銀行融資を利用する時に注意したい9つのポイントとは?メリット・デメリットも合わせて紹介
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企業が行う資金調達の1つとして知られる銀行融資。
多くの人が利用する銀行融資だが、実際にはどのようなメリットやデメリットがあるのか、知らない方も多いのではないだろうか。
今回は銀行融資を検討している方へ向けて、以下の内容を紹介する。
・銀行融資とは
・銀行融資を受けるメリットやデメリット
・銀行融資を利用するときに注意したい9つのポイント
銀行融資で注意したいポイントについても解説していくので、ぜひ参考にして欲しい。
目次
銀行融資とは
銀行融資とは、金融機関から資金を融資してもらうことだ。
創業時や新事業を始める時など、資金が必要になる場合に利用する制度である。
補助金などとは違って返済義務があるため、何にいくら使うのかしっかりとした計画を立てることが欠かせない。
ここでは銀行融資の特徴と、融資を受けるまでの流れについて解説する。
銀行融資の特徴
銀行融資は、他の金融機関からの融資に比べて金利が低いのが特徴である。
しかし、金利が低いぶん審査が厳しく、融資を受けるまでに時間がかかるという難点もあるのだ。
さらに「銀行融資」といっても数多く種類があるため、自社にとってどの融資方法が合っているか把握する必要もある。
銀行融資までの流れ
銀行融資を受けるまでには、大きく分けて以下のような3つの流れがある。
この手順を把握してスムーズに銀行融資の申し込みを行うようにしよう。
①銀行融資の申し込みをする
まずは融資を受けたい銀行に対して、融資の申し込みをする。
こちらから銀行に出向く場合もあるが、タイミングによっては銀行の融資担当が営業に来る場合もあるので、詳しく話を聞いてみるのがおすすめだ。
銀行融資を申し込む際にいくつか書類が必要になるため、事前に用意しておくと良いだろう。
基本的に必要になる書類は以下の3点だ。
・3期分以上の決算書
・融資された資金の使途をまとめた書類
・資金繰り表
これらの書類と合わせて別の書類が必要になる場合もあるので、融資担当者に確認しておくことが大切である。
②銀行による審査を受ける
必要書類を提出したら、銀行による審査が行われる。
このあとの項目で「銀行融資を利用するときに注意したい9つのポイント」を紹介するので、そちらも参考にして欲しい。
③融資が行われる
審査に通過したら融資が行われる。
しかし、初めての融資の場合は時間がかかるため1ヶ月以上かかると思っておいた方が良いだろう。
少しでもスムーズに取引を進めたい場合には、資料を事前に用意しておくようにしよう。
銀行融資を受けるメリット・デメリット
銀行融資は企業の資金調達の手段として知られている。
しかし、どのようなメリットやデメリットがあるのかはわからない方も多いのではないだろうか。
ここでは銀行融資を受けるメリットとデメリットについて詳しく解説していく。
銀行融資を受けるメリット
銀行融資を受けるメリットは以下の通りである。
・すぐに事業を始められる
・金利が低い
・金融機関との取引実績を作ることができる
銀行融資を受ける最大のメリットは「すぐに事業を始められる」こと。
融資を受けることで資金が手に入るため、資金繰りの苦労をすることなく事業を始めることができる。
さらに他のローンなどを利用するