居酒屋を開業するのに資金はいくら必要?開業資金を安く抑えるポイントも解説

2020年12月19日

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居酒屋は利益率が高く、店舗の特色を出しやすいので他店との差別化も容易で参入障壁が低いと言われている。

しかし居酒屋を開業するためには、店舗を構えるための物件費用や内装の工事費、オープニングスタッフの人件費、グルメサイトに載せてもらうための広告宣伝費など、ある程度まとまった開業資金が必要になる。

ただ、最初にかかる初期費用はできるだけ少なく抑えたいと思うのは当然だろう。

そこでこの記事では、居酒屋の開業資金がいくら必要になるかという目安と、できるだけ開業資金を安く抑えるためのポイントについて解説する。

居酒屋をオープンしたい人必見!準備と資金調達について

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居酒屋は他の飲食店と比べて利益率が高く、売上の多くを現金で即日キャッシュで持てるというメリットがある。

メニューや内装、コンセプトで競合店と差別化も図れるので、価格競争による値下げ合戦に巻き込まれることも少ない。

なので短期間で経営を安定させたいという場合には、居酒屋という業態はメリットが大きい。

しかし当然ながら、居酒屋を開業するには飲食店ならではの初期費用や、その他にかかる開業資金を用意しなければならない。

ただ「居酒屋を開業したい」という場合、いくつかのポイントを押さえておけば相場よりも安く開業資金を抑えることができる。

本記事では居酒屋を開業するのに必要な資金の目安と、開業資金を安く抑えるポイントについて解説する。

飲食店の開業資金の目安はどれくらい?

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居酒屋を開業する時は、「開業資金はどれくらいかかるのか?」ということが気になってくる。

開業資金の目安は「抑えて200万円、平均で600万円、こだわって1000万円」と言われているが、実際はケースによって変わってくる。

居酒屋を開業する際には「どこに出店するか?」「オープニングスタッフは何人雇うか?」「どのような食材を仕入れるのか?」「どのくらい広告費をかけるのか?」ということを考えなければならないが、その規模によって当然必要な開業資金は変わってくる。

ただ物件費や改装工事費、運転資金、備品代、人件費などをすべてひっくるめて、およそ1500万円ほどの資金で開業するケースが多いというデータがある。

店舗の規模で開業資金は変わってくる

開業資金は、オープンする店舗の規模によっても変わってくる。

例えば席数が10席程度の店舗なら当然物件費も安くなり、スタッフもそれほど雇わなくていいので人件費も抑えられる。

立ち飲みスタイルの店なら店舗の規模を小さくすることもできるだろう。

さらに自分が前に勤めていた店からお客さんを持ってこれるなら、広告費を抑えても客足が確保できるかもしれない。

反対に、40~50人規模のお店を経営したいなら、その分規模が大きく家賃の高い物件を借りなければならず、雇うスタッフの数も増やさなければならない。

「自分がどういう店を経営したいのか?」を考えて、そこから開業資金を逆算する考えも必要である。

(例)10坪の店舗を開業する目安

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「最初は小規模の店舗からスタートしたい」という方向けに、10坪の店舗を開業する時の開業資金をシミュレーションしてみよう。

都心部か郊外か、それとも地方でやるのか、駅からの距離はどのくらいなのかによっても変わるが、10坪の店舗をオープンするのにかかる費用は以下のようになる。

◆居抜き物件

物件取得費用、改装費用・・・約350万円 

その他備品代や人件費、広告費など・・・約250万円 

計600万円

◆スケルトン物件(店舗内の床・壁・天井・内装などが何もない「コンクリート打ちっぱなしの状態」)

物件取得費用、改装費用・・・約1200万円

その他備品代や人件費、広告費など・・・750万円

やはり大きく違うのは、借りる物件を居抜き物件にするのか、スケルトン物件にするのかということ。

スケルトン物件は一から内装をやらなければならないので、当然工事費がより多くかかる。

一般的にはスケルトン物件の工事費は平均30万円~50万円/坪、居抜き物件の場合は15万円~30万円/坪と言われていて、上手くすれば居抜き物件だと工事費をスケルトン物件の半分以下に抑えることもできる。

