経営者は必ず抑えよう。決算期はいつにすべき?理由とルールから解説!!

2020年7月31日

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

決めなければいけないことがたくさんある創業初期。「決算期をいつにすべきか」で頭を抱えている経営者も多いのではないだろうか。あとから変更もできるが、面倒な手続きを増やさないためにしっかり概要を把握した上で決めたいもの。そこで今回は、決算期をいつにすべきなのかとその理由やルールなど網羅的に解説していく。

本記事を読むメリット

  • 決算期をいつにした方がいいのかとその理由が理解できる

決算期はいつにすべき?

日本では決算期はなんとなく3月というイメージが強いだろう。その理由は、行政機関の年度設定が4月スタートの3月締めになっていることが大きく関係している。特に大企業は公共事業など行政機関と関係ある業務を行っていることも多く、行政機関に合わせた方が何かと都合が良いという事情がある。

しかし決算期はそもそも経営者が任意で決められるものなので、必ずしも3月にしなければならない訳では無い。実は税金の申告をしている会社のうち、決算期を3月にしている割合は約20%と意外と少ない。3月決算の有名企業が多いためイメージが強いだけで、実際は会社によって異なる。小規模な企業、特にスタートアップだと、行政機関に合わせる必要はあまりないので、節税対策や自社の状況によって適した時期を選べばよい。

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決算期に関するルール

決算期の時期は経営者が自由に決められ、特に法律で定められてはいない。しかし大前提のルールとして、「決算期は1年を超えてはいけない」ということは守る必要がある。

例えば、法人を設立して3月を決算期にした場合は、事業年度は4月~3月。日にちにもルールはなく、必ずしも末日である必要はないため、3月20日にしたとする。1年を超えてはいけないので、4月1日からの事業年度で、決算期を翌年4月21日にすることはできない。

また決算期に関するルールとして、決算月は途中で変更することが可能だ。定款の変更や行政機関への届け出などの手続きを踏めば年度途中でも変更できる。

しかし、事業が動いている中で決算月を変更すると、1年未満で決算を行わなければならない。さまざまな会計上の処理が必要となり、少々面倒だ。余程のことが無い限り変更しないつもりで決算期を決めたい。

決算期を決めるポイント

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「決算期は必ずしも3月でなくても良い」とはいえ、他にいつにしたら良いのか、さらに迷ってしまう経営者もいるだろう。ここでは、決算期を決めるポイントについてご紹介する。

消費税の免除期間を最大限確保する

資本金額が1,000万円未満の会社を新規に設立した場合、最大で2期まで消費税の納税が免除されるという規定がある。納税が免除される期間は、年単位ではなく事業年度を基準としている。

例えば、4月に会社を設立して決算期を3月とした場合は、1期の期間は12カ月。2期目と合わせて、2年間分の消費税免除を受けられる。しかし同じ4月の設立で決算期を10月とした場合は、1期の期間は6か月。消費税が免除される期間は1年6カ月となり、かなりの差が出る。

つまり設立した月から一番遠い月を期末にすることで、より免税効果は高くなる。

繁忙期との兼ね合いで決める

決算期を決める際は、繁忙期は原則避けた方が無難だ。決算業務では決算書を作成し、それをもとに法人税や消費税などの計算をして申告および納付、また決算書を監査役などのチェックを経て株主総会に提出しなければならない。法人税などの申告は決算日から二ヶ月以内、株主総会の開催は決算日から3ヶ月以内と、決算時期の業務スケジュールはとてもタイトで人手も時間もかかる。社長一人の会社であっても、それは同様だ。

そのため決算期と繁忙期をかぶせてしまうと、手が回らなくなる。他社から業務を受託するようなBtoBビジネスの場合には、仕事を受注する他社の業務繁忙期も考慮したい。

売り上げの変動が大きくなる時期を期首にする

売り上げの変動が大きい業種は、売り上げの大きな月を期首にするのがおすすめだ。利益が大きくなると、納税額が増える。決算までに時間があれば年間の予測が立てやすく、利益に合わせてさまざまな節税対策を行える。しかし決算期末のギリギリに大きな利益があると、節税対策が間に合わなくなる。繁忙期も売り上げが大きく上がるので、ある程度期間を空けて決算期を設定しよう。

資金繰りを意識する

夏季と冬季の賞与、源泉所得税の納付、労働保険料の納付など、会社として大きなお金が動くタイミングは、大体予測できる。決算を終えた2ヶ月後にも、消費税と法人税、地域によっては地方税の法人事業税・法人住民税を納税しなければならない。消費税は免除申請できるが、法人税の税率は最大で利益の35%。かなり大きなキャッシュが必要となる。

さまざまな支払いとこれらの納税のタイミングが重なると、資金繰りが悪化してしまう。よく見かける「決算セール」も、決算後の納税を見越して、在庫を少しでも現金に変える目的で行われることが多い。キャッシュが確保できるタイミングを検討して決算期を決めよう。

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まとめ

今回は、決算期をいつにすべきなのかとその理由やルールなど網羅的に解説した。3月のイメージが強い決算期だが、自由に決められるので自社にメリットの大きい時期を検討しよう。決算関連はあとで変更すると手続きが面倒なため、創業時にしっかり先を見越して決めておきたい。決算期の変更や決算書の作り方などについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてほしい。

税理士・公認会計士コメント

私なら事業に集中して適切な決算をおこないため繁忙期を避けるように決算月を決定しますが、会社や経営者によって考え方は異なるので適切な方法で決定ください。周りが騒いだ時に一緒に対応できるように周りと同じ決算月にするのも一つの方法かもしれません。ちなみに税理士の繁忙期は11月~5月と言われています。税理士に相談したい事項は決算前後に集中しますので、税理士に余裕をもって相談したい場合は閑散期(6-10月)とするのも考えられますね。

2020年7月31日税務サポート