軽自動車にかかる税金のすべてを徹底解説【2021年度】
軽自動車を購入する際に気になるのが、購入費用や維持費ではないだろうか?
購入費用や維持費に大きく関わるのが車にかかる税金だ。節税する方法があるのであれば、少しでもお得に購入したいもの。
そこでこの記事では、軽自動車にかかる税金のすべてを徹底的に解説する。軽自動車の購入を検討している方は参考にしてほしい。
軽自動車にかかる税金は4種類
軽自動車にかかる税金は全部で4種類だ。
- 軽自動車税(種別割)
- 環境性能割
- 重量税
- 消費税
令和元年度(2019年度)の税制改正により、軽自動車税は軽自動車税(種別割)に名称変更した。自動車取得税は廃止になり、新しく導入されたのが環境性能割だ。
それぞれの支払い時期は下記の通り。
軽自動車税 | 1年に1回 |
環境性能割 | 購入時、軽自動車の環境性能に応じて課税 |
自動車重量税 | 新車登録時と車検時、軽自動車の重さに応じて課税 |
消費税 | 購入時、付属品を含む価格に課税 |
それぞれ、詳しく解説する。
軽自動車税
軽自動車税は、4月1日時点で軽自動車を所有している所有者に課税される。軽自動車税の税率は一律だが、新車登録をした年度によって下記のように税金は異なる。
新車登録された年度 | 軽自動車税 |
平成27年(2015年)4月1日以降(新税率を適用) | 10,800円 |
平成27年(2015年)3月31日まで(旧税率を適用) | 7,200円 |
軽自動車税が適用される車両は次の通り。
- 軽自動車(総排気量660㏄以下、3輪含む)
- 原動機付自転車
- 軽2輪(125㏄超250㏄以下)
- 小型2輪(250㏄)
- 小型特殊自動車(フォークリフト、トラクター、農耕者)
このように軽自動車税が適用される車両にはさまざまな種類がある。
軽自動車は、4月1日時点の軽自動車の所有者に課税され分割されることはない。そのため、4月2日以降に購入した場合、その年度の軽自動車税は課税されることはない。また、年度の途中で軽自動車を手放す、廃車にするなどしても軽自動車税が返金されることはない。
支払う時期
軽自動車税は、毎年4月1日時点の車両の所有者に対して市町村から納税通知書が届く。納税通知書が届く時期は、およそ5月初旬。納付期限は5月末日なので、納付書が届いてから納付期限までの期間が短いので注意しよう。
軽自動車税は以下のように車両の種類によって異なる。
車両区分 | 旧税率 | 新税率 |
乗用自家用 | 7200円 | 10800円 |
乗用営業用 | 5500円 | 6900円 |
貨物用自家用 | 4000円 | 5000円 |
貨物用営業用 | 3000円 | 3800円 |
また2輪の税率は以下の通りだ。
50㏄以下 | 2,000円 |
50㏄超90㏄以下 | 2,000円 |
90㏄超125㏄以下 | 2,400円 |
ミニカー | 3,700円 |
軽2輪(125㏄超250㏄以下) | 3,600円 |
小型2輪(250㏄超) | 6,000円 |
支払い方法
軽自動車税の支払い方法は次の5種類
- 現金
- 電子マネー
- 口座振替
- ペイジー
- クレジットカード
現金払い
納付書による現金払いの場合、納付書を金融機関、郵便局やゆうちょ銀行、コンビニ、都道府県税事務所などがある。納付書の裏面に納付可能な場所の記載があるので確認しよう。手数料は無料だ。
電子マネー
自治体によっては、電子マネーでも納付可能なこともある。例えば、東京都の場合、PayPayのやLINEPayの請求書払いを利用して納付できる。コンビニで納付書を使って支払う場合ミニストップではWAON、セブンイレブンではnanacoなどの電子マネーが使えることも。各自治体によって、対応は異なるので詳しくはお住まいの自治体に確認しよう。
口座振替
口座振替を選択した場合、預金口座からの自動引き落としによって納付する。口座振替をするためには、事前に市区町村の役所や銀行での手続きが必要だ。預金通帳や口座届出印を用意して手続きしよう。口座振替は、手数料無料で自動引き落としされるので納付し忘れもなく安心な納付方法だ。
ペイジー