またスケルトン物件の場合、物件を借りても工事が完了しなければオープンできないので、工事している間も家賃だけは支払わなければならない。

オープンしていないのにも関わらず、いわゆる”カラ家賃”が発生してしまい、賃料コストがかさんでしまうことになる。

その点を考えて開業資金を準備する必要があるが、10坪の店舗をオープンする際は1000万円ほどが目安になるだろう。

居抜きの方が資金を安く抑えられる

先ほども解説した通り、物件を選ぶ時は”居抜き物件”を選んだ方が開業資金を安く抑えられる。

その一番の理由は、厨房の工事費が安くなることだろう。

飲食店で使う厨房設備は当然家庭用とは違うので、その工事費はかなり高額になる。

スケルトン物件だと、その厨房工事費だけで1000万円ほどかかってしまうケースもあるが、前の飲食店をそのまま引き継いて使える居抜き物件なら開業資金を大幅に削減できる。

よほどキッチンにこだわって、厨房を充実させたいのであればスケルトン物件でもいいが、開業資金を安く抑えられるなら余計なコストを省ける居抜き物件の方がメリットがあるだろう。

居酒屋をオープンする時に覚えておきたいコストとは

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居酒屋をオープンしようと思ったら、考えなければならないコストがいろいろ思い浮かんでくるだろう。

「あれもこれも」と考えると分かりづらくなってしまうので、頭の中を整理するために主だった4つのコストから考えてみよう。

まずはオープンする前に、この4つのコストがきちんと捻出できるかどうかを考えることで「あといくら貯めればいいのか?」が見えてくる。

物件取得費用

物件取得費用は、文字通り店舗用の物件を借りるための費用である。

物件によって多少変わるが、基本的には

敷金・・・店舗用の物件だと家賃の10ヶ月分を請求されることが多い。

礼金・・・家賃の1か月分のケースが多い。関東の物件は請求される可能性が高くなる。

仲介手数料・・・物件を紹介してくれた不動産屋へ支払う。家賃の1か月分の場合が多い。

前家賃・・・契約開始月の日割り家賃と翌月の家賃を支払う。

造作譲渡料(居抜き物件の場合)・・・居抜き物件に残されている内装、厨房設備、空調設備などにかかるお金。

がある。

例えば家賃30万円の物件で計算すると、

敷金・・・家賃30万円×10ヶ月分=300万円

礼金・・・家賃の一ヶ月分=30万円

仲介手数料・・・家賃の一ヶ月分=30万円

前家賃(その月の15日に契約した場合)・・・家賃30万円の残り15日分+翌月の家賃30万円=45万円

となり、合計で405万円かかる計算になる。

※居抜き物件の場合、これにさらに造作譲渡料がかかる。

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店舗投資費用

店舗投資費用は内装や電気・ガス・水道などのインフラ、厨房設備など、店舗として機能させるために必要になるコストである。

インテリアや看板、店舗で使うレジの導入、宣伝費用など挙げればいくつも出てくるので、店舗投資費用に関しては一概にいくらかかるとは言えない。

自分がどれくらい設備にこだわるかで必要な金額は変わってくる。

なので物件の広さや内装、居抜き物件にするのかスケルトン物件にするのかなどを検討し、いろんな業者から見積もりを取るようにしよう。

その中で予算を決め、業者に依頼するのが重要となる。

運転資金

物件の契約し、店舗投資をしてオープンできる準備を整えたとしても、しばらくの間店を維持し続けられる運転資金も必要になる。

開業後してすぐはオープン特需で、近隣住民や物珍しさから客足が増えるかもしれない。

しかし、それが落ち着いた後でも黒字で営業し続けなければ店をたたむことになってしまう。

現に飲食店への融資実績が多い「日本政策金融公庫」によると、開業して間もない店舗は平均して6カ月間、赤字かそれに近い水準で営業しているというデータがある。

つまり居酒屋を開業しても、それを軌道に乗せるには約半年間かかるということになり、半年間赤字を出し続けても営業できるだけの運転資金を最初に用意しておかなければならないのである。

開業後のこの期間を乗り切れるだけの運転資金も用意する必要があるだろう。

生活費

先ほど「開業して半年間は赤字営業になる可能性が高い」という話をしたが、それはつまり半年間収入がなくなるということである。

なので最低でも半年間、無収入でも自分や家族が生活できるだけの生活費も必要になる。

自分が住んでいる家の家賃や食費、子供の養育費、光熱費・・・

それらを最低半年分蓄えておかないと、開業直後の時期を乗り切れなくなる可能性がある。

自己資金は0円でも開業できる?

