【軽減税率の対象品目】具体的に解説します!

2020年11月11日

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軽減税率の具体的な対象科目が、気になる方は多いのではないだろうか?

軽減税率制度の対象品目は、人用の飲食料品と週2回以上発行される新聞、一体資産だ。対象品目には除外品もあるため、正確な理解が必要である。

本記事では、軽減税率の対象項目や経理方法の変更に伴う注意点まで、詳しく説明する。さらに、軽減税率制度施行の目的や理解しておくべき事項についても、ご理解いただけるだろう。

本記事を読むメリット

・軽減税率の概要と、具体的な対象品目を知ることができる

軽減税率とは

軽減税率とは、一般的な消費税率より特定の商品の消費税率を低く設定する制度だ。たとえば、スーパーマーケットには、以前と変わらない8%と変更後の10%の消費税率の商品が並んでいる。

そのため、軽減税率は複数税率とも呼ばれる。詳細は、下記のページにてご確認いただけるので、ぜひご覧いただきたい。

消費税の軽減税率制度

【軽減税率】軽減税率制度の目的

軽減税率制度の目的は、国民の日々の生活における負担の減少と低所得者への経済的配慮だ。

具体的には、所得に関係なく一律の割合での納税義務がある消費税に関して、生活の必須である食料品などの税率を低く規定している。

ただし、低所得者対策としての有効性に関しては意見が分かれる部分だ。専門家の間でも懐疑的な意見もあり、議論の対象となっている。

また事業者にとっては、軽減税率に対応すべき作業が負担となるケースも多く見受けられる。

【軽減税率】対象品目

軽減税率の対象品目は、酒類・外食を除く飲食料品と週2回以上発行される新聞・一体資産である。

ただし注意点もあるので、ここでは各対象品目の詳細を解説する。

酒類・外食を除く飲食料品

人の飲用または食用に供される飲食料品が、対象だ。

しかし原則として、酒類や外食、ケータリング、医薬品・医薬部外品などは、軽減税率の対象外である。

週2回以上発行される新聞

政治・経済・社会・文化等に関する一般社会における事実を掲載する、週2回以上発行される新聞が対象だ。

ただし、定期購読契約者に限る。

一体資産

食品と食品以外がセットとして販売される商品が、一体資産となる。たとえば、条件を満たしたおもちゃ付きのお菓子などが対象だ。

条件とは、商品の税抜き価格が1万円以下、かつ食品部分が全体価格の3分の2以上であることである。条件を満たさない一体資産は、軽減税率の対象外だ。

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【注意点】消費税確定申告書作成のためには「区分経理」が必要

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区分経理は、全事業者が対応すべき経理管理の方式である。
ここでは、区分経理の概要と中小事業者様向けの税額計算の特例、免税事業者様の抑えるべきポイントを解説する。

区分経理の概要

区分経理とは、自社が取り扱う商品や材料などの資産を管理・運用する際に、各税率に分けて経理処理する方式だ。

軽減税率制度の導入以前は、消費税率は標準税率の1種類のみであったため、区分けが不要であった。そのため、税額算出処理を各品目で行う必要がなかった。

しかし、軽減税率制度の制定により、経理処理の際に品目ごとに適用される税率から算出した税額の別途計上の必要性が生じる。 事業者にとっては消費税の管理が困難になりましたが、区分経理には利点もある。

複数税率を従来のように内含した金額で計上すると、計算間違いの発見は難しくなる。反対に区分経理の実施は、経理内容の透明性を上げ、正確な申告を可能にする。

【中小事業者】税額計算の特例

中小事業者とは、基準期間内の課税売上高が5,000万円以下の事業者を指す。基準期間は、法人で前々事業年度、個人で前々年になる。

令和元年10月1日の軽減税率制度実施後から一定の期間、中小事業者向けに売上税額または仕入税額の計算の特例を設けている。

対象となる中小事業者は、売上げまたは仕入れの軽減税率と標準税率への区分が困難な業者である。また政府の定める「一定期間」は、いまだに終了期間が決定していない。

計算の特例の詳細は、下記の国税庁のホームページでご確認いただけるので、1度目を通していただけると良いだろう。

中小事業者の税額計算の特例

【免税事業者】抑えるべきポイント

免税事業者とは、課税売上高が1,000万円以下で、消費税の納税義務がない事業者を指す。 免税事業者には消費税の申告は不要なので、仕入税額控除を行うことはなく、区分経理も必要ない。

しかし課税事業者との取引では、区分記載請求書等の交付などの対応が必要な場合がある。課税事業者が、消費税申告の際に仕入税額控除を行うためである。

軽減税率の施行に伴い、今後は取引先から「適格請求書」の発行を要求される機会が増える可能性がある。将来を考慮して、適格請求書発行事業者になることも検討すると良いだろう。

【軽減税率】知っておくべきこと

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軽減税率制度の導入によって、変更点が生じる。仕入税額控除の不認可や、現場での日々の業務での対応が発生している。

ここでは、軽減税率制度施行に伴う、これらの問題を説明する。

仕入税額控除が認められない

軽減税率制度の導入に従って、仕入税額控除の要件も変更されている。従来は帳簿および請求書等の保存が要件だった。

しかし、2023年10月1日までは帳簿および「区分記載請求書等の保存」が要件となっている。そして、2023年10月1日以降は、帳簿および「適格請求書等の保存」が要件と変わる。

仕入税額控除の要件の変更に伴い、請求書の様式も更新が必要である。
先述の通り、請求書には軽減税率の対象品目である旨や課税資産の対価の額の記載が求められる。

課税資産の対価の額は、税率ごとに区分して合算した税込の金額になる。 詳細は、下記のリンクにてご確認いただける。

仕入税額控除の要件

日々の業務での対応

現在は「請求書等保存方式」を維持しながら、「区分記載請求書」が導入されている。

しかし消費者から税率の区分請求がある場合は、現場での修正が求められる。
軽減税率への非対応が招く、現場での仕事量の増加を考慮すると、早急な対応が得策であると言えるだろう。

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まとめ

軽減税率の気になる対象品目を、具体的に解説した。すなわち、酒類・外食を除く人用の飲食料品と週2回以上発行される新聞、一体資産が、軽減税率の対象である。

また軽減税率の導入に伴い、消費税確定申告書の作成には「区分経理」が必要に変更された。中小事業者様は税額計算の特例を、免税事業者様は抑えるべきポイントを把握しておくと良いだろう。

最後に、軽減税率制度の施行に従って、知っておくべきことも説明した。

軽減税率制度による変更で面倒さは否めませんが、対象品目は一部のみである。本記事をぜひ消費税確定申告書の作成時に、お役立ていただきたい。

2020年11月11日税務サポート

Posted by taxtech-editor