【雇用調整助成金】とは?わかりやすく徹底解説!!

2020年12月30日

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雇用調整助成金をはじめ、数多の助成金制度を利用するには、当てはまる条件や、書類などを漏れなく揃えるのが大変なイメージがある。しかし、条件さえ揃えば審査が通りやすいのが助成金。融資とは違い、返済義務はないため、ぜひとも活用したい。

そこでおすすめなのが、「雇用調整助成金」。経営が傾いても雇用を守り、経営を立て直すための助成金である。条件も、ほかの助成金と比べて条件が揃いやすいのだ。

この記事では、雇用調整助成金の条件や必要書類、申請方法や注意点などを分かりやすく解説していく。

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雇用調整助成金とは?

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雇用調整助成金とは、景気の変動や経営上の理由から、事業活動を制限する必要がある場合、国が助けてくれる制度である。一定の条件を満たしている企業の事業主が対象だ。

世の中の動きにより経営の危機を迎える会社は少なくない。そこで従業員を一時的な休業や出向、教育訓練をさせて、雇用の維持をうながすのだ。

雇用調整助成金の給付条件と限度額

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雇用調整助成金には、企業の規模や生産量の低下などを元に給付条件や限度額などが細かく定められている。それぞれについて簡潔に解説していく。申請する際にはしっかり把握することが大切である。

雇用調整助成金の給付条件

雇用調整助成金の給付条件は、主に5つ。

  • 雇用保険適用の事業主であること
  • 売上や生産量が10%以上下がっていること
  • 正社員や派遣社員などの雇用量が5~10%増えていないこと
  • 過去に雇用調整助成金を受けた事業者は、受給満了翌日から1年以上経過していること
  • 実施する「休業、教育訓練、出向」などの雇用調整が一定基準を満たすこと

この中でも、雇用量の割合を間違えないように注意が必要だ。

雇用調整のために実施する「休業・教育訓練・出向」については以下で説明する。

休業の規定

休業の規定は、主に3つある。

  • 労使協定により1日の労働日にわたって休業すること
  • 正社員全員がいっぺんに1時間以上休業でも可
  • 決まった労働日、労働時間内に実施すること

休業は、正社員全員がいっぺんというところがポイント。規定が守られない場合は補助の対象にならないこともあるので気を付けよう。

教育訓練の規定

教育訓練の規定は主に3つ。

  • 休業の規定を満たすこと
  • 教育訓練は商業の知識や技術の向上目的とし、受けた本人がレポートを書くこと
  • 教育訓練は3時間以上とし、同日に業務はしないこと

また、入社時研修や管理職研修など、常に行なっている研修は該当しないので注意が必要だ。

出向の規定

出向の規定は主に3つある。

  • 事業者が出向者の賃金の一部を負担し、出向前の賃金と同じ賃金を支払うこと
  • 出向者には、出向前の賃金とほぼ同じ額の賃金を支払うこと
  • 出向者を3か月以上1年以内にもとの事業所に戻し、その後6か月以内の出向はさせないこと

出向は、出向する期間も出向した後にも期限が定められている。しっかり確認することが大事だ。

雇用調整助成金の限度額

雇用調整助成金の限度額は、1人1日あたり8370円となっている。内訳は、「(平均賃金額×事業者の休業手当等の支払い率)×企業規模ごとの助成率」だ。企業規模ごとの助成率は、中小企業で2/3、それ以外は1/2とされている。

しかし、助成率は従業員を解雇した場合には下がるので注意が必要だ。

また、教育訓練を実施した場合は1人1日あたり1200円プラスされるので覚えておきたい。

雇用調整助成金の受給日数

雇用調整助成金の受給日数は、休業・教育訓練だと「1年間の間に100日分まで」、「3年の間だと150日分まで」である。出向の場合は1年以内の出向期間中は受給可能だ。

雇用調整助成金の申請方法

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雇用調整助成金の申請方法は、事業主が労働局や役所などの指定窓口に持参のほか、郵送やオンラインでの申請が可能だ。ご自身の好きな方法で申請ができる。

オンライン申請が手っ取り早く、スムーズだが、地域によってはオンラインが浸透していないことも。結果、持参や郵送のほうが対応が早い場合もある。受付窓口は地域によって異なるため、事前のチェックが必要だ。

雇用調整助成金を自分で申請できない場合は?