軽自動車税はペイジーの支払いにも対応している。手数料無料でネットバンキングやATMからの納付が可能だ。自動読み取り機能の付いたATMでは納付書を差し込むだけで納付できるので手続きも簡単。ネットバンキングを使えば、パソコンやスマホで納付可能なのでネット環境さえあればいつでもどこでも支払いができることがメリットだ。
クレジットカード
軽自動車税はクレジットカードでも納付可能。クレジットカードで支払えば、自宅で納付可能で、クレジットカードのポイントも貯められる。クレジットカードは決済されてから、実際に引き落としがあるまで期間がある。すぐに納付することが苦しい場合などは、実質納付を先延ばしにできるので助かることもあるだろう。
ただし、クレジットカードでの納付は手数料がかかる。クレジットカード決済の方法は各都道府県によって手続き方法が異なるので、お住まいの自治体の方法に従おう。
納税証明書は車検を受けるために必要
軽自動車税を納付すると、納税通知書の一部に領収印が押され納税証明書になる。車検の際には、納税証明書が必要なので車検証と一緒に保管しておこう。電子マネーやクレジットカード決済の場合、自分で納税証明書の発行手続きが必要。自治体によっては電子マネーやクレジットカード決済を利用した場合は、一斉に納税証明書が発行され郵送される場合も。
決済データの反映には2~3週間かかるため納税証明書の発行はそれ以上時間がかかる。車検を受けるためには納税証明書が必要なため、納税後3週間以内に車検を受ける予定がある場合は、クレジットカードや電子マネーでの決済は避けた方がいいだろう。
各自治体により対応が異なるため、詳しくはお住まいの自治体で確認しよう。
軽自動車税(種別割)を滞納するとどうなる?
軽自動車税を滞納すると、まずコンビニでの納付ができなくなる。また延滞金を支払わなければならず、軽自動車税の支払いが完了するまで車検を受けられなくなる。軽自動車税の延滞金は、1カ月以内の場合は納付額の2.6%。2カ月以上の滞納の場合は、納付額の8.9%の延滞金が発生する。
納付期限を過ぎたままでいると督促状が届き、督促状も無視していると催告状が届く。さらに無視し続けると、最終的には差し押さえ通知書が届き、財産などが差し押さえられる可能性もある。しっかりと納税しよう。
軽自動車税(種別割)を節税するには
軽自動車税は、購入する時期を工夫することで節税できる。軽自動車税には、月割り課税がないので4月1日時点で軽自動車を所有していない場合は、その年の軽自動車税の支払いは不要だ。つまり、軽自動車を購入する時期は、4月2日以降でなるべく早い時期の購入がお得ということになる。
また、軽自動車を譲渡、廃車にする場合は3月中に済ませておこう。軽自動車税は、4月1日の車の所有者に課税されるため、たとえ乗っていない車であっても4月1日に所有していれば課税の対象となる。月割り課税がないため、1年分の軽自動車税を支払うと還付を受けることができない。
身体障害者の方は軽自動車税や環境性能割の減免がある
身体障害者、戦傷病者、知的障害者、精神障害者の方が自ら使用する軽自動車や、生計を1つにする方が使用する軽自動車には、軽自動車税や自動車税環境性能割の減免制度がある。
減免を受けるためには、各自治体の窓口へ申請が必要。要件や必要書類、手続きの方法は各自治体により異なり、減免申請の受理や審査は各自治体が行うので、詳しくは各自治体に問い合わせよう。
環境性能割
2019年10月1日以降、自動車取得税が廃止され、環境性能割が導入されている。環境性能割は、自動車の購入時に課税される税金で軽自動車の税率は自動車の燃費性能などに応じて0~2%。軽自動車の自動車取得税は一律で2%課税されていたが、燃費性能に応じて税率が変わる制度に変更となり、より燃費のいい車がお得になる仕組みになった。
燃費性能の基準は、国が定めた「2020年度燃費基準」の達成度合いによる。自動車を購入時に確認してみよう。2021年3月31日までは暫定措置としてさらに基本税率が1%軽減される。
軽自動車にかかる環境性能割は以下の表の通りだ。
環境性能による区分 | 取得日2019年10月1日~2020年9月30日 | 取得日2020年10月1日~ | |
電気軽自動車・天然ガス軽自動車・プラグインハイブリッド車・クリーンディーゼル乗用車など | 非課税 | 非課税 | |
