法人税金申告の流れと詳細 分かりやすく解説!!

2020年6月30日

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法人の事業運営によって利益を得ると、さまざまな税金を支払わなければならない。その中の1つが「法人税」。しかし初めて法人で決算を行う方だと、何をいつまでに用意したら良いのか分からないことばかりだろう。そこで今回は、法人税金申告の流れと詳細について詳しく解説していく。

法人税金申告の概要

法人税は確定申告をして納税する必要がある。決算で確定した利益(損失)を元に、会社が支払うべき法人税の金額を計算するのが法人税金の申告である。決算と同様、法律で定められており、さまざまな書類を作成しなければならない。

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法人税金申告の大まかな流れ

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法人税金の申告は、大まかに以下の流れで進めていく。

  1. 今年度の取引を記帳する
  2. 決算整理事項を確認する
  3. 決算書を作成する
  4. 申告書を作成し提出する
  5. 税金を納付する

ここではそれぞれの流れについて詳しく解説する。

今年度の取引を記帳する

まずは今年度の取引をすべて記帳する。白色申告の場合は家計簿のような簡易な帳簿でも認められるが、会社だと節税のために青色申告を選ぶ方が多いだろう。青色申告の場合は、複式帳簿が必要となる。1年分のオンラインバンキングの利用明細や通帳、領収書、請求書などを用意し、記帳内容に不備がないか確認しながら記帳していく。記帳が済んだら、試算表を作成し、試算表の借方科目と貸方科目の合計金額が一致しているかどうかを確認する。

決算整理事項を確認する

次に決算整理事項を確認する。期内の未処理の取引はきれいに整理しておく必要がある。確認する項目としては、以下のようなものがある。

資産・負債の実査

  • 現金実査、銀行口座、売掛金、買掛金、借入金、貸付金の確認
  • 受取手形の実査
  • 支払手形の確認
  • 固定資産の実査
  • 在庫の棚卸

決算仕訳の入力・確認

  • 固定資産の減価償却
  • 売上原価の確定
  • 為替換算項目の処理
  • 経過勘定の確認
  • 貸倒れ懸念債権の確認
  • 貸倒引当金の計算

税金の計算

  • 消費税の計算
  • 法人税の計算

法人税は、「所得金額(課税標準)×法人税率」で計算する。

決算書を作成する

決算書を作成する。会社法で定められた法人決算で必要となるのは、以下の書類である。

  • 貸借対照表(B/S):会社の財政状態(資産と負債)を示す
  • 損益計算書(P/L):会社の業績を示す
  • 株主資本等変動計算書(S/S):純資産項目の変動を示す
  • 個別注記表:財産や損益の状況を示すために必要な注記情報をまとめる
  • 計算書類に係る附属明細書:計算書類を補足する重要な事項を示す
  • 事業報告書:事業内容や株式・従業員の状況など経営全般の報告
  • 事業報告に係る附属明細書:事業報告を補足する重要な事項を示す

貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、株主資本等変動計算書(S/S)、個別注記表の4つを総称して「計算書類」と呼ぶ。実務上は、法人税の申告書と平行して計算書類を作成する。

申告書を作成し提出する

法人税の確定申告で納付を義務付けられている税金は、以下のとおりだ。

  • 法人税
  • 消費税
  • 法人事業税
  • 法人住民税

この他にも、状況に応じて他の税金の申告が必要となるケースもある。消費税は、免税事業者に該当する場合は支払わなくて良い。

税金を納付する

期限までに申告し、税金を納付する。法人税は確定申告と同時に納付が必要となる(ただし中間納付もある)。

法人税務申告の期限一覧

法人税申告の期限は、以下の通りだ。

  • 法人税:期末日から2ヶ月以内
  • 消費税:期末日から2ヶ月以内
  • 法人事業税:期末日から2ヶ月以内
  • 法人住民税:期末日から2ヶ月以内

法人税と消費税は税務署、法人事業税は都道府県民税事務所、法人住民税は市町村民役場に申告することとなる。持参のほか、郵送やe-Taxでの手続きも可能だ。

法人の税務申告を自分で行う際の注意点

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せっかく手間暇をかけて書類を作成しても、よく理解せず誤った方法で法人税金申告を行うと、ペナルティを与えられてしまうことも。そうならないために、法人の税務申告を自分で行う際の注意点を紹介する。

申告期限・納付期限に注意

法人税は、申告期限・納期限共に、原則として事業年度が終わった日の翌日から2ヶ月以内である。もしいずれかが間に合わなかった場合、ペナルティーとして「無申告加算税」や「延滞税」が課されてしまう可能性がある。さらに2期連続で申告期限に遅れると、青色申告の承認が取り消されてしまう。

法人税の申告にはさまざまな準備が必要なため、かなり時間がかかる。慣れていない方が自分で手続きしようと思うとなおさらだ。他の業務とのスケジュール調整を行い、余裕を持って準備を進める必要がある。難しければ、早めに税理士に依頼した方がスムーズだ。

特別な事情があって期限内の申告・納付が難しい企業は、「申告期限の延長の特例の申請」によって延長が認められることもある。国税庁のHPから条件等を確認、もしくは税務署で相談してみよう。

会計ルールと税務ルールは異なる

会計ルールと税務ルールは、その目的が異なるため、利益の考え方にも相違がある。例えば接待交際費は、会計上は経費として計上する。しかし税務上では一定の限度額があるため、それを超えた場合は税務上の費用(損金)として認められない。限度額を超えた金額は、会計上の利益に加算する必要がある。逆に受取配当金は、会計上は収益として計上する。しかし税務上は一定金額は税務上の収益(益金)にカウントしなくても良いので、会計上の利益から差し引かなければならない。これらが重要な場合、差額を調整をするために、「税効果会計」という会計手続きを行わなければならない。

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まとめ

今回は、法人税金申告の流れと詳細について詳しく解説した。個人で法人税金を申告するとなると、専門知識が上に業務量もかなり多いため、本来の業務と並行して進めるのは難しい。スムーズに進めるなら、税理士へ依頼するのが良いだろう。個人で行う場合は、最速の会計ソフト「10book」がおすすめだ。最小コストで帳簿の作成、決算書の作成、月次損益レポートの作成など、バックオフィス作業を効率化できる。

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税理士・公認会計士コメント

税金の支払いは意外と大きいため、納付タイミングで資金繰りが悪化しないように月次決算などである程度の金額を見込んでおく必要があります。また、月次決算は経営管理の指標としても使え、かつ期限内にスピーディーに申告を作成することにもつながりますので、実施することが望まれます。

 赤字だからといって申告しないでよいとお考えの方もいらっしゃいますが、青色申告をすることで欠損金の利用など税制優遇を享受できますので、毎期必ず申告することが大切です。

2020年6月30日税務サポート