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結論から言うと、居酒屋を開業するのに自己資金ゼロで居酒屋を開業するのは難しい。

自己資金がゼロだと、開業資金をすべて融資で賄う必要がある。

仮に開業資金に1000万円必要だった場合、「自分では1円も使いたくないので、全額融資してほしい」と金融機関にお願いすることになるが、自己資金がゼロの時点で”支払い能力がない”とみなされる可能性が高い。

なので結果として融資も通りづらくなる。

さらに金融機関は融資の条件として、「不動産の契約書の提出」を定めていることが多い。

つまり融資をお願いする時点で物件は契約し終わっていなければならないので、自己資金で支払い終わっていなければならないのである。

ほとんどの場合、物件の契約には数百万単位でのお金がかかるので

自己資金0円での開業は不可能と言っていいだろう。

開業資金の3割は自己資金で用意する

そうはいっても、開業資金をすべて自己資金で賄うことは難しいだろう。

なので「開業資金の3割を自己資金で準備する」ことを一つの目安にするといい。

現に「日本政策金融公庫総合研究所」が出したデータによると、開業資金の3割を自己資金で準備し、残り7割は融資を受けるというパターンが多くなっている。

残りの開業資金は融資で賄う

先ほどの”開業資金の3割”という数字は、物件取得費と同じくらいの金額になることが多い。

例えば開業資金で1000万円必要なら、その3割は約300万円。

開業資金が1000万円かかるなら、およそ10坪くらいの物件でオープンすることになるので、

場所にもよるが家賃は20万円程度になるだろう。

そうなると敷金で20万円×10ヶ月分=200万円、礼金で家賃の1ヶ月分である20万円、仲介手数料で20万円、前家賃は約30万円程度で合計270万円。

居抜き物件の場合、これに造作譲渡料がかかるので

ざっくりとした計算だがおよそ300万円になる。

つまり物件を借りるお金は自分で用意して、それ以外のお金は融資を受けるというのが居酒屋を開業する条件と言えるだろう。

店を繁盛させるために資金配分を考える

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資金を調達したら次はどこに分配するかという話になるだろう。

せっかく資金が調達できても、どこに使うかを考えて適切に配分していかないと経営が立ち行かなくなる。

居酒屋が資金難になるケースとしては、思ったよりも黒字になるまでに時間がかかり資金不足に陥るパターンと、開業後に必要になる資金の予測が甘く、経営が立ちゆかなくなるパターンがある。

居酒屋をはじめとした飲食店経営は、黒字化になる時期がはっきりとは分からないため、何が起きても適切な場所に資金を投下し続けられるように、資金配分の予定をしっかり立てておかなければならない。

店の売り上げにつながりやすいところに資金を投下し、早く黒字化できるようにしよう。

資金を使うべき部分は”後で変えられないところ”

最も資金を投下するべきところは、”後から変更できないところ”だ。

つまり、物件や店舗の内装などのことである。

一度物件を契約してしまうと別のところに引っ越すわけにはいかないし、内装も一度決めてしまうとやり直すには工事のために営業をストップしなければならない。

インテリアや調度品なら簡単に変更できるが、内装などの後で変えられないところは開業の時点で資金を投下して、100%満足のいくものにしておくべきだ。

そのためにはどんな店にしたいか具体的にイメージをもって、内装業者などと綿密に打ち合わせたり、物件選びを妥協せずにしっかり見定める必要がある。

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特に”内装”に多くの資金を投下しよう

特に内装にはしっかり資金を投下して、妥協せずにこだわりたいところだ。

というのも、内装の充実度は顧客満足度に直結するからである。

お客はお店の料理はもちろんだが、自宅では味わえない雰囲気などの”体験”を得るために飲食店に足を運んでいる。

今は冷凍食品やレトルト食品もどんどん品質が上がり、お店と遜色ないレベルの味を自宅で簡単に楽しめるようになっている。料理の質だけで勝負するのは難しくなっているのが現状だ。

なので内装が適当だったり、殺風景だったりすると、「自宅で食べるのとそんなに変わらない」「せっかく外食するならもっと雰囲気の良いところで食事をしたい」を思われてしまい、リピート率が下がってしまうのである。

