税務の基本【決算書の作り方】自分で作成から依頼方法まで まとめ

2020年7月31日

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決算書は、会社の経営状態や財務状況を知るいわば「会社の成績表」。会社の方針を決めたり、資金調達を行ったりする上でとても重要な書類であるが、どのように作成したら良いのか悩んでいる経営者も多いだろう。決算書は自分で作成することもできるが、作成を代行することもできる。今回は、決算書を作成する際の流れや費用、注意点及び作成代行の依頼先の選び方まで、網羅的に分かりやすくまとめていく。

本記事を読むメリット

  • 決算書の作成の具体的な方法と依頼する場合のケースや依頼先の把握ができる

決算書の作り方とは?

決算書とは、事業年度で会計期間を区切り、会社の経営状態や財務状況を表す書類のことである。正式には「財務諸表」と呼ばれ、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」の3つがメインの書類である。

決算期が終了すると、まず経理担当者が会社全体のお金の流れや業績をまとめて決算書の案を作成する。その後役員会の承認を得て、株主総会で承認、公開される。株主にとって決算書は、自分たちが出資したお金がきちんと有効に使われているのかを確認する書類でもある。また、融資による資金調達を行う場合は、銀行などの金融機関がその会社に融資しても大丈夫かを判断する材料としても使われる。

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決算書を作る流れ

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会社を経営する上でとても重要な書類である決算書だが、具体的にどのように作っていくのか。決算書を作る流れは、大まかに以下の3つのステップがある。

  • 決算残高を確定させる
  • 税金等を計算・確認する
  • 決算書の作成

それぞれ詳しく解説していく。

①決算残高を確定させる

決算書を作成する際は、まず決算残高を確定させる必要がある。勘定科目の「実際の残高・在高」、「あるべき残高」と「合計残高試算表の科目残高」を照らしあわせて、決算日現在の各勘定科目の残高が、実際の残高と一致しているかを確認していく作業だ。現金や預金、売掛金や買掛金、借入金や固定資産など、原則としてすべての勘定科目についてそれぞれチェックしていく。

現金や小口現金は、手元の金庫を確認すれば残高が分かる。預金残高や借入金の残高などは、金融機関に「決算日現在の残高証明書」の発行を依頼して、各残高の確認をする。買掛金や未払金などは、決算日現在で支払がされていないものを集計し、残高を確認していく。固定資産については、事業年度内の新規取得や廃棄・売却を確認し、減価償却費を計算し帳簿上の残高を確定させる。また在庫などの棚卸資産についても、在庫商品や材料などを棚卸しして実際の在高を算出する。

この作業を進める中で発生する仕訳は、通常業務内の仕訳と決算時の仕訳を明確に区分するため「決算整理仕訳」と呼ぶ。例えば減価償却費の計上や棚卸差額の計上などがある。残高が確定したら、「勘定科目内訳明細」という文書を作成する。法人税の申告の際に提出しなければならない書類の一つなので、正確に記入する。

②税金等を計算・確認する

決算残高の確定が済んだら、税金等を計算・確認していく。税金の計算は「消費税→法人税等」の順で行う。

まず、消費税を計算する。消費税は、「仮受消費税」から「仮払消費税」を差し引いて計算する。「仮受消費税」とは売上などによって預かった消費税、「仮払消費税」とは仕入や経費の支払などで支払った消費税である。計算によって求めた仮受消費税や仮払消費税の金額と、帳簿上のそれぞれの消費税の残高には、差異が生じることが多い。この差異を修正し、確定した確定した消費税額を未払消費税額として決算書に計上する。

次に法人税などを計算する。法人税のほか、主に法人県民税、法人市民税、事業税などがある。これらの計算には法令改正等による影響が大きく、専門的な知識を要するため、税理士などの外部の専門家に依頼するケースが多い。計算された税額を、決算整理仕訳の最後に計上する。

③決算書の作成

上記の作業で確定した残高などから、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書、損益計算書などの決算書を法令に定められた書式にもとづいて作成する。経理担当者が作成した後に経営者が確認し、その後役員会で承認、株主総会に提出・承認という流れになることが多い。

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決算書作成を依頼するなら

自社で決算書作成ができない場合は、代行を依頼することもできる。ここでは決算書作成を依頼する方法についてご紹介する。

①税理士事務所

依頼書作成の代行は、税理士事務所に依頼する方法が一般的だ。顧問契約している税理士がいるなら、そこに代行をお願いすれば良い。しかし税務的な相談を頻繁に行う必要がない会社だと、顧問税理士がいない場合もあるだろう。そんなとこいは決算申告のみをスポットで依頼することもできる。決算時期のみなので税理士とのやりとりにもそこまで時間がかからず、また毎月の費用を支払う必要がないため顧問契約よりも安く済む。費用は決算時期のみで15万~30万が目安だ。

しかし顧問税理士がいないと、税務調査が入った場合は代表者自らが対応しなければならない。税務調査で突っ込まれたことに対して自分でしっかり説明できるように準備が必要だ。

②10bookを活用

なるべくコストをかけずに決算書作成を依頼するなら、会計ソフトを活用する方法もある。10bookなら、会計管理から税務申告、決算書の作成までワンストップで行える。少しでも節約したいという創業初期の起業家にはおすすめだ。原則としてエクセルにて取引を記録してアップロードすることで、正規の簿記の原則に基づく仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳などの標準的な帳簿の作成、貸借対照表、損益計算書および株主資本等変動計算書の決算書を作成することができる。またファイル保存機能があるため、契約書、提出した税務申告書など、会計税務に関連するファイルも保管できる。

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まとめ

今回は、決算書を作成する際の流れや費用、注意点及び作成代行の依頼先の選び方まで、網羅的に分かりやすくご紹介した。決算書は1年間を通してつけてきた帳簿をもとに作成するため、日々の帳簿付けがとても重要である。「決算期にやれば良いだろう」と思って後回しにしていると、決算期に大変な業務に追われることになる。焦らなくて済むように、日々少しずつ準備を進めておこう。

税理士・公認会計士コメント

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