所得税はいくらから?具体的な金額をもとに解説します!

2020年11月12日

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給与所得者、フリーランスを問わず、所得を得ている人は「所得税」を納付する必要がある。ただ、実際どれくらい所得税がかかるのか、具体的な計算方法を知らない方もいるだろう。

そこで本記事では、所得税の概要や計算方法などについて、詳細を解説していく。

この記事を読むメリット

・具体的な金額に照らし合わせ、いくらから所得税が生じるかを知ることができる

【おさらい】所得税とは?

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まず初めに、所得税の概要についておさらいしていく。

所得税とは、個人の所得に対して課せられる税金のこと。会社員などの給与所得者の場合は、会社が事前に源泉徴収を行っており、給料から天引きされる形で納付を行う。

源泉徴収では一般的に、本来納めるべき所得税額よりも多い金額を天引きするため、引き過ぎた所得税は年末調整によって還付される。フリーランスなどの個人事業主の場合は、確定申告により所得税額が決定する。

所得税の計算式は下記の通り。

所得税額=(総所得金額ー所得控除額)×所得税率ー税額控除金額
*総所得金額=総収入金額ー必要経費

所得税の概要について、より詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしていただきたい。

月88,000円以上稼いでいるケース

月あたりの給料が88,000円以上の場合、金額によって給料から源泉徴収が行われる。たとえば、月給が88,000円以上、89,000円未満の場合は、「130円」が源泉徴収されることになる。

ただし、年間の給料合計金額が103万円以下の場合は、所得税は課されない。源泉徴収で引かれた金額は、アルバイトやパートであっても年末調整で返ってくるので安心だ。

あくまでも「年間の合計金額」が103万円以下で収まっていれば、ひと月で10万円、20万円稼いでも、所得税は0円ということになる。

年間に課税所得金額が103万円以上のケース

アルバイトやパートして働いていると、「103万円の壁」という言葉を一度は耳にするだろう。103万円の壁とは、扶養控除内で働くための条件のことで、103万円を超えた所得を得た場合、配偶者や親の扶養控除から外れることになる。

扶養控除から外れると、自身で所得税を納めなければならない。また、特段扶養控除に入っていない場合でも、年収103万円を超えると所得税が発生する。

103万円という金額は、下記の計算式によって導き出された数字だ。 給与所得控除額+基礎控除額=55万円+48万円=103万円 *給与所得控除額の最低金額が「55万円」となる 103万円を超えなければ、控除によって課税所得額が「0円」になるため、所得税が発生しないというしくみだ。

逆に言えば、103万円を超えると、課税所得額が控除で0円とならないため、所得税が課されることになる。 注意して欲しいのが、103万円という条件は「給与所得者のみ」に限定される点だ。

フリーランスなどの個人事業主の場合、給与所得ではなく事業所得など他の所得がメインの収入源になる。そのため、上記の式に「給与所得控除額」が考慮されなくなるのだ。

個人事業主の場合、所得税が発生しない条件は「年間48万円以下」ということになるので、注意しなければいけない。

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所得税はいくらからかかるのか?

所得税の計算は、

所得税額=(総所得金額ー所得控除額)×所得税率ー税額控除金額

の式を用いて行う。

この中で、肝になってくるのが「所得税率」。所得税率は、給与所得の金額によって決まる。給与所得は、年収額そのものではなく、下記の式にて計算した金額になる。

給与所得=年間の収入ー給与所得控除額

給与所得控除額は、収入金額によって下記の通り設定されている。

年間の収入金額給与所得控除額
162万5000円以下55万円
162万5000円超~180万円以下収入金額×40%ー10万円
180万円超~360万円以下収入金額×30%+8万円
360万円超~660万円以下収入金額×20%+44万円
660万円超~850万円以下収入金額×10%+110万円
850万円超195万円

たとえば、年収が400万円の場合、給与所得は、

400万円ー(400万円×20%+44万円)=276万円

となる。この金額をもとにして所得税率を算出していく。

所得税率は「累進課税」が適用される

日本では、所得税には「累進課税」と呼ばれる制度が適用されている。累進課税とは、給与所得金額が大きくなるほど税率が高くしくみで、最大「45%」の税率が課されてくる。所得税の累進課税による税率は下記の通り。

