軽減税率はいつまで続く?制度の概要とその期限を解説します

2020年11月14日

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軽減税率制度は、いつまで続くか未定だ。

しかし施行に伴い、対応に追われる小売店は多いだろう。同時に、8%の消費税が据え置きされた商品もあり、助かっている家庭も数なくない。

本記事では、軽減税率の導入の目的と背景、生じた変化、対象品目、小売店の対応について解説する。事業者の方の対応方法については、レジシステムや帳簿・請求書の記載方式も、概要を把握いただけるだろう。

読み終わると、軽減税率はいつまでか不明だが、今後の対応が掴みやすいはずだ。

この記事を読むメリット

・軽減税率の今後の見込みと、これからすべき対応がわかる

軽減税率の期限は言及されていない

2019年10月1日の標準消費税の10%への引き上げと同時に導入されたのが、軽減税率だ。軽減税率の導入により、日々必要な商品の税額は据置されており、助かっている方も多いだろう。

しかし、軽減税率制度は一時的な措置とされており、いつまでか期限が不明だ。制度の終了時には食品なども10%の課税に変わる。

軽減税率により生じる変化

軽減税率とは、一般的な消費税率よりも、ある対象の商品の消費税率を低く設定する制度である。2019年10月1日の標準消費税10%の施行後も、日々の生活を負担するために軽減税率が導入された。

たとえばスーパーマーケットには、以前と変わらない8%と変更後の10%の消費税率の商品が並んでいる。
そのため軽減税率は、「複数税率」と呼ばれることもある。

詳細は、下記ページにてご確認いただきたい。
https://www.gov-online.go.jp/cam/shouhizei/keigenzeiritsu/

軽減税率によって生じた変化は、小売店に2種類の税率が存在するだけではない。

事業主の方は、レジシステムの変更や各商品の税率の確認・価格表示の更新、確定申告などの書類の記載方法も変化する。小売店の方向けの対応点は、後述する。

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軽減税率の目的と背景

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軽減税率制度の目的は、国民の日々の生活における負担の減少、特に低所得者への経済的配慮である。このため消費税に関して、生活の必須である食料品などの税率を低く規定している。

政府の見解によると、食品の税率を抑えることで低所得者も含め、これまで通りに食材の購入ができるよう配慮した結果だ。ただし、低所得者対策としての有効性に関しては意見が分かれる。

専門家の間でも懐疑的な意見もあり、議論の対象となっている。さらに政府には、食材の税率を据え置きにすることで、増税前の駆け込み需要を防ぎ、消費の落ち込みを抑える狙いもあった。

事実2014年4月に軽減税率の導入なしで消費税が8%に上がった際は、駆け込み需要の増加により、スーパーなどで品薄になるトラブルが発生した。

今回の増税では、大きなトラブルは無かったことから、政府の狙いは成功したと言えるだろう。
しかし、軽減税率がいつまでか分からない懸念は残る。

軽減税率の対象となるものは?

軽減税率の対象品目は、下記である。

・酒類・外食を除く人用の飲食料品
人の飲用または食用に供される飲食料品が、対象だ。
しかし原則として、酒類や外食、ケータリング、医薬品・医薬部外品などは、軽減税率の対象外である。
・週2回以上発行される新聞
政治・経済・社会・文化等に関する一般社会における事実を掲載する、週2回以上発行される新聞が対象だ。
ただし、これは定期購読契約者に限る点に注意が必要だ。
・一体資産
食品と食品以外がセットとして販売される商品が、一体資産となる。
たとえば、条件を満たしたおもちゃ付きのお菓子などが対象だ。

条件とは、商品の税抜き価格が1万円以下、かつ食品部分が全体価格の3分の2以上であることである。
条件を満たさない一体資産は、軽減税率の対象外だ。

小売店の対応

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軽減税率の導入に従い、小売店は対応が必要だ。主な対応ポイントは、レジシステムの変更と各商品の税率の確認・価格表示の変更、帳簿や請求書の記載方式の見直しである。

ここでは、それぞれの対応点を具体的に説明する。

レジシステムはどうすればいい?

軽減税率制度が施行されると、複数税率に対応していないレジや在庫管理等と連携するPOSシステムは、小売店などで使用できない。

また受発注システムを使用していれば、異なる税率に対応するか確認が求められる。 軽減税率に対応するためには、最低でも2種類のレジシステムが必要である。

すなわち、売上を登録管理するレジスターと、現金をストックするキャッシュドロワーだ。 レジスターとキャッシュドロワーには、一体式と別体式が存在する。

しかし、一体式は大型になりやすいため、レジ周りのスペースなどに応じて検討すべきである。 複数税率に対応するレジは、2万円ほどから販売されている。レシートの印字にサーマルプリンターを使用するレジは3万円以上と、より高価になる。

高くなる分、印字音が小さく、高速出力が可能だ。そのため、静かなカフェや、客数が多く回転の速い雑貨店などに向くだろう。なお、サーマルプリンターとは、熱を使って印字する熱転写式プリンターのことである。

現在、市場では多種多様なレジが販売されている。高機能に越したことはないが、機能が充実するレジは概して高価で大型だ。 大型レジは、スペースの狭い小さな店舗には不向きである。

最低限必要な機能と価格のバランスを考慮して、レジを選ぶと良いだろう。 売上管理と商品の在庫管理、売上データの分析を行えるPOSレジシステムは、通常とても高価だ。

しかし、近年ではタブレットやスマートフォンで使用可能なクラウドサービスが登場している。 手軽にダウンロードして導入できる「POSレジアプリ」はいくつかのベンダーからリリースされているが、総じて月額定額料金制で安価である。中には、無料のPOSレジアプリまで存在する。

スマートフォンでは画面が小さく、操作がしづらいだろう。けれども画面の大きなタブレットを用意すれば、使い勝手が良く、場所の確保も不要だ。

必要に応じて、別体式のレシートプリンターやキャッシュドロワーを揃えれば、複数税率への対応ができる。

各商品の税率の確認と価格表示の変更

小売店の経営者や店長は、自店で取り扱う全ての商品の税率を確認すべきだろう。

軽減税率の適用対象は、酒や外食以外の人用飲食料品と週2回以上発行される定期購読の新聞だ。 しかし、例外は多く存在するため、正確に例外を見極めた価格表示の変更が求められる。

帳簿や請求書の記載方式を見直そう

軽減税率の導入に伴い、小売店などは帳簿付けや請求書などの記載方式の大幅変更が必要だ。 軽減税率に対応する請求書は、「区分記載請求書」と呼ばれる。

区分記載請求書には、8%の消費税である軽減税率と10%の消費税である標準税率の対象を、分けて各々の記載が必須である。

また、軽減税率に対応する新たな経理事務を「区分経理」と呼ぶ。既存の記載事項である「課税仕入れの相手方の名称」や「取引月日」、「取引内容」、「税込引取額」に加えて、「軽減税率の対象品目であることの明記」が求められる。

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まとめ

軽減税率の導入の目的と背景、生じた変化、対象品目、そして小売店の対応について解説した。事業者の方は、合わせて紹介したレジシステムや帳簿・請求書の記載方式も、把握いただけただろうか。

軽減税率制度の施行によって、小売店の方は対応に追われて大変だろう。軽減税率はいつまでか不明だが、本記事が今後の対応策の参考になれば幸いだ。

2020年11月14日税務サポート

Posted by taxtech-editor