ガソリン車・ハイブリッド車 | 2020年度燃費基準+20%達成 | 非課税 | 非課税 |
ガソリン車・ハイブリッド車 | 2020年度燃費基準+10%達成 | 非課税 | 非課税 |
ガソリン車・ハイブリッド車 | 2020年度燃費基準達成 | 非課税 | 1% |
ガソリン車・ハイブリッド車 | 2015年度燃費基準+10%達成 | 1% | 2% |
上記以外 | 上記以外 | 1% | 2% |
自動車重量税
自動車重量税は、車の重さに対して毎年かかる税金で、自動車の新規登録時と車検時にまとめて納付する。軽自動車の場合は、車両に関わらず一律3,300円。継続車検を受ける場合には、翌2年分の納付となり6,600円となる。
消費税
自動車を購入する際には、もちろん消費税も課税される。消費税は車両本体だけでなく、付属品などの購入金額にも課せられる。
エコカー減税
エコカー減税とは、排出ガスや燃費性能に応じて自動車重量税が減税になる制度だ。2019年4月には軽減率の見直しが行われ適用期間が2021年4月30日まで延長される。2021年の税制改正では2021年5月1日以降も延長される予定だ。
エコカー | エコカー(本則税率) | エコカー以外 | エコカー以外13年経過 | エコカー以外18年経過 |
免税 | 5,000円 | 6,600円 | 8,200円 | 8,800円 |
グリーン化特例
グリーン化特例は、国が指定した環境性能に優れた軽自動車の新規登録の翌年度分の軽自動車税(種別割)が減税される制度。恒久的に減税になるわけではなく、新規登録の翌年のみの減税となるので注意しよう。グリーン化特例は、2019年4月1日~2021年3月31日までに新車登録された自動車に適用される。2021年4月1日以降は新基準が適用され、2023年5月31日まで適用される。
グリーン化特例が適用された軽自動車税(種別割)は以下の通り。
車両区分 | 特例適用税額を概ね75%軽減 | 特例適用税額を概ね50%軽減 | 特例適用税額を概ね25%軽減 | 特例適用外の車両 |
乗用自家用 | 2,700円 | 5,400円 | 8,100円 | 10,800円 |
乗用営業用 | 1,800円 | 3,500円 | 5,200円 | 6,900円 |
貨物用自家用 | 1,300円 | 2,500円 | 3,800円 | 5,000円 |
貨物用営業用 | 1,000円 | 1,900円 | 2,900円 | 3,800円 |
三輪 | 1,000円 | 2,000円 | 3,000円 | 3,900円 |
軽自動車
概ね75%軽減 | 電気自動車、天然ガス自動車 |
概ね50%軽減 | 2020年度燃費基準+30%達成車 |
概ね25%軽減 | 2020年度燃費基準+10%達成車 |
軽貨物車
概ね75%軽減 | 電気自動車、天然ガス自動車 |
概ね50%軽減 | 2015年度燃費基準+35%達成車 |
概ね25%軽減 | 2015年度燃費基準+15%達成車 |
軽自動車は13年で税金が上がる
平成28年、軽自動車税の標準税率が引き上げられ、環境配慮の観点から新車登録から13年を経過した軽四輪車等は軽自動車税の税率が20%上乗せされる。さらに、自動車重量税も13年以上、18年以上経過すると重課となる。つまり、古い車に乗り続けるよりも、環境に配慮した燃費のいい車に乗り換える方が節税になる。
まとめ:軽自動車にかかる税金を知り賢く購入しよう
軽自動車には、軽自動車税、自動車重量税、環境性能割、消費税の4種類の税金が課税される。環境に配慮され燃費のいい自動車には、エコカー減税やグリーン化特例が適用され税金の優遇を受けることが可能だ。
軽自動車税は、4月1日時点の所有者に課税されるため、4月2日以降に購入するとその年は課税されない。
軽自動車にかかる税金は、エコカーの購入や購入時期を考慮することで節税が可能。軽自動車にかかる税金を知り、購入に役立てよう。
監修税理士・公認会計士からのコメント
軽自動車にかかる税金と一概にいっても、さまざまな種類が存在します。購入する車の種類や時期によっては節税が可能ですので、正確な意識を前もって身に着けておきましょう。