「自営業の経理業務」知っておくべき経理の知識まとめ

2020年11月9日

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自営業者が経理業務において知っておくべき知識や、行っておくべき準備に関し、本記事では丁寧に解説している。

具体的には、事業用の帳簿付けや書類の保管、税務署への申告、事業用の銀行口座の開設、会計ソフトの準備などである。

読み終わる頃には、コストの削減や経営状況の把握、節税対策も把握できるだろう。

本記事を読むメリット

・自営業者が経理処理に関し最低限すべきことを、具体的に抑えることができる。

【自営業】最低限やっておくべきこと

自営業者であれば最低限すべき3点がある。

3点とは、事業用の帳簿付けと領収書などの書類の保管、年に1回の税務署への売上報告だ。
ここでは、各ポイントについて丁寧に解説する。

事業用の帳簿をつける

事業を始めると、事業用の帳簿をつける義務が生じる。
国に売上を報告し、利益に応じた納税を行うためである。

所得税法232条にも「帳簿を備え付け、記録、保存」の義務付けが記載されている。
詳しくは、下記のリンクにてご確認いただきたい。

記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁

領収書などの書類の保管

経費の管理には、領収書と請求書が重要な役割を果たす。
オフィスの賃料やパソコン等の備品、宣伝用チラシの制作費など、ビジネスに関わる出費を「経費」と呼ぶ。

たとえば、パソコンやコピー用紙は、家電量販店での現金購入が多いのではないだろうか?
購入の際に渡されるレシートが「領収書」となり、経費の管理に重要である。

またチラシ制作依頼すると、デザイナーや制作会社から請求書を受け取り、振込むことが一般的だ。

そのため、請求書が経費管理に必須である。
他にも、見積書・発注書・契約書・納品書も必要となる。

これらの売上を得る過程で発生する書類は、売上の根拠となるため、保管義務があるのだ。

「年1回」税務署に売上報告

事業者には年に1回、原則的には1年間の収入・支出を計算し、税務署に年間の売上の報告義務がある。

個人事業では「確定申告」、法人では「決算」と呼ぶ。
また個人事業では、1月1日から12月31日の1年間の利益を申告する。

法人では、1年間の区切りを自社の都合で決定して、利益の申告を行う。
それに伴い税務署は、申告された売上報告を元に所得税などを計算するような流れとなる。

計算された税金を納めると、経理処理の完了である。
なお、経理事務として業務を外注すると、税理士法違反にあたるため、注意が必要だ。

また、確定申告では1年間の数字をまとめて専用プレートに記載して提出する。
そのため、日頃使用している事業用の帳簿や保管書類の提出はできないという規則がある。

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経理処理のため準備すべき2つのポイント

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自営業者には、経理処理のために準備すべき2つのポイントがある。

事業用の銀行口座の開設と会計ソフトの準備だ。
ここでは、それぞれの点について説明していく。

事業用の銀行口座

プライベートとは分けて、事業用の銀行口座の開設をおすすめしたい。
事業用の帳簿付けがシンプルになり、間違いが起こりにくくなるためである。

プライベートと事業共有での銀行口座の使用も可能である。
しかし共有すると、仕事とプライベートと明細を確認しながらの分類作業が必要となってしまう。

はじめから事業用の銀行口座を用意すると、該当の口座への入金は全て事業用と明確に分かる。
そのため、分類が不要となり、ミスの防止が可能だ。

なお、これから法人口座を準備していきたいと考えている方は、以下の記事も参考にしていただきたい。

会計ソフトの準備

Excelや紙でも可能だが、会計ソフトを使用すると、経理作業が圧倒的に楽かつ確実となる。
現在、家電量販店で販売されているパソコンソフトよりも、インターネット上ですぐに使用できるクラウドソフトが主流になっている。

下記の会計ソフトは特に人気があり、またおためしプランが用意されているので、まずはお試しになると良いだろう。

会計ソフトに関し、より詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしていただきたい。

自営業者業が経理をするメリット

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自営業者が自身で経理をすると、主に2点のメリットがあると言えるだろう。
それは、「コストの削減」と「経営状況の把握の実現」である。

ここでは、それぞれのメリットについて詳しく説明していく。

コストの削減

自営業者は、所得税の申告に際して事業の所得を計算し、計算結果に基づいた税金の算出が必要である。
もし経理関連の作業や税金の算出を税理士に依頼すると、20〜30万円程度の顧問料や報酬が発生してしまう。

しかし自力で経理作業を行うと、税理士に支払う報酬分のコストを削減することが可能だ。

経営状況の把握

自営業者は、経営において常に「どの程度儲かっているか」「どれぐらいの資金が必要か」を把握するべきだろう。

経理関連の処理の実施により、日々の取引の記録を元に利益の計算が可能となる。
たとえば、前月と比較した当月の利益あるいは損失分を明確に把握できる。

さらに、会計帳簿の作成により、細かく収支を気にした経営を試みるようになる。
そして、無駄を省いてコストを削減するので、経営基盤の安定化につながると言えるだろう。

節税対策

具体的な節税対策としては、以下の6点をよく耳にするのではないだろうか?

  • 小規模企業共済への加入
  • 生命保険への加入
  • 10万円越えの医療費
  • 社会保険料控除
  • 夫や妻の扶養
  • 寄付

節税対策は個々の状況によって異なりますが、ここでは一般的な節税テクニックである6点を紹介する。
なお状況によらず、中長期的な計画で実行する方が効果的な点は留意していただきたい。

・小規模企業共済への加入
個人事業主などを対象とした共済制度である。
商簿企業共済に対して1年間に支払った掛け金は、全額が控除対象となる。
そのため、控除額にかかる税額分の負担を軽減ができる。
1ヶ月当たりの最高掛金は7万円なので、年間最高84万円の控除を受けらるのも大きなメリットだ。

・生命保険への加入
申告者本人と配偶者、扶養家族が生命保険料や個人年金保険料などを支払っている場合は、生命保険料控除として所得控除される。
なお生命保険料控除には、生命保険料控除証明書が必要だ。

・10万円以上の医療費
家族の医療費や風邪薬代も含めた1年間の医療費が1万円を超えると、医療費控除の適用の可能性がある。
医療費控除には、申告書Bへの記載と医療費の明細書の作成・提出が求められるので、事前に確認をしておくと良いだろう。

・社会保険料控除
国民健康保などの社会保険料や国民年金保険料、介護保険料などを支払っている場合は、所得から全ての支払額を差し引きが可能だ。

・夫や妻を養っている場合
総所得が38万円以下の配偶者を養っている場合は、配偶者控除として38万円の控除を受けられます。収入が38万円以上76万以下であれば、「配偶者特別控除」が適用される。
また、総所得が38万円以下の16歳以上の子供や両親を養っているケースも、扶養控除を受けられる。

・寄付
ふるさと納税などの国が認可する団体への寄付は、寄附金控除が適用される。
寄付金額に応じて、寄附金控除として控除可能な金額は異なるので、確認をしておくと良いだろう。

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まとめ

これまでに、自営業者が行うべき、経理に関する準備などを解説してきた。

また自営業者が自身で経理業務を行う際のメリットも認識いただけただろう。

ご紹介した内容を常に念頭に置いて、ぜひ効率的な経営を行っていただきたいと思う。

2020年11月9日税務サポート

Posted by taxtech-editor