【節税保険】理解すべき仕組みと注意点を解説します!

2020年11月13日

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法人が節税をする方法にはたくさんの手法があるが、昔から利用されているが「節税保険」だ・節税保険とは、法人が契約する保険の総称であり、生命保険など各種保険を節税保険として利用する。

本記事では、節税保険について詳細な仕組みと注意点を解説していく。

この記事を読むメリット

・節税保険の概要、そしてよく勘違いされるポイントをきちんと抑え、無駄な契約などを防ぐことができる

節税保険とは?

節税保険とは、法人保険の一種である。個人ではなく法人が、法人名義で保険を契約して、契約した法人にお金が入ってくる形式になる。

法人が支払った保険料は損金として計上することができる。解約、もしくは満期を迎えると、支払ったお金が保険金として戻ってくる形だ。

節税保険は、保険そのものの機能を利用するというよりも、節税のために利用することが多い。節税保険の利用は、税法的には問題なく、違法性は問われない。

そのため、現在でも法人の節税手法として広く利用されている。なお、法人における節税に関し、より詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしていただきたい。

保険が節税になる仕組み

法人保険に加入すると、法人は保険料を支払うことになる。支払った保険料の一部、もしくは全額が「損金」という扱いになる形だ。

法人保険は、損金計上の割合によって種類が異なる。全額を損金にするなら「全額損金タイプ」、半分を損金するなら「1/2損金タイプ」といった具合。

割合ごとに、加入する法人保険の種類を選ぶことができる。支払った保険料を損金として計上することで、法人の課税金額を減らすことが可能だ。

これまでの節税保険

1980年代中ごろまでは、節税保険の代表格というと「長期定期保険」であった。長期定期保険では、保険料の全額を損金算入することが可能で、当時多くの法人が節税対策で利用していた。

また、当時は法人税率が現在よりも高かったということもあり、「解約払戻金の実質返戻率」は現在よりも高い状況で、この点も法人が節税保険を利用する要因になっていた。

ただし、法人税の課税ルールの変更や法人税率の引き下げにより、節税保険の節税効果は徐々に小さくなっていく。加えて、2019年6月に、国税庁が節税保険の規制を強化する方針を打ち出す。

保険が本来果たすべき「人の生活等の保障」が考慮された形だ。節税保険は、そもそも「保険」とは言えないという判断が下されたということだ。

ただし、現在も節税保険そのものがなくなった訳ではなく、利用を継続している法人も存在する。

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法人保険はなぜ節税にならないか?

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一時的に節税ができても、最終的には法人保険で節税することはできなくなる。その要因は「最終的に受け取る保険金」である。

法人保険に加入すると、最終的に保険金が会社に返還される。この保険金は税法上「収入」という扱いになるため、保険金を受け取った段階で「法人税」が発生することになる。

受け取った保険金を使って再度、法人保険に加入したり、他の節税手法を使わないと、そのまま法人税を支払うことになる。

法人保険を利用する場合は、保険金をどのように再投資していくか、あらかじめ決めておかなければならない。先のことを考えずに、闇雲に法人保険を利用してしまうと、後から法人税がのしかかってくるので、要注意だ。

法人保険の真のメリット

法人保険の真のメリットは、節税というよりも下記の2点に集約されると考えられる。

・安心のための生命保険
・確実な資産運用

安心のための生命保険

法人が生命保険に加入すれば、もし経営者に万が一のことがあっても、保険金によって事業を継続しやすくなる。企業によっては、設備投資が多く必要なところも多く、多額の負債を抱えている企業も少なくない。

そのような状況の中で、経営者が亡くなってしまうと、残された役員・従業員たちは非常に苦労をする。この状態の中で、生命保険による保険金があれば、資金工面の負担が減り、事業を回していくことが可能だ。

「経営者自身に何かあったらどうするか」という不安を抱えるよりも、「経営者に万が一のことがあっても、生命保険の保険金があるから安心」というスタンスでいた方が、精神的な負担が減る。

安心感を得るために、生命保険に加入するといっても過言ではない。経営者がワンマンで経営している会社の場合、経営者が第一線からいなくなってしまうリスクを考慮しておく必要がある。

確実な資産運用

もう一つのメリットは「確実な資産運用ができる点だ。生命保険に加入することで、受取保険金や解約返戻金の金額を保証してくれる。

契約した金額は、保険会社がつぶれない限り支払ってくれるので、計画的に資産運用を行うことが可能になっている。

また、生命保険の中には、保険会社に支払った保険料以上の金額を最終的に払い戻してくれるものもある。長期的に運用することが前提になるが、確実に資産を増やせる方法として、生命保険は優秀な投資先だ。

定期預金などで資金を寝かせているのであれば、生命保険を利用して少しでも資金を増やした方がベターだろう。

【サラリーマン】生命保険控除の場合

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サラリーマンが生命保険に加入した場合、「生命保険控除」が適用される。これは法人が保険料を損金計上するのと仕組みは似ているが、サラリーマンの生命保険控除の場合は、所得から生命保険料の支払い保険料を控除して、課税所得を減らすことができる。

多くのサラリーマンは所属する会社が税金の計算を行っているので、生命保険控除を利用する場合は会社の経理担当に申し出る必要がある。

もしくは、自身で確定申告を行って、生命保険控除の申請を行うことも可能。生命保険控除を申請することで、控除分の金額が「還付金」という形で手元に戻ってくる。

ただし、生命保険控除ではいくらでも保険料を控除に充てられるという訳ではない。控除額には限度額が設定されている。

年間保険料の払い込みが8万円を超えると、そこからいくら保険料を上乗せしても、生命保険控除は「6万8千円」が限度額となる。

生命保険に支払いを集中させて、不当に節税を行うことを防ぐために、上限金額が設けられている形だ。

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まとめ

節税保険に加入することで、一時的に法人税を節税することができる。

ただし、最終的に受け取る保険金には法人税が課されるので、法人税が完全になくなる訳ではない。節税保険は、あくまでも法人税の納税を将来にずらすものだと思うようにしよう。

節税保険の真のメリットは、保険金による安心感と、安定的な資産運用ができるという面である。これらのメリットを享受する目的で、生命保険をはじめとした節税保険を利用した方が良いだろう。

節税保険の特性を理解した上で、一時的な節税、もしくは資産運用に役立てていくことをおすすめする。

2020年11月13日税務サポート

Posted by taxtech-editor