小さい飲食店の開業資金の目安とは?開業に必要な手順を徹底解説
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「転職したら小さい飲食店を始めたい」「老後は小さい飲食店をやってみたい」など、小さい飲食店は人気となっている。
自分のペースで経営しやすいというメリットもあるが、開業資金が抑えられるため比較的開業しやすいのが人気の理由だ。
しかし、小さい飲食店の開業資金はいくらかかるのか、わからない方も多いのではないか。
そこで今回は、小さい飲食店を開業しようと考えている方へ向けて、
・小さい飲食店の開業資金の目安とは
・小さい飲食店の開業手順
・小さい飲食店で開業資金を抑える3つのコツ
について詳しく解説していく。
目次
小さい飲食店の開業資金の目安とは
小さい飲食店といっても、開業にかかる費用の内訳は規模の大きい飲食店とほぼ同じである。ここからどのようにして開業資金を抑えていくかがポイントとなる。
この開業資金の内訳について、詳しく解説していく。
物件取得費用
まず初めに用意するのが「物件取得費用」だ。
店舗を契約する際は、アパートを借りる時と同じように初期費用がかかる。
初期費用の内訳は以下の通りである。
・前払いの家賃
・保証金(敷金)
・礼金
・仲介手数料
一般的な住居と違うのは前払いの家賃が6〜10ヶ月分必要なこと。
物件によって何ヶ月分の前払いになるかは変わってくるが、余裕を持って支払えるよう、資金を準備しておきたい。
内装工事費
飲食店を始めるための内装工事も、開業資金が多く使われる部分である。
どのような物件を取得したかで内装工事費が大きく変わってくるため注意が必要だ。
内装工事では主に以下の部分を工事することとなる。
・空調整備
・ガスや電気といったインフラ整備
・壁紙張り替え
もともと飲食店として使われていなかった物件を使用するとなるとインフラ整備が必要となり、相場よりも内装工事費が多くかかってしまうため気を付けたい。
厨房内設備費
飲食店を開業するうえで欠かせないのが「厨房内設備」だ。
冷蔵庫や製氷機、食洗機など業務用の設備が必要となる。
しかし、飲食店の規模によっては家庭用の設備を利用することで費用を抑えることができるので、開業資金を考慮しながら購入すると良いだろう。
食器や調理器具の購入費用
食器や調理器具は、こだわりがなければ安く揃えることができる。特に食器類は100円ショップなどでも購入できることから、費用を抑えることができるのだ。
しかし、店のコンセプトによってはしっかりこだわった器を用意する必要があるため、どのような店を開業するかによって費用が異なる。
食器を購入するときに注意したいのが「数を多めに購入すること」だ。小さな飲食店となると1人で回す場合が多いと思うが、忙しくなると食器を洗う暇がなくなる場合が考えられる。
食器が足りなくなることを回避するためにも、少し多めに購入しておくのがおすすめだ。
什器費用
店に置くハンガーラックやテーブル、イスなどの購入費用も抑えられるポイント。
中古で購入できる飲食店用什器の店もあるため、比較的安く揃えることができる。
さらに最近では、新品でもリーズナブルなインテリアショップも増えていることから、費用をかけずに揃えることができ、おすすめ。
什器はお客様が実際に使用する部分となるので、古すぎるものや使い勝手の悪いものはNG。安い什器を選ぶ場合でも安っぽく見えないものを選ぶのがポイントである。
開業後の運転資金
開業資金の中には、店での設備を揃える費用だけでなく、開業後の運転資金も含まれている。運転資金とは店を経営していくうえで毎月かかる費用のことで、大きく分けて以下の3つのことを指す。
①人件費
②食材費
③光熱費
本来であればここにさらに家賃が加わるが、契約時に前払いしている場合は含まれない。
開業後すぐには黒字にならないことを想定し、6ヶ月分の運転資金が必要とされているのだ。
人件費を抑えるには、開業してしばらくは自分1人で営業し、忙しくなってきたら従業員を雇うという方法がおすすめである。
宣伝費用
小さい飲食店を開業するには、宣伝費用もしっかり確保しておきたいところ。
チラシを作ってポスティングする、料金を支払って媒体に掲載するなどさまざまな方法がある。しかし、最近ではSNSをつかった宣伝が主流となってきているため、費用を抑えたい場合にはSNSをうまく使って宣伝するとよいだろう。
小さい飲食店の開業手順
これまで、小さい飲食店を開業する際にかかる開業資金について詳しく紹介した。
ここでは飲食店を開業するまでの手順について解説していく。
これから開業する方はぜひ参考にしてみてはいかがだろうか。
手順①:店のコンセプトを決める
小さい飲食店を開業する前に重要なのは「しっかり店のコンセプトを決めること」。
