくる条件は、事業が赤字、もしくは所得控除を受けた時などだ。上記によって納付する所得税額が減額された場合、本来納付する所得税額よりも既に納付されている所得税額の方が多いことになる。

このような状況になった時に、納めすぎた税金が還付金として返ってくる。要するに過払い金のようなものだと思ってもらっても差し支えないだろう。

事業が赤字、もしくは所得控除などを行った時は、既に納付した所得税額の方が多くなっていないか確認すべきだ。

「確定申告」と「還付申告」の違い

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あなたは確定申告と還付申告では明確な違いを知っているだろうか。

確定申告は前年の決算をまとめるようなものだが、還付申告は払い過ぎた所得税を返金してもらうことにある。それでは、確定申告と還付申告ではどのような違いがあるのか解説しよう。

目的が違う

確定申告と還付申告では、上述した説明から見ても分かる通り、目的が全く異なる。確定申告は所得税額を計算し、それを申告して税金を納付するために行うものだ。

それに対し、還付申告は逆に納めすぎた税金の返金してもらうために行うものとなる。確定申告ありきの還付申告ゆえに、確定申告で何も問題がなければ還付申告は行わなくて良い。

申告期限が違う

確定申告と還付申告では、申告期限が明確に違う。確定申告の申告期限は基本的に翌年の2月16日~同年3月15日となっている。

一方、還付申告の申告期限は翌年の1月1日~5年間である。つまり、確定申告の期限はわずか1ヶ月しかないのに、還付申告は5年間も猶予があるのだ。このことから、確定申告を行う重要性が垣間見えると言えるだろう。

期限後に申告した時の違い

確定申告を行う場合、気を付けなければならないのは必ず期限内、つまり2月16日~3月15日の間に申告を済ませなければならない点である。

もし期限内に確定申告を行わなかった場合、追徴課税などの罰を受けることになる。計算を間違えた場合は1年以内に修正申告をしなければならない。

では、還付申告はどうだろうか?

還付申告は翌年の1月1日~5年間なので、万が一期限後に申告しても何ら罰を受けることはない。確定申告を行う時だけ、期限内に申告するようにしよう。

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確定申告の還付金はいつもらえる?

事業期間は基本的に1月1日~12月31日で、1年間の所得から経費を差し引いた所得税額を計算しなければならない。

そして所得税の納付期限は基本的に2月16日~3月15日となる。還付金を受け取るからには早く受け取りたいものだが、実際は還付金がもらえるタイミングは人それぞれである。

何故なら、確定申告の時期や提出の仕方が行う人により違うからだ。

税務署の混雑状況や確定申告を期限間近に行うなど、申告するタイミングが重要だ。還付金がもらえる時期は、基本的には確定申告後、1ヶ月~2ヶ月となっている。

ちなみにe-Taxで確定申告を行った場合、3週間程度で振り込まれるので早く還付金が欲しい人はe-Taxで行ってもらいたい。

e-Taxの場合、このように還付金の振り込みが早い。これは税務署等に書類を送る必要がないからである。e-Taxは電子申告なので素早く手続きが出来る上に、e-Taxのサイトにログインすれば還付金の支払予定日や還付金がどう処理されているかまでわかる。

こう見れば、普通に確定申告をするよりもe-Taxの方が便利だろ言うことが分かるだろう。なお、e-Taxでの確定申告に関して詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事を参考にしていただきたい。

納税額・還付金額の申告書記入法

まず、還付申告書の「還付される税金の受取場所」などの欄に納税者の預金口座といった様々な個人情報を記載する必要性がある。

次に、本当に還付金があるのかないのか確認しよう。もし確定申告時に、納めるべき税額の欄がプラスになっていたら、納付した所得税が足りていないので追加で納付しなければならない。

だが、納める税額の欄が空欄で、さらに還付される税額の欄に金額が書かれていた場合、その分の還付金を受け取ることができる。

つまり、それだけ所得税を払い過ぎていたということだ。

「いくらもらえる?」還付金の計算方法

還付金の計算方法は、以下の通りだ。

①総所得金額から所得控除額を差し引く
②算出された課税所得額に一定の税率をかけて所得税額を算出する
③税額控除がある場合は算出された所得税額から税額控除を差し引く
④既に源泉徴収されている源泉所得税と所得税額の差額を計算する

こうして算出された差額分が還付金となる。言い換えれば、源泉徴収の金額から所得税を差し引いた差額を求めるわけだ。

だが、この時に求めた差額がマイナスの場合は逆に納付する所得税が足りていないため、随時追加で納税しなければならない。

計算時には差額分がマイナスになるかプラスになるかで考えよう。

年末調整で還付金がもらえるケース

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年末調整において還付金として、納めた所得税が返ってくるケースがいくつかある。
それぞれ条件が違うため、当てはまっていないか確認してもらいたい。

それでは、還付金がもらえるケースについて解説しよう。

扶養家族が増えた

源泉所得税は前年に本人が提出した扶養控除申告書の内容を基にして計算される。そして、扶養家族が増えたことによって扶養控除が受けられる。

扶養控除を受ける条件は、子どもや両親、兄弟や姉妹などの扶養親族の合計所得が38万円であること。
そして控除対象扶養親族がいる人だ。

もしも年度途中で扶養家族が増えた場合、会社は新たに増えた扶養控除が受けられる人に気づけないため、前年度をもとに源泉所得税を計算することになる。

このようにして、払い過ぎの状況が生まれるのだ。

社会保険料控除

通常、社会保険料は会社側が自動的に天引きしてくれるので考えることは少ないだろう。
しかし、何らかの理由で社会保険料を自分で支払った場合、会社側はその分の金額を把握することはできない。

つまり、年末調整の際に社会保険料を自分で支払ったことで社会保険料控除を適用する必要性があるのだ。
社会保険料控除が適用されれば、社会保険料として支払った全額が還付金として返金される。

離婚または死別

もしも離婚または死別した場合、女性なら寡婦控除、男性なら寡夫控除が受けられる。
寡婦控除、または寡夫控除で受けられる控除額は、以下の通りだ。

・寡婦控除=27万円
・特定の寡婦控除=35万円
・寡夫控除=27万円

なお、控除が適用されるのは、子どもやその他の親族を一人で育てなければならない状況、または所得額が一定以下の場合だ。

本人が障害者(または家族に障害者)

本人もしくは家族に障害者がいる場合、障害者控除が受け取れる。
障害者控除を受けることによって所得額が減るため、年末調整で還付金が受け取れる可能性が高まる。

なお、控除金額は以下の通りだ。

・障害者控除=27万円
・特別障害者=40万円
・特別障害者と生計を共にしており、なおかつ同居している同居特別障害者=75万円
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まとめ

確定申告がメインなのであまり注目されにくい還付金だが、何かしらの控除を受けている人は還付金を見逃していないか注意しよう。

確定申告は年末調整を行い、翌年の2月16日~3月15日の1ヶ月間に必ず納付しなければならない。

だが、還付申告は翌年から5年間と非常に期限が長く、期限を過ぎてもペナルティはない。払い過ぎた税金を返してくれるというのだから、いくら猶予があるといってもそのことを忘れてしまう可能性があるだろう。

還付金がもらえるケースを確認して、自分も当てはまるようであれば特別な理由がない限り早めの申請をおすすめする。

2020年11月12日税務サポート

Posted by taxtech-editor