インテリアの色でも、例えば赤色は食欲を刺激し、青色などの寒色系は逆に食欲が減退すると言われている。

何も考えずに店全体を青系でまとめてしまうと、お客の食欲を損なってしまい機会損失を生んでしまう可能性もある。

こういった心理的な部分も含めて研究し、内装にはしっかりと資金を使うべきである。

居酒屋の開業資金を抑えるポイント

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資金は無限に用意できるわけではないし、借り入れ額が多すぎるとそれだけ返済が大変な状況でスタートすることになる。

なので開業資金はできるだけ抑えて、安くするのが理想だ。

開業資金を抑えるいくつかのポイントを押さえておけば、予定よりも少ない額で開業することができるので

黒字化までのスピードも速くなるだろう。

ここからは居酒屋の開業資金を安く抑えるポイントについて解説する。

商業施設や駅から少し離れた場所などに出店する

商業施設や駅の近くは確かに人が多く集まるが、その分一等地なので家賃は高め。

最初に支払う物件取得費用も高くなるし、その後毎月かかるランニングコストも高くなる。

なので思い切って商業施設や駅から離れた、少しアクセスの悪い物件で開業するのも手である。

駅などから多少離れればその分家賃が安くなるので、浮いた家賃で食材や内装にこだわることができ、個性のある店舗にすることができる。

そして「大切な記念日やデートはごみごみしたところでやりたくない」という人もいるので、少し歩いたところにあるお店は”知る人ぞ知る名店”という感じが出せるのである。

また、駅や商業施設だけでなくても、近くに会社があったり大きなマンションが立ち並んでいたりすれば

そこからのランチ需要なども取り込むことができる。

アクセスが悪い物件でも、意外に多くの潜在顧客がいる可能性を秘めていることがある。

2階以上、もしくは地価の物件を契約する

路面店、というのは居酒屋を開業する上でかなりアドバンテージなるが、当然物件費用も高くなる。

先ほどと近い理由になるが、地下や2階以上の空中階など、路面店以外の物件狙うのも手だ。

特に居酒屋は一人客の利用も見込める業態だが、路面店で多くの人の目に入る立地だと、

「色んな人に見られそうで一人では入りづらい・・・」と思われてしまい一人客の需要を取りこぼしてしまうかもしれない。

最初は小規模な店舗で開業したい、と考えているなら一人客の客層と相性がいいので、地下や空中階を契約してもメリットに働くことがある。

利用できる設備を再利用する

居酒屋など飲食店を経営する上で厨房設備にはこだわりたくなるかもしれない。

ただ、もし居抜き物件を契約して厨房設備が残っているなら、それをそのまま使うと開業資金を抑えることができる。

居酒屋を開業する時に最も大きな投資になるのが厨房設備なので、ここを削減できるのはかなり大きい。

「今ある厨房設備に足りないところは買い足す」というイメージで厨房を充実させていけば、一から用意するよりも安上がりだ。

それに多少設備が古かったとしても、古い厨房設備は構造がシンプルなので、メンテナンスがしやすい。

逆に高い厨房設備は構造が複雑で、調子が悪くなるとメンテナンスに時間がかかったり、最悪買い替えなければならず高い出費になる可能性もある。

”あるものは徹底的に再利用する”という考えを持っておくと、予定よりも開業資金を安く抑えられる。

まとめ:開業資金を抑えて早く投下資金を回収しよう

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居酒屋は他の業態に比べて開業資金が安いとは言われているが、それでも1000万円規模の大きな投資になりやすい。

なのでなるべく安く抑えて、その中で最大の効果を生み出す使い方をしよう。

約半年間は赤字営業になることを覚悟して、それに耐えられるだけの資金を準備する。

資金は3割を自己負担、残りを借り入れて用意するのが一般的である。

そして後から変更できないところに多くの資金を投下して、1日でも早く回収できるようにしていくべきだ。

自分がやりたい店舗を開業するには、どれくらいの資金が必要なのか?まずはそこを考えて、なるべく安く抑える方法を探り、資金調達する。

この最初の準備をどれだけ丁寧にやるかが、その後の健全な経営につながってくる。

監修税理士・公認会計士からのコメント

居酒屋を開業する際には、一般的に1500万円ほどの費用が必要となります。全てを自己資金で賄うのは難しいですが、開業資金の3割ほどは自己資金で賄う必要があります。開業の際にはできるだけ資金を抑えて、その後の節税まで対策することが成功のポイントです。

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2020年12月19日起業準備

Posted by taxtech-editor