このコンセプトが定まっていないと、内装やメニューも決めづらくなってしまう。
・どんな料理を提供するのか
・どんな客層をターゲットにするのか
・どんな場所に出店するのか
小さい飲食店で成功するには、このようなコンセプトをしっかり決めておくことが重要である。
手順②:店舗を決めて内装工事を始める
コンセプトが決まったら店舗を契約し、内装工事を始める。
コンセプトと店の内装がバラバラにならないように注意が必要だ。
できるだけコンセプトに近い物件を選んで探すとよいだろう。
手順③:食材の仕入れルートを確保する
内装工事には時間がかかるもの。工事期間中はメニューの考案や食材の仕入れルートを確保しておくことが大切だ。
どのようなメニューを提供するのかが決まったら、そのメニューをもとに仕入れルートを探すのである。
A店は魚、B店は野菜など、食材によって仕入れる店を変えるのがおすすめだ。
食材の質や価格を比べながら、使いやすいルートを探すようにしたい。
手順④:調理器具や食器を用意する
メニューの考案ができたら食器類も揃えたいところ。
店のコンセプトに合った食器類を揃えていくのがポイント。
店の雰囲気に合わない食器はお客様からのイメージダウンになるため避けておきたい。
メニューが決まることでどのような食器を使うのか考えやすくなるのである。
手順⑤:各機関へ開業までの手続きを行う
店舗での開業準備が進んできたら、最後は各機関への手続きを行う。
税務署や各自治体、保健所へ届出を出すことで、開業手続きとなる。
中には開業前に提出が必要なものもあるため、提出期限に注意しておきたい。
提出が必要になる届出は以下の通りだ。
・食品営業許可申請
・防火管理者選任届
・防火対象設備使用開始届
・火を使用する設備等の設置届
・開廃業等届出書
・深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
・風俗営業許可申請
機関ごとに手続き完了までの日数が異なるため、開店ギリギリにならないよう余裕を持って準備しておこう。
小さい飲食店で開業資金を抑える3つのコツ
小さい飲食店は、規模が大きい飲食店に比べて開業資金を抑えやすいというメリットがある。
しかし、開業資金を安く済ませるにはコツがあるのだ。
そこで開業資金を安く済ませる3つのコツについて詳しく解説する。
居抜き物件を狙う
物件を探す際に意識したいのが「居抜き物件を狙う」ということ。
居抜き物件はもともと飲食店として使われていたため、厨房施設や内装の工事が必要ないことが多い。また、前の飲食店で使用していた厨房設備を譲ってもらえる可能性もあるため、開業資金を安く済ませるには居抜き物件を狙いたいところ。
反対に、事務所として使われていた物件を契約してしまうと、配管や電気配線の工事から始めることになるため、内装工事費用がかさんでしまうので注意が必要だ。
内装費用を抑える
居抜き物件と合わせて、内装費用も抑えられるポイント。
自分が出店したい店の雰囲気に合った物件を見つけることができれば、内装工事をせずにそのまま開業することができる。
物件探しに生かすためにも、早い段階で店のコンセプトを決めておくことが重要だ。
什器を安く手に入れる
店で使用する什器は安く手に入れることで費用が抑えられる。
先ほど紹介したように、居抜き物件を見つけることができれば、前の飲食店から什器を譲り受ける可能性もある。
飲食店によっては、あえて全ての席をテイストがバラバラなテーブルにすることで個性的な雰囲気を演出しているところもある。
このようなテクニックを使えば、安く手に入れた什器でもインテリアとして成立させることができるのだ。
まとめ:小さい飲食店は開業資金を安く抑えよう!
今回は、小さい飲食店を開業しようと考えている方へ向けて、
・小さい飲食店の開業資金の目安とは
・小さい飲食店の開業手順
・小さい飲食店で開業資金を抑える3つのコツ
について紹介した。
「小さい飲食店は大型店に比べて開業資金がかからない」と言われているため、根強い人気となっている。しかし、開業資金の内訳は大型店と変わらないため、工夫して開業資金を抑える必要がある。
今回紹介した開業資金を抑えるコツは以下の3つ。
①居抜き物件を狙う
②内装費用を抑える
③什器を安く手に入れる
この3点を意識して準備を進めると、開業資金を抑えることができるのだ。
これから小さい飲食店を始める方はぜひ参考にしていただきたい。
監修税理士・公認会計士からのコメント
小さい飲食店の場合は比較的開業資金を抑えることができます。宣伝広告費などはSNSなどを利用すれば無料でできるのでうまく活用しましょう。飲食店は、開業初期は売上が立ちにくいのでしっかりとお金の管理をしておくことが大切になります。