節税対策は何が効果的?法人におすすめの節税対策や失敗しがちな注意点を徹底解説
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経営をしていく上できちんと考えたいのが「節税対策」。
節税をすることで資金の使い方だけでなく、今後の経営の仕方についても考えるきっかけとなる。
今回は節税対策をしたい経営者へ向けて以下の内容を紹介する。
・節税対策のポイント
・法人におすすめの節税対策
・節税対策で起こりがちな失敗
今後に向けて節税対策を行いたい経営者は、ぜひ参考にして欲しい。
節税対策のポイントは大きく分けて3つ
節税対策のポイントは大きく分けて3つある。
このポイントを意識することで節税対策を行うことができるため、しっかりと把握しておきたい。
ポイント①:益金を減らして課税対象となる所得額を減らす
益金とは法人税がかかる収益のこと。つまり、益金が多ければ多いほど課税対象の所得額が多いということで、法人税の額も高くなる。
そのため益金を減らすことで法人税がかからなくなり、節税対策となるのである。
益金を減らす方法についてはこのあと解説するので、ぜひ参考にしてほしい。
課税対象を減らすということは、節税対策をする上で重要なポイントとなるため覚えておくと良いだろう。
ポイント②:損金扱いになっていないものを損金に回す
損金とは法人税を計算するときの費用のこと。つまり、法人税の額を算出するときには「益金−損金」という計算方法を使うのだ。
そのため益金の額が小さく、損金の額が大きい方が納税額が少なくて済むということになる。損金として扱われていない項目を損金に回すことで損金の額を増やすことができるため、その方法についても後ほど紹介する。
ポイント③:国の控除制度を利用する
雇用促進税制など、国の控除制度を利用することも節税対策となる。
事業者の中にはこのような控除制度をよく知らない人も多い。
こういった制度を知っているかどうかで納税額が大きく変わることもあるため、ぜひ知っておきたいポイントとなる。
自社で使える控除制度が知りたい場合は、顧問契約している税理士に相談すると良いだろう。
法人におすすめの節税対策
これまで節税対策のポイントについて解説してきた。
ここでは法人におすすめの節税対策について紹介する。
これから節税対策を始めたいという方はぜひ参考にして欲しい。
①役員報酬を増やす
法人税を抑えるには役員報酬を増やすことが効果的だ。
役員を増やす、現在の役員報酬の増額などで対応できる。
企業の節税対策としては定番と言われる方法である。
しかし、ここで注意したいのが「増額のバランス」だ。
役員報酬を増やしすぎると、住民税や所得税の負担が大きくなってしまう。
そのため、ほど良いバランスを見極めるのも大切なポイントとなっている。
②社用車の導入
節税対策は「経費を多く計上すること」である。
そこでおすすめなのが社用車の導入だ。
個人所有の車があるのならば、社用車として導入することで車の取得費用を経費にすることができる。
車の購入費だけでなく、自動車保険や燃料費なども経費計上できるので覚えておくとよいだろう。
③法人向け生命保険に加入する
生命保険の中でも、法人向けの保険であれば保険料を損金に計上できるため、節税対策となる。保険に加入しておくことで万が一に備えることができるなど、安心な点も多い。
保険商品によっては解約してもお金が受け取れるものもあるため、法人向け生命保険を検討してみても良いだろう。
④雇用促進税制を活用する
節税対策には、雇用促進税制を利用することも効果的だ。
雇用促進税制とは税額控除を受けられる制度で、一定の地域で雇用者を1人増やすごとに法人税から控除を受けられる。
将来的に事業の拡大を考えている企業や、地域に根付いた事業を展開したい起業はぜひ覚えておくと良いだろう。
控除を受けるためには一定の条件を満たしている必要があるので注意が必要だ。
⑤出張旅費規程を作成する
会社が出張の多い企業の場合、出張旅費規程を作成するのもおすすめだ。
出張旅費規程を作成することで、出張にかかる「交通費」「宿泊費」「出張先への手土産代」などを経費計上できるようになる。
さらに税務調査対策にも有効である。
出張旅費規程を作成する際には以下の項目を細かく決めておくことが重要だ。
・出張の定義
・交通費規定
・経費の対象となるもの
・いくらまで使えるか
⑥福利厚生の充実
福利厚生を充実させることも節税対策となる。
例えば社員旅行など、一定の条件を満たしていれば福利厚生費として計上することができるのだ。条件を満たすには、旅行の期間や人数が一定の数となっているかが重要になるのであらかじめ把握しておくとよいだろう。
福利厚生を充実させることで社員のモチベーションアップにもつながるため、ぜひ導入したいところだ。
⑦交際費を計上する
飲食費や交際費を経費として計上することで節税対策になる。
部署ごとの飲み会など利用する場面も多くなるため、あらかじめ限度額を確認しておきたい。ここで注意したいのが、飲食費の内容によっては経費として認められないこと。
どのような場合が経費として認められるか、社内で共有しておく必要があるのだ。
⑧広告宣伝費として利用する
広告宣伝費は経費として計上できるため、事業の内容によっては宣伝もできて節税もできるといううれしい方法となっている。
宣伝広告費の種類は幅広く認められているため、企業としても使いやすい節税方法である。
⑨エンジェル税制を利用する
エンジェル税制とは、起業家へ投資を行ったときに受けられる税金の優遇のこと。
最近では「エンジェル投資家」という起業家へ投資をする投資家が話題となっている。
そのため始まった制度だが、投資などを検討している場合には覚えておくと良いだろう。
⑩団体定期保険へ加入する
先ほど紹介した生命保険への加入と同じく、団体定期保険も保険料を計上することができる。団体定期保険には2種類の支払い方法がある。
・保険料を会社が全額負担するタイプ
・従業員が任意で支払うタイプ
後者のタイプは保険料が割安というメリットがあり、一般的な保険よりも加入しやすくなっている。
節税対策で起こりがちな失敗
これまで具体的な節税対策の方法について紹介した。
節税対策の方法は数多くあるが、注意しなくてはならないこともある。
ここでは節税対策をする上で注意したいことをまとめてみた。
節税のしすぎで会計が不透明
節税対策で起こりがちな失敗の1つとして「会計が不透明になる」という点がある。
節税しようとなんでも経費に計上してしまうと、実際に事業にかかった経費が計算しにくくなってしまうのだ。
そのため、事業によって実際に出た利益と節税対策で出た利益に差が出てしまう。
これをわかりやすくするには、予算と実績を比較するための資料を作成する必要がある。
節税を意識するあまり無駄な出費が増える
節税を意識しすぎることで、無駄な出費が増えてしまうのも注意しておきたい。
これも先ほどと同じ理由で、経費に計上しようと必要のないものまで購入してしまいがちだ。節税できたとしても他の部分で出費が増えてしまっては意味がないのである。
節税対策は大切だが、意識しすぎず、ほどよいバランスで取り入れるようにしたいところだ。
まとめ:節税対策をうまく使ってお金を残そう
今回は節税対策をしたい経営者へ向けて以下の内容を紹介した。
・節税対策のポイント
・法人におすすめの節税対策
・節税対策で起こりがちな失敗
節税対策の方法は数多くあるが、いずれもやりすぎないことが大切だ。
意識するあまり無駄な出費が増えたり、会計が不透明になったりと失敗してしまうケースも多い。
ほどよいバランスを保ちながら節税対策を取り入れていこう。
監修税理士・公認会計士からのコメント
企業にとって最も大事なのは利益を残すことですが、節税対策をすることでもお金を残すことができます。どのようにやればいいのかわからないという人は、税理士に相談をするか会計ソフトを導入するのもおすすめです。