必達事項|役員クラスは全員できて欲しい!!【決算書の読み方】解説

2020年7月31日

この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。

決算書は、会社の経営状態や財務状況を知る「会社の成績表」。会社経営を行う上でとても重要な書類なので、役員クラスであれば読めるようにしておきたい。とは言え、複雑な用語も多くどのように読めば良いか、知識をつけるにはどうしたら良いのか悩む方も多いだろう。そこでこの記事では、経営陣が決算書を読めた方が良い理由と決算書の読み方、着目すべきポイント、また決算書が読めるようになるための学習参考書などを紹介する。

この記事を読むメリット

  • 決算書の正しい読み方が分かる
  • 決算書を読めるようになる

決算書は読めないといけない?

会社経営で大切なことは、数字を見る力と判断力である。経営者がこれらを身に着けた上で、しっかりと経営の舵取りをしていかなければならない。そのために大切なのが、決算書だ。決算書を読むことで経営者や役員クラスは会社の財政状態や経営成績を知り、自社の現状がどのような状態なのかを数値で把握することができる。決算書を元に、資金は足りているか、利益は出ているか、無駄や不足がないかどうかなどをチェックしながら次年度の事業計画を立てることで、経営の方向性も定めやすい。つまり決算書を正しく読むスキルは、経営において必要不可欠なのである。

決算書の読み方とは?

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決算書は正式には「財務諸表」と呼ばれ、中でも重要なのが「貸借対照表」「キャッシュ・フロー計算書」「損益計算書」の3つの書類である。

これらはそれぞれ以下のような書類である。

  • 貸借対照表:会社がどこから営業活動に必要な資金を調達し、何に使っているかを示す書類
  • 損益計算書:会社が1年間でどのくらい利益を得たかを示す書類
  • キャッシュ・フロー計算書:お金が増えたり減ったりした原因を示す書類

このように、3つの決算書は役割の異なる独立した書類であるが、全く無関係という訳では無い。損益計算書が良くなると貸借対照表も良くなり、キャッシュフロー計算書が良くなると、貸借対照表も良くなる。3つの決算書は互いに連動しており、これらを全体的に見ることで、会社の経営状況を正しく把握できる。

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決算書を読む際のポイント

決算書には以下の3つがあると紹介した。

  • 貸借対照表
  • キャッシュ・フロー計算書
  • 損益計算書

ここでは、それぞれを正しく読むためのポイントを解説していく。

貸借対照表を読むポイント

貸借対照表は「バランス・シート(B/S)」とも呼ばれ、これを見れば会社の資産と負債、資本のバランスが分かる。右側に会社の資金を調達した方法、左側にその使い道を示すことで、会社がどのように資産を調達して何にお金を使ったのかを示している。最終的には左右の数値は同じ金額になる。

資金の調達方法は、大まかに負債の部と純資産の部に分けられる。会社の資産を安定させるには、返済しなければならない負債よりも返済の必要のない「純資産」を増やさなければならない。貸借対照表を見ることで、現在の資産が安定したものかどうかを把握できる。

損益計算書を読むポイント

損益計算書は「プロフィット&ロスステイトメント(P/L)」とも呼ばれ、収益・費用・利益の3つの要素から成り立つ。企業が会計年度内にどれだけの「収益」をあげ、どれだけの「費用」を使い、その収益から費用を引いた分の最終的な「利益」がいくらあるのかを表している。これらを細かく分析することで、会社の現状や問題点、今後の方針を明確にしやすくなる。

会計年度の最終的な利益は「当期純利益」と呼ばれ、以下の5つに分類される。

  • 売上総利益:会社の本業で得た利益。売上高から原価や仕入費用を差し引く
  • 営業利益:売上総利益から、広告宣伝費や一般管理費(給与や会社の家賃・光熱費など会社を運営していく上で通常かかる経費)を差し引いた利益
  • 経常利益:本業以外で上がった収益(営業外収益)と本業以外にかかった費用(営業外費用)の差分を営業利益に足したもの
  • 税引前当期純利益:法人税などの税金を支払う前の稼いだ利益に、特別損益を足し引きしたもの
  • 当期純利益:税引前当期純利益から、各種税金を引いた1年間の最終的な利益

損益計算書では、最終的に利益が出ているのか、つまり「当期純利益」がプラスになっているかどうかが重要である。

キャッシュ・フロー計算書を読むポイント

一定期間のお金の流れを大まかに表すキャッシュ・フロー計算書では、現金の流入・流出が以下の3項目に区分される。

  • 営業キャッシュフロー:会社が本業の営業活動によって生み出した現金の増減
  • 投資キャッシュフロー:剰余金の運用や設備投資、固定資産の売却などを行った際の現金の増減
  • 財務キャッシュフロー:株式発行や金融機関からの資金調達、またその返済による現金の動き

ほかの決算書と異なり、キャッシュ・フロー計算書は現金ベースでお金の動きを記録する。「翌月の利益は確定しているが、目の前の支払いができない」といった事態を防ぐために、会社の財布事情を明らかにするとても重要な書類である。

決算書が読めるようになるためには

決算書を読み進める中で、細かい数字や専門用語など理解できないこともたくさん出てくるだろう。そこでおすすめなのが、決算書の基礎を解説する学習参考書である。ここでは、おすすめの本を3冊ご紹介する。

世界一シンプルでわかりやすい決算書と会社数字の読み方

経理の知識が全くない方にもおすすめなのが本書。「これだけは知っておきたい」という決算書の読み方の基礎を、わかりやすくまとめている。複雑な数式や用語の解説は最小限に抑え、見るべきところのみをシンプルな図解で解説。語り口調のセミナー形式とイラスト、イメージ図で、経理を学ぶハードルを下げられる。
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会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方

決算書の難しい用語に苦手意識を持っている方におすすめなのが本書。クイズ形式になっており、図やイラストも多いため、肩ひじ張らずに気軽に学べる。またクイズを解き進めることで、自分で考えながら学ぶため、頭に入りやすい。
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ビジネス基礎体力が身につく決算書を読む技術

決算書の読み方を視覚的に理解したい方におすすめなのが本書。ややこしい数式を、シンプルな図解で直感的に分かりやすく解説する。図解のレベルは3段階に分けられており、自分の理解度に応じて読み進められるのもポイント。決算書と会社のビジネスを結び付けて理解できるように解説しているため、学んだ知識を実務に生かしやすい。
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税理士・公認会計士コメント

資金がショートしない限りは大雑把な会計数値しか見ない経営者がいらっしゃいます。倒産するかしないかという観点ではそれでもよいですが、効率的な経営で業績をのばすという観点では会計数値を分析することが重要です。資金繰りの効率をあげるために運転資本や回転期間を分析して改善する、部門別や商品別の損益を把握分析して原価率を改善するなど様々な方法があります。分析をする際、分析の仕方を知るだけではなく、正確な数字を適時に把握する体制を整えることも大事です。つまり把握したい数値を後から集計するのではなく、事前に把握すべき数値を設定してフラグ付けをして、会計ソフトや管理ツールに入力して作り上げる体制を構築することことも大事です。

2020年7月31日税務サポート