あなたの税率はどれくらい?所得税の税率の仕組みや計算方法を解説
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貴方は自分がどのくらいの所得税を納めるのか計算したことがあるだろうか。
所得税は個人の所得額に応じて課税される税金であり、所得額が多くなるほど課税される税金も増える。
しかし、税率がどのくらいになっているのか、自分が稼いだ所得額はどのくらいの税率になるのか、計算する方法について知らない人も多いだろう。
そこで今回は、所得税の税率の仕組みや所得税の計算方法について解説する。この記事を読むことにより、所得税の算出方法や所得控除、税額控除などが分かるだろう。
これは確定申告の時にも役立つので、是非とも参考にしていただきたい。
この記事を読むメリット
・所得税の算出方法や所得控除、税額控除などが分かる
目次
所得税とは?
そもそも所得税というのは個人の所得額に応じて課税される税金であり、年収から経費を差し引いた後の金額に税率をかけて計算されるものだ。
所得の種類は「給与」「事業」「配当」「不動産」「譲渡」「一時」「雑」の7つの所得から構成される総合課税と、「退職」「利子」「土地等の譲渡」「株式等の譲渡等」「山林」の5つの所得からなる分離課税で構成されている。
【早見表】平均年収から見た税率
所得税の仕組みが分かったところで、自分の年収はどのくらいの所得税がかかるのか知りたい人もいるだろう。
国税庁HPの課税所得金額に対する税率は以下の通りになっている。
課税所得金額 | 税率 |
---|---|
195万円以下 | 5% |
195万円以上330万円以下 | 10% |
330万円以上695万円以下 | 20% |
695万円以上900万円以下 | 23% |
900万円以上1800万円以下 | 33% |
1800万円以上4000万円以下 | 40% |
4000万円以上 | 45% |
さらに年収ごとに所得金額、税率、税額を細かくすると、以下の通りになる。
年収 | 課税所得額 | 税率 | 所得税額 |
---|---|---|---|
300万円 | 111万円 | 5% | 6万円 |
400万円 | 170万円 | 5% | 9万円 |
500万円 | 236万円 | 10% | 14万円 |
600万円 | 302万円 | 10% | 20万円 |
700万円 | 371万円 | 20% | 31万円 |
800万円 | 447万円 | 20% | 47万円 |
900万円 | 527万円 | 20% | 63万円 |
1000万円 | 613万円 | 20% | 80万円 |
1100万円 | 699万円 | 23% | 97万円 |
1200万円 | 784万円 | 23% | 117万円 |
1300万円 | 870万円 | 23% | 136万円 |
1400万円 | 955万円 | 33% | 162万円 |
1500万円 | 1041万円 | 33% | 190万円 |
1600万円 | 1127万円 | 33% | 218万円 |
1700万円 | 1212万円 | 33% | 246万円 |
1800万円 | 1298万円 | 33% | 275万円 |
1900万円 | 1383万円 | 33% | 303万円 |
2000万円 | 1469万円 | 33% | 331万円 |
5000万円 | 4085万円 | 45% | 1359万円 |
以上を参考にして自分の年収に対する税率や所得税額を確認しよう。
所得税の計算方法
所得税の計算方法は、一見すると複雑そうに見えるので混乱する人も多いだろう。
しかし、以下の項目をチェックすれば、比較的簡単に所得税を計算することができる。確定申告に備え、所得税の計算方法をチェックしてスムーズな納税を行うのが得策である。
それでは、所得税の計算方法について解説しよう。
ステップ1:(収入)-(必要経費)
まず最初に、所得税は基本的に収入から必要経費を差し引いた金額に課税されるものである。
つまり、あらかじめ年間の収入と1年間に発生した経費の総額を計算すれば、所得税が割り出せるのだ。
たとえば年収が1000万円あり、経費が400万円合った場合は年収から経費を差し引くので1000-400となり、計600万円が所得額となる。
この所得額に応じた税率がかかるため、どのくらいの所得税になるかを計算する必要性がある。
ステップ2:所得控除
所得控除とは一定の条件を満たしている場合に限り、合計所得額から一定の金額を差し引くというものである。
