脱税はなぜバレる?脱税がバレる理由を解説!バレるとどうなる?
- 少しくらい収入を申告しなくてもバレないだろう
- 親の遺産を相続したけど、大金じゃないからバレないだろう
脱税は、大起業や大金持ちのことだと思っている方も多いかもしれない。
少しの金額をごまかしたところで、バレないだろうと思うかもしれないが実はそれは大間違い。少しの金額であれ、個人であれ納税の義務を怠ることは立派な脱税にあたる。
この記事では、脱税がバレる経緯とバレた場合にどうなるのかについて解説する。
脱税はバレないと思っているのであれば、必見だ。
脱税はなぜバレるのか?
脱税がバレるのはさまざまな状況がある。税務署は金融機関から預金口座の状況を入手できるので、不審なお金の流れがあれば脱税を疑い調査ができるのだ。
脱税がバレる理由は主に下記のようなこと
それぞれの状況を解説する。
税務調査を受けた
税務調査とは、納税者が申告した内容に相違がないか税務署員が行う調査のこと。この調査により、脱税がバレるパターンが最も多い。
調査の目的は、正しい納税を促すこと。脱税がマスコミに報道されるのは、世間に対して正しい納税を意識するための牽制ともいえる。調査対象の選定に決まった基準はなく、さまざまな情報を調べ、あらゆる観点から選定している。
とはいえ、調査対象を選ぶためにはある程度の目星をつけて行うことも多い。国民ひとりひとりの収入や財産は、国税総合管理(KSK)システムにより把握されている。全国の国税局と税務署をネットワークで結び、申告・納税の実績や各種情報を入力し分析して税務調査や滞納整理に活用されている。このKSKシステムで出た財産の実績と確定申告の内容に相違があると、怪しいと疑いの目を向けられる。
その他、
- 過去に脱税した会社
- 開業して3年程度経過した会社
- 利益が大きい会社
なども調査の対象となりやすい。
調査を受けると、脱税は必ずバレる。実際に請求書や領収書、帳簿などを詳しく調査されるのでバレるのは当然といえるだろう。
取引先の情報から芋づる式にバレる
税務調査の手法の一つに「反面調査」がある。これは、税務調査を受けている会社と付き合いのある会社や銀行に行われる調査のこと。つまり、取引先が税務調査を受け不正が疑わしい場合、自社も調査を受ける可能性があるということだ。反面調査は、突然やってくることも多い。事前に連絡をすると、口裏合わせや証拠の隠蔽などが疑われるためだ。この調査により、取引先も疑わしいと判明した場合はさらに調査を受ける可能性もある。芋づる式を回避するためには、取引先とのやり取りを証拠としてしっかりと保管し、正しく申告することが大切だ。
大きな買い物などの行動でバレる
例えば不動産を購入した場合は、法務局からへ不動産登記を行う。この情報は、法務局から税務署へと渡される。税務署では、個人や法人の収入や財産を把握しているため、利益が出ていないのに大きな買い物をしている場合、資金の出どころを疑う。不動産などの大きな買い物の場合、銀行口座の内容など何かしらの履歴が残るので大きい資金の動きがあると疑われることが多い。税務署に怪しいと思われると、税務調査の対象となり脱税がバレるのである。
密告でバレる
国税庁のホームページには脱税の密告用の窓口(情報提供フォーム)がある。情報提供フォームには、脱税の対象者の氏名や名称、住所、電話番号などを可能な範囲で記入する。脱税の手段や方法など知っている情報も記入できる。密告者の情報の記入欄もあるが、こちらは任意なので記入する必要はない。また、密告は税務署への電話や、郵送でも可能。国税職員には、守秘義務が課せられているので密告者の情報が外部に漏れることはない。実際に密告から脱税がバレることも多いのだ。
国税庁課税・徴収漏れに関する情報提供https://www.nta.go.jp/suggestion/johoteikyo/input_form2.html
贈与税や相続税の無申告もバレる
毎年1月1日~12月31日にもらった財産の合計が110万円を超える場合は、贈与税を申告して納税の義務がある。
- 不動産の贈与や購入資金は登記情報
- 現金や預金の贈与
- 保険金の支払調書
などは、税務署に提出されるので、贈与があったことは税務署に筒抜けなのだ。
さらに税務署は誰かが亡くなった場合、市区町村役場からの連絡で情報を入手する。死亡届を受け取った市区町村役場には、管轄の税務署に報告する義務があるためだ。また、亡くなった方の資産状況も金融機関から伝えられるため、多額の財産があるとわかった場合は、相続税が発生する可能性を疑う。
贈与や相続が疑われる場合は、税務署から文書や電話などで「お尋ね」が届く場合がある。「お尋ね」は突然電話や文書で届くので、驚く方も多いだろう。「お尋ね」が来るのは、不動産を購入、相続でお金をもらうなどお金が大きく動いた場合。例えば、不動産を購入した場合は、支払金額の調達方法を聞かれる。自分名義の預貯金、家族名義の預貯金、ローン、贈与などの支払い方法を詳しく聞かれ、これらの状況により申告漏れが疑われる場合は、詳しく調査されることになる。
贈与や相続もごまかすことはまずできないので、事実があった場合は速やかに申告しよう。
脱税がバレるとどうなる?
