源泉所得税の計算方法から節税まで 総まとめ

2020年5月10日

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源泉所得税ですが、給与明細書を見た時によく見ることが多いかと思う。しかし、所得税と何が違うのかについてはなかなか話せる事が出来ないであろう。

大雑把に言うと、同じ内容ではあるものの、厳密には内容が多少変わる。経営者として理解できていなければ、大きな損失となるケースが発生してしまうので、理解しておこう。

源泉所得税とは

源泉所得税とは、企業が役員や従業員の報酬から徴収して代わりに収める所得税のことである。

源泉所得税の徴収が必要とされる所得には、様々な種類がある。企業活動においては、給与、賞
与、退職金、税理士などに払う報酬があげられる。また、外注の場合は、相手が法人なら源泉徴収は不要だが、個人の場合は源泉徴収が必要な場合がある。さらに、利子や年金にも源泉所得税がかかる。


源泉所得税の税率は一定ではなく、賞与や退職金などそれぞれによって異なる。
また企業側は、源泉所得税の納付が給与を支給する人数によって以下のように納付の回数を減らすことができる。

  • 給与を支給するのが10人以上の場合、源泉所得税を毎月納付する
  • 給与を支給するのが10人未満の場合、源泉所得税を半年に一回納付する(但し、税務署への届出が必要)

源泉所得税納付書と源泉所得税税額表

源泉所得税納付書の納付、また税額表について確認してする事で、それぞれどんなタイミングが適切なのか。税額表を見る事で大枠どうなっているのかについて、把握して頂きたい。

源泉所得税納付書って?

所得税徴収高計算書とは、事業主が定期的に源泉所得税を納める際に使用する納付書である。

源泉所得税を納付する際は、毎月納付する場合や半年に一回、源泉所得税納付書に記入して納付しなければいけない
この納付書の書き方は、源泉所得税の対象によって異なるが、大きく分けて5つのパターンを紹介しよう。

  • 毎月の給与にかかる源泉所得税
  • 賞与にかかる源泉所得税
  • 日雇い労働者の賃金にかかる源泉所得税
  • 税理士等に支払う報酬にかかる源泉所得税
  • 年末調整における源泉所得税
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そして、これらに共通して書く内容がある。共通事項が以下となる。

  • 年度
  • 税務署名、税務署番号
  • 整理番号(税務署が、各納税者に割り振っている番号)
  • 納期等の区分(〇〇年△△月分)
  • 住所、氏名、電話番号

このように、共通して書く内容もあるのだが、それぞれで書く内容が変わる部分も多くある為、記入の際は注意しなければならない。

源泉所得税税額表って?

源泉所得税税額表とは、給与水準や扶養家族の人数に応じて定められた源泉所得税の一覧表である。

源泉所得税を支払う場合、法人はこの源泉所得税税額表を用いて徴収額を決定しなければいけない。また、この源泉所得税税額表は毎年変更が加えられるので注意が必要である。


では、この源泉所得税税額表の見方について説明していこう。源泉所得税税額表は、日額表、月額表、賞与表などで構成され、月額表は毎月払いの給与の際に、日額表は週払いや日払いの際に用いる。

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これは、国税庁のHPに記載されている。先ほどにも記したが、毎年変更があるので必要な際は、そちらで確認して頂きたい。

源泉所得税の納付期限に関して

源泉所得税は原則として、給与を支払った月の翌月10日までに国へ納付しなければいけない。しかし、給与を支払う人数が10人未満の場合は、半年分まとめて支払うことができる特例がある(納期の特例。事前に税務署への届出が必要)。

この特例の対象となるのは、給与や退職金から源泉徴収をした所得税・復興特別所得税と、税理士、弁護士、司法書士など一定の報酬から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税に限られている。

この特例を受けていると、その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は翌年1月20日が、それぞれ納付期限となる。

また、この特例を受けるためには、源泉所得税の納付期限の特例承認に関する申請書の提出が必要となっている。

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所得税ではない?