この控除には、以下のような種類がある。
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄付金控除
- 寡婦・寡夫控除
- 勤労学生控除
- 障害者控除
- 配偶者控除
- 扶養控除
- 基礎控除
- 青色申告特別控除
- ひとり親控除
自分がどの控除を受けられるのか、条件をチェックするのがおすすめだ。
ステップ3:税率と控除額の差し引き
所得税を計算する時は、先に所得控除を差し引き、残った所得に税率をかける計算方法になる。
この順番を間違えると所得税が違ってしまうので、順番は間違えないように注意したい。
ステップ4:復興特別所得税額
復興特別所得税額とは、東日本大震災からの復興のために納税する税金である。
納税者全員が支払う税金であり、税額は所得税額の2.1%と一律で決まっている。
サラリーマンなら源泉所得税と一緒に徴収され、個人で所得税を納める場合は確定申告の際に所得税と一緒に納税しなければならない。
復興特別所得税額は2037年までと期間が決められているため、現状2037年以降は課税されないと考えていいだろう。
ステップ5:税額控除
本来であれば所得額から所得税額を差し引き、残った金額に税率をかけるものだが、ここから算出された税額から直接控除できるのが税額控除である。
自分で確定申告を行わなければ適用されないが、所得控除よりも控除額が高く、節税方法としても利用されている。
ただし、税額控除が一定条件を満たさなければ受けられないため、注意が必要だ。
以下が税額控除の種類である。
- 寄付をした時
- 自然災害や盗難・横領の被害に遭った時
- 株式投資を初めとする配当金を受け取った時
- 住宅を購入した時
- バリアフリー改修工事や省エネ改修工事などを行った時
- 認定住宅の購入・新築を行った時
- 外国税額控除
- 源泉徴収税額
- 租税特別措置法による税額控除
節税などの目的で税額控除を受けたいなら、条件を確認するのがおすすめだ。
【節税】所得税を減らす方法
所得税を減らすためには、節税対策を行う必要性がある。この節税方法は個人事業主とサラリーマンで違うため、事前にチェックするのがおすすめだ。
それでは、個人事業主とサラリーマンの節税方法について解説する。
個人事業主のケース
個人事業主は節税効率が高いため、以下の節税方法を活用すれば思った以上に所得税を抑えられるだろう。
- 青色申告の承認を全て受ける
- 事業に関わるものを全て必要経費にする
- 光熱費や家賃は按分で経費にできる
- 消費税や固定資産税を経費にする
- 短期前払費用の特例を活用する
- 少額減価償却資産の特例を活用する
- 生命保険・介護医療保険・個人年金に加入する
- 小規模企業共済の加入
- 経済セーフティ共済への加入
- 確定拠出年金
- ふるさと納税
以上の方法があるため、積極的に利用しよう。
サラリーマンのケース
サラリーマンは個人事業主よりも節税効率が悪いと言われているが、以下のような節税方法がある。
- ふるさと納税
- 確定拠出年金
- 特定支出控除
- 医療費控除
- セルフメディケーション税制
- 配偶者控除
- 扶養控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 住宅ローン控除
- 雑損控除
- NISAと積立NISA
- クレジットカードで年金を納める
以上の方法があるため、積極的に利用しよう。
計算ツールを活用しよう
所得税を計算するためには、年間いくら稼いだかを算出し、1年間で発生した経費の合計を算出する。
そして収入から経費を差し引き、さらに条件を満たした所得控除を差し引いた後に税額を算出してから条件を満たしている税額控除を差し引くことになる。
しかし、この計算は慣れている人でも時間がかかるため、忙しい人は計算する暇がないかもしれない。
そんな時に活用したいのが、所得税の自動計算ツールだ。
自動計算ツールであれば項目ごとに数字を入力するだけで、自動的に所得税額を算出してくれる。
会計ソフトに関しては、ぜひ以下の記事も参考にしていただきたい。
まとめ
所得税の税率は人によって違うため、年間の収入や発生した経費などをその都度計算しておく必要性があるだろう。
節税を狙っているのであれば、所得控除や税額控除の条件を満たす努力も必要だ。
所得税の計算は上述した方法を確認すれば分かりやすいが、計算が面倒だという人は自動計算ツールを使うのがおすすめである。