脱税がバレるとどのような罰があるのだろうか。脱税は、バレるとマスコミなどに報道される可能性もあり、社会的信用を一気に失う可能性がある。
その他に、脱税がバレた場合のペナルティについて解説する。
追徴課税
脱税や申告漏れの場合、本来払うべき税金とは別に修正申告や更正処分によって算出された税額の差額分を徴収される追徴課税も支払う必要がある。場合によっては、追徴課税に加え、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税、延滞税、利子税などを課せられる場合も。追徴課税は、原則一括で払わなければならない。分割の場合も1年以内に納付することを求められるので、その負担は相当大きいものになる。
刑事罰
脱税は、刑事罰を受ける可能性もある。刑事罰は基本的に「10年以下の懲役または1000万円以下の罰金あるいは併科(両方の刑が課せられること)」。さらに脱税額を限度として、増額される可能性もある。
脱税は逮捕の可能性も
脱税は必ずしも逮捕されるとは限らない。しかし、脱税額が大きい場合や意図的に所得隠しを行っている場合など、悪質な場合は逮捕される可能性もある。
脱税で逮捕されるのは下記のような場合。
- 逃亡のおそれがある
- 証拠隠蔽の可能性がある
逮捕を避けるためには、税務調査は可能な限り応じ、証拠物件の提出に協力するなど、逃亡の恐れや証拠隠蔽の意思がないことを示すことが重要だ。
逮捕された場合は、最大48時間検察によって身柄が拘束される。この間は、接見が許されるのは弁護士のみ。48時間経過後、検察官により勾留が請求され裁判官によって認められた場合は、最大で20日間身柄を勾留されることになる。勾留後は、事件の起訴の有無が判断され、起訴された場合には刑事裁判が行われる。
税務調査はどのように行われるのか
税務調査の時期は、2~5月決算の場合は7~12月、6~1月決算の場合は1~6月。1~3月は確定申告の時期なので、この時期に調査が行われることはめったにない。税務調査が増えるのは、税務署の人事異動が終わる7~11月ごろにかけて。
調査は、いきなり行われるのではなく事前連絡がある。連絡をする時期に明確な決まりはないが、現状として10~20日前に行われる場合が多い。原則、税務署から顧問税理士及び会社などに連絡があり日程調整が行われる。調査に必要な書類は、あらかじめ用意しておこう。ただし、脱税が疑われる場合は、「無予告」で調査が行われるケースもある。
調査の頻度は、一般的には10年に一度。業種や過去の不正などの状況によっては3~5年の頻度で調査を受ける場合も。個人事業主の場合は、開業から5年以上経過すると調査の対象となる場合が多い。
しかし、国税庁「税務行政の現状と課題」https://www.nta.go.jp/about/council/shingikai/170314/shiryo/pdf/04.pdfによると平成27年の税務調査の実施状況は、法人の場合3.1%、個人の場合は1.1%と非常に低い。平成元年から、調査率は減少傾向であるが日本国民である限りは調査の対象となりえることがあることを覚えておこう。
調査は、通常2~3日程度かけて行われる。過去のデータをさかのぼり詳細に調べられるほか、世間話から情報を得られることも。社長や社員へのインタビューなどさまざまな状況から情報を収集しているのである。
調査が終了すると、調査官から会社の経理上のミスや不正などの指摘内容をまとめられる。指摘事項がない場合は、「更生決定等をすべきと認められない旨の通知書」を受け取る。指摘事項がある場合は、会社側の意見を述べ受け入れるところ、主張すべきところを主張しよう。指摘事項に納得した場合は、修正申告書を提出し追加の税金を納付する。修正申告書は提出後に不服申し立てはできないので、納得のうえで提出しよう。
まとめ:脱税はバレる!正しく税金を納めよう
脱税がバレる理由は、
- 税務調査を受けたため
- 取引先の情報から
- 大きな買い物などの生活
- 密告
などがある。税務署は、国民の収入や財産を把握しているため、疑わしいお金の動きがあると税務調査を実施することが可能。取引先の税務調査から、脱税がバレることもある。家などの大きな買い物も税務署は把握しているので、収入や財産をごまかすことはほぼできない。
そのためバレずに脱税することはできない。脱税がバレると、社会的信用を失い、本来の納税額の何倍もの税金を払い、刑事罰を受け逮捕される可能性もある。ほんの少しごまかすだけという軽い気持ちで脱税をしてしまうと、取り返しのつかないことになってしまうのだ。納税は国民の義務である。税金は正しく申告し、正しく納付しよう。
監修税理士・公認会計士からのコメント
脱税は、バレてしまう行為でありさまざまなペナルティがあります。あまりに代償の大きい行為ですので、「少額ならバレないだろう」と考えずに正しく申告を行いましょう。