雇用調整助成金を自分で申請できない場合、社労士に代行を頼むこともできる。さらに、社労士は代行だけでなく、その他の受給可能な助成金を調べてもらうことも可能だ。

また、雇用に関する助成金の代行を頼めるのは資格を有する社労士のみ。頼むのにお金はかかるが、手続きがスムーズに進むため、時短につながる。必要書類を用意したり条件を網羅する自信がない方は社労士の代行の利用をおすすめする。

雇用調整助成金の必要書類

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必要な書類は、従業員数が20名以上か以下に分けられる。準備する内容に大きな違いはないが、人数が少なくなるに連れて、内容が簡素になる。

決まった用紙に記入する書類は4つ。

  • 支給申請書
  • 助成率確認票
  • 休業実績一覧表
  • 支給要件確認申立書

そのほか、月の売り上げやシフト表、給与明細や役員名簿などが必要である。これらは自分でエクセルやワードなどで制作しなければならない。提出後に調査で不備の指摘がないようにしっかりと準備することが必要だ。

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雇用調整助成金が支給されるまでの流れと期間

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雇用調整助成金は、申し込みから支給されるまで、1ヵ月から2ヵ月以内といわれている。厚生労働省のアナウンスによると、審査の結果、認定を受けたのち1ヵ月を目安となっている。そのため、申し込みをしてから審査の時間をいれると、1ヵ月以上かかることが多いようだ。書類に不備があると、さらに長くなる場合もある。しっかり確認しつつ、余裕をもって申請することが大事である。

そして、雇用調整助成金は、受給後もやり取りが続くことを忘れてはいけない。会社への調査が入ったり、現状報告を求められたら、受けなければいいけない義務があるのだ。

これは、雇用調整助成金だけでなく、すべての助成金補助金に当てはまることである。

雇用調整助成金のメリット

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雇用調整助成金のメリットは、主に3つある。

  • 会社や店舗が休業していても従業員を雇用し続けられる。
  • 従業員に支払うお金を多く補える。
  • 生産性を向上させた場合は助成金が割り増しされることもある。

雇用助成金を利用すると、雇用主だけでなく、従業員をも安心させることができるのだ。

雇用調整助成金の注意点

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雇用調整助成金の注意点は3つ。

  • 企業側が負担する場合もある
  • 審査が通らない場合もある
  • うその申告にはペナルティが下される

それぞれ解説していく。

企業側が負担する場合もある

企業側が負担する場合というのは、助成金だけではまかなえない不足分がある場合。企業の状況によっては、100%助成してくれる場合もあれば、50%ほどになる場合もある。自身が望む額を補填してもらえるとは限らないのだ。

審査が通らない場合もある

雇用調整助成金に関わらず、助成金や補助金を受けるには審査がある。申請書を揃えても、審査を通過できない場合もあるのだ。その原因は、必要条件に達していない場合がほとんど。助成金は、条件を満たしていれば審査に落ちることはほぼないと言われている。融資とは違い、審査基準は低めであるからだ。必要条件を網羅できているか、見直すことをおすすめする。

うその申告にはペナルティがある

うその申告のペナルティは、全ての受給額の返還、さらに3年間は助成金が受けられなくなる。また、悪質な場合は詐欺罪などで告発される可能性がある。

最も注意が必要なのは、助成金の受給をうながす詐欺グループの存在だ。「助成金の代行をしますよ」「あなたにぴったりな助成金を紹介させてください」と、話を持ち掛けてくる。そういった話を鵜呑みにして間違った申請をすると、不正の疑いが自分自身にかかる可能性もあるのだ。

緊急雇用安定助成金との違い

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緊急雇用安定助成金との違いは、従業員が雇用保険に加入しているかで変わる。内容は雇用調整助成金とほぼ変わらない。雇用調整助成金は、事業主や従業員が雇用保険被保険者である必要がある。しかし、緊急雇用安定助成金は、パートやアルバイトなど、雇用保険に加入していない方が対象である。

また、緊急雇用安定助成金と雇用安定助成金は、提出する書類が異なる。間違えないように注意したい。

雇用調整助成金の上限金額引き上げと特例の拡充

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雇用調整助成金は、情勢により上限金額の引き上げと特例の拡充をすることがある。例を上げると、新型コロナウイルスによる影響の場合だ。

特例により、助成額の上限は8370円が15000円に上がり、助成率も増えた。さらに売り上げ生産量は10%以上減少した場合というのも、5%と、通常より利用しやすくなっているのだ。 

また、特例がでなくとも、条件や制度の変更は1~3か月程度で変更されることが多いため、こまめなチェックが必要だ。

まとめ:雇用調整助成金は便利な制度!

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雇用調整助成金は、事業主が従業員を維持するために助成される便利な制度。主な対象は売上や生産率が10%下がってしまった中小企業や個人事業主である。

主な受給条件は、従業員を休業させる、教育訓練を受けさせる、または出向させること。条件は状況により変化するため、条件を満たせているかチェックすることが大事である。

しかし、受給ができても、必要な資金すべてをまかなえるとは限らないので注意だ。自分で負担をする場合もあるが、事業の継続や従業員を安心させることに繋がるため、メリットが多い。自分で申請が不可能であれば、社労士による代行の利用がおすすめだ。

融資に比べて受給しやすい助成金。受給できる権利があるならば、もれなく受給することをおすすめする。

監修税理士・公認会計士からのコメント

雇用調整助成金というのは景気の変動などによって事業活動を制限された企業に対して支給される助成金のことです。外部要因によって従業員を解雇することがなくなるので、雇用主だけではなく、従業員にとっても助かります。経営者が知っておいた方がいい助成金というのはまだたくさんあるのでTaxtechの記事をチェックしてみましょう。

2020年12月30日経営者の課題と解決策

Posted by taxtech-editor