課税所得金額税率
195万円以下5%
195万円超~330万円以下10%
330万円超~695万円以下20%
695万円超~900万円以下23%
900万円超~1800万円以下33%
1800万円超~4000万円以下40%
4000万円超45%

所得が数千万円単位になってくると、個人事業主の場合は法人を設立した方が税率が有利になる(法人税の場合は、累進課税が適用されずに、税率が一定の範囲で固定される)。

【フリーランス】確定申告はいくらから?

フリーランスは、下記の条件を踏まえた上で、残額が生じた場合に確定申告を行う必要がある。

・課税所得金額の有無
・課税所得金額が生じた場合に、所得税率を乗じて所得税額を算出
・所得税額から各種控除を引く

仮に事業所得で収入が100万円あったとしよう。経費が30万円だとすると、所得の合計金額は70万円となる。ここから基礎控除の48万円を差し引くと、残額は「22万円」となる。この残額が課税所得金額となり、この金額をもとに所得税率が決定する。

逆に言えば、計算の結果、課税所得金額が残らなければ、所得税は課されない。「所得税がない=税金を申告する必要がない」ということなので、確定申告をする必要もなくなるわけだ。

配偶者控除など、基礎控除以外の控除も所得金額から差し引けるので、一概には言えないが、フリーランスが確定申告を行う基準は「年間の収入が48万円よりも大きい(基礎控除よりも大きい金額)」である場合と認識しておくと良いだろう。

【給与所得がある場合の副業】確定申告はいくらから?

給与所得を得ている人が副業を行っている場合、その副業の形態によって確定申告の基準が変わってきます。副業の形態は、主に下記の2つに分けられる。

・給与を得ている所は1つ+給与所得以外の所得
・給与を得ている所が2つ

さっそくそれぞれの形態を解説していく。

給与を得ている所が1つ+給与所得以外の所得

給与を1つの会社からもらっていて、かつ副業で不動産所得やオークションなどの雑所得を得ている場合、給与以外の所得の合計金額が20万円を超えると、確定申告を行う必要がある。

給与以外の所得が20万円以下であれば、確定申告をする必要はない。

給与を得ている所が2つ

給与を2つの会社から得ている場合は、2つの給与所得の合計額から、「基礎控除」「医療費控除」「雑損控除」「寄付金控除」以外の所得控除を引いた残額が「150万円」を超える場合は、確定申告の必要がある。

逆に、2つの会社から給与を得ていても、150万円以下に抑えられたら確定申告の必要はない。

ただし、正社員として働いている場合は、所得の合計が150万円を超えるケースが大半であるので、確定申告を行うものと考えた方が無難だろう。

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「所得税の壁」について

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所得税には、前述した「103万円の壁」と同じように、超えると適用される税率が変わってくる「所得税の壁」が存在する。もう一つの所得税の壁は「150万円の壁」だ。

150万円の壁は、「配偶者特別控除」に関わってくる。もし、夫が配偶者控除を利用している場合、配偶者の所得が150万円を超えると、控除金額が段階的に少なくなる。

配偶者特別控除は、満額で38万円の控除が適用されるが、配偶者の所得が201万円を超えると0円になる。

まとめ

所得税は、給与所得者や個人事業主などの所得に課せられる税金である。

所得金額が大きくなるほど、所得税率が高くなるのが特徴だ。各種控除を利用することで、課税所得金額を減らすことができるが、配偶者の場合は所得金額によって所得税の有無が変わってくるので注意が必要。

また、複数の会社から所得を得ている、もしくは副業で所得を得ている場合は、金額によっては確定申告を行う必要がある。該当する場合は忘れずに確定申告をしなければいけない。

個人事業主の場合は、所得金額によっては法人を設立した方が、税制上有利になることもある。現在の所得税を今一度見直して、最も所得税を抑えられる選択を行うべきだろう。

2020年11月12日税務サポート

Posted by taxtech-editor