源泉所得税と所得税は、始めにも記したが、同じ所得税であるが、支払する人が異なる。

経営者としては法人として給与や報酬等を受け取る人の代わりに税金を支払う必要があることを理解しておかなければならない。

所得税とは?

まず簡単に所得税を説明しよう。

所得税とは、1年間の所得に応じて本人に課せられる税金のことである(暦年で1年間の所得を計算し、翌年3月15日までに支払う)。累進課税制度となっていて、所得額が高くなれば税率も高くなる。所得税は、課税対象者本人が支払うもので、1年分を一括でまとめて納めなければいけない。

源泉所得税とは?

次は、源泉所得税について説明しよう。

源泉所得税は、前述した通り、企業が本人の代わりに納めるものである。本来本人が自分自身でまとめて払うものを、企業側は毎回の給与や賞与から分割して差し引き、代わりに支払うことで本人の負担を減らす制度だ。国が確実に税金を回収する制度でもある。

源泉所得税の節税方法

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源泉所得税を節税するとは言っても、なかなかできるものではありませんよね。

しかし、少しの金額でも積み重なれば大きな金額へと変わるのは事実だ。節税方法を知らずにいる事は、節税対策を行っている人とは、大きな差が付くのは間違いない。

では、ここで源泉所得税を減らすための効果的な方法をいくつか紹介しよう。

節税方法 厳選3選

1.通勤手当をする

給与とは別に、交通機関を利用する人には、毎月15万円まで通勤手当を非課税で支給する事が可能。

車や自転車であっても、距離に応じて決められた限度内であれば、非課税とする事が出来ます。

ただし、2キロ以内の車通勤や2キロ以上でも徒歩通勤の場合、通勤手当を支給しても非課税とならないので注意。

2.出張手当をする

出張すると、交通費や昼食代、宿泊代を実費精算するのが原則だ。

しかし出張が多い場合は、その都度出張精算に時間を取られる。

そこで、旅費規程で定められた合理的な出張手当であれば、毎回実費精算をしなくとも経費として認められる。

例えば、
・出張手当10,000円に対し、交通費と昼食代を7,000円しか使わなかった
・宿泊手当10,000円に対して8,000円のホテルに泊まった
これらの差額について従業員に課税されない。

その上、この出張手当は従業員だけではなく、役員であっても適用される。

ただし、旅費規程がないと、従業員の給与と認定されるので注意。

3.福利厚生として社員旅行

社員を癒しつつも、コミュニケーションをより密にするのに有効的なのが、社員旅行だ。

しかし、社員旅行でも税務上の要件を備えてないと、社員への給与と認定されてしまう

社員への給与と認定されないためには、
・全社員を対象。そして、旅行に参加する従業員が、全従業員の半数以上であること
・一人10万円まで
・旅行期間は、現地4泊5日以内であること
この条件を満たす事が最低条件だ。

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その他の法人にかかる税金まとめ

源泉所得税の他にも様々な税金がある。具体的には、法人税・法人事業税・法人住民税・地方消費税などである。

これらの税金を把握する事はなかなか容易なことではない。しかし、きちんと把握することによって事業規模拡大の資金として貯めることもでき、今後の新規事業展開に役立つであろう。なぜなら、節税対策にも役立つからである。

法人税や消費税だけでなく、法人に課される税金は複数あるということを頭の片隅に入れておいた方がいいだろう。

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監修税理士・公認会計士からのコメント

源泉所得税は納付を忘れやすい税金です。また、その支払いが源泉が必要な支払なのかを取引ごとに判断していく必要があります。この判断を誤ると税務調査で指摘を受けて納税が必要になり、さらに加算税や延滞税を課税されてしまいます。本来は受け取る人の負担すべき税金を最終的には会社が負担せざるを得なくなる状況も生じます。給与や賞与の支払いの時には大丈夫かも知れませんが、配当金の支払いや個人への報酬の支払い、海外への支払い場合には源泉税が必要にならないか、忘れずに確認して下さい。

2020年5月10日税務サポート

Posted by taxtech-editor