【基礎知識】 雑所得の税率を詳しく解説!
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「雑所得って何ですか?」
会社員で副業をしている人の多くが、雑所得について知りたいと考えているだろう。
この記事では、雑所得について網羅的に解説する。
確定申告を行う必要のあるケースや、支払うべき税金の計算方法など説明しているため、是非ご覧いただきたい。
本記事を読むメリット
・雑所得に関して、基礎知識から理解することができる
目次
雑所得とは?
雑所得とは、雇われている会社から頂く給料ではなく、個人で稼いだ収入である。よく似ているのに事業所得というものがあるが、違いに明確な定義はない。
下記の9つの分類に当てはまらない所得であれば、雑所得に分類される。
- 利子所得 : 預貯金の利息や債券の利子
- 配当所得: 株式の配当など
- 不動産所得: アパート経営等で得た所得
- 事業所得 : 農業や小売業などの事業で得た所得
- 給与所得: 雇用関係のもと発生する給与
- 退職所得: 退職金等の一時所得
- 山林所得: 立木の伐採や譲渡による所得
- 譲渡所得: 自宅等の資産を譲渡して得た所得
- 一時所得: 懸賞の賞金、公営競技の払戻金など
雑所得に当確するものは、副業で稼いだ収入になることが多い。会社員が貰っている給料は給与所得で、副業で稼いだ所得は雑所得になる。
雑所得は2種類に分類
雑所得には大きく2つに分けることが可能で、『公的年金等の雑所得』と『公的年金以外の雑所得』がある。
それぞれの特徴をまとめたため、下記で確認して頂きたい。
公的年金等の雑所得
公的年金等の雑所得とは、主に年金による収入だ。
勤務先の会社から支払われる年金だけでなく、様々な法律によって定められた年金も雑所得に分類することになる。
具体例として、雑所得になる年金を下記にまとめておいたので確認して頂きたい。
厚生年金・国民年金などの年金収入 | 年間の年金収入が400万円以下で、雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合は確定申告が不要。 |
共済金(小規模企業共済等) | 共済金(小規模企業共済等)とは、事業主が将来のためにお金を貯蓄できる制度。節税にもなるため多くの人が利用している。分割で受け取るのであれば、雑所得として申請しなければならない。 |
企業年金 | 企業年金は3種類あるが、全て雑所得として申告する必要がある。 |
満期保険金 | 多くの保険商材があるが、年金として受け取る対応の商品は全て雑所得として申告する必要がある。 保険金を一時金として受け取る場合には、一時所得として申告しなければならない。 |
また、保険による収入も雑所得として扱われるものがある。
それも下記にまとめておくので、確認して頂きたい。
- 生命保険金
- 学資保険
- 個人年金保険
- 収入保障保険
- 終身保険
公的年金等に当たる雑所得の計算式は、『収入金額 - 公的年金等控除額』。
計算して出た所得額に応じて税率が決定する。
保険は申告方法によって大きな節税対策になる。受け取る場合は、どの区分で確定申告を行うべきか、どの受取方法を選ぶべきか税理士に相談した方が良いだろう。
公的年金以外の雑所得
公的年金以外の雑所得には、副業などで稼いだお金がそれに当たる。
例えば株や仮想通貨などの投資で稼いだ金額は、雑所得だ。投資でなくても、個人でライティングの案件を受注して収入を得たのであれば、雑所得になる。
注意するべき点は、稼いだ金額がそのまま雑所得になるわけではない点。
副業で得た収益から経費を差し引いた額が雑所得になるため、事業で使ったお金は領収書を取っておくことが大切だ。
【副業アフィリエイターの例】
年間収入30万円−経費12万円(サーバー代や書籍代)=雑所得18万円
雑所得が20万円以下のため、確定申告は不要。
会社員ではなく本業でやっているのであれば、申告が必要になる。
年間収入300万円−経費120万円(サーバー代や書籍代)=雑所得180万円
雑所得が20万円を超えているため、会社員でも確定申告を行う必要がある。
雑所得にかかる税率はどれくらい?
雑所得には、所得税と住民税を支払う必要がある。
住民税の税率は一律10%で、所得税率は所得額によって異なる。(所得毎の税率は下記参照)
所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
多くの人が上記の表を見て疑問に思うだろう。
330万円稼いだ人は税率が10%、331万円稼いだ人は税率が20%。
たった1万円で税率が10%変わるが、実際に支払う納税額を計算してみた。
収入 330万円×10%-9万7500円=23万2500円
収入 331万円×20%-42万7500円=23万4500円
このように累進課税で税率が上がっても、控除額によって急に納税額が増えることはない。
雑所得の税率計算方法
雑所得の計算方法は、『収入金額−必要経費』の計算式に所定の税率を掛けて算出する。
経費で落とせるものは、事業の売上に関わったものや、関わる可能性のあったものに限る。
よくプライベートで娯楽施設や飲食店で稼いだお金を経費にする企業があるが、税務署に見つかり多額の追加納税を支払う可能性が出てくるためおすすめしない。
事業に関わったものを経費で落とすのであれば、領収書を保管しておくことが必要だ。必ず帳簿と一緒に保管しておくことが義務である。
「雑所得が20万円以下なら申告不要」の罠とは
『収入金額−必要経費』で得た雑所得が20万円を超えた場合は、確定申告を行わなければならない。ただ例外もあるため、20万円の基準を詳しく解説する。
【雑所得が20万円以下】申告が必要なケース
下記に当確するのであれば、副業でどれだけ小さな金額を稼いでいても確定申告を行う必要がある。
・給与の年間収入金額が2,000万円を超えている
・医療費控除等を受けるために確定申告をする予定がある
また個人事業主として活動している人や、会社で年末調整を行なっていない場合は、個人で確定申告を行わなければいけない。
【雑所得が20万円以下】申告が不要なケース
雑所得での収入が20万円以下の会社員は、原則自ら確定申告を行う必要はない。
よくある勘違いとして、収入25万円で経費が6万円だった場合。このようなケースは、事業所得が19万円として計算されるため、確定申告を行う必要はない。
ただ、経費の6万円を証明する領収書は保管しておいた方が良い。
なお、法人の場合の確定申告に関し、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしていただきたい。
雑所得における経費計上
最後に、雑所得における経費計上についてまとめておく。経費を知ることで、節税対策をすることが可能になる。
本記事でも何度か解説したように、事業に関わるものを経費にすることができる。プライベートで使ったお金は経費にすることができない。
下記に経費にできる出費をまとめておいたので、ご確認いただきたい。
- 地代家賃
- 租税公課
- 荷造運賃
- 水道光熱費
- 旅費交通費
- 通信費
- 広告宣伝費
- 接待交際費
- 損害保険料
- 修繕費
- 消耗品費
- 外注工賃
- 雑費
紛らわしいものが、『家事按分』。
自宅で作業をしている人は、部屋が仕事場になっているだろう。仕事で使っている部屋の部分は、経費として計上できる。
例えば部屋全体の3割を仕事で利用していて家賃が10万円であれば、3万円は経費にすることが可能だ。
携帯や水道代も一緒に、事業で使った部分の割合だけ経費できる。
経費を上手く使うことで大きな節税対策になるため、事業に関係あるものは全て経費にすることが大切だ。
もっと詳しく節税対策について知りたいのであれば、税理士に相談することをおすすめする。
まとめ:雑所得の税率
雑所得とは、会社員が副業で稼いだ収入などのことを指し、『公的年金等の雑所得』『公的年金以外の雑所得』の2種類に分類されることを解説した。
税率は、住民税は一律10%、所得税は収入に応じた税率をかけると定められており、『収入金額−必要経費』で計算することを注意点として挙げた。
雑所得は確定申告を行わなければ脱税となり、大きな罰金を支払うことにもなりうる。
申告義務がある人は、経費を上手く使って節税を行うことで納税額を抑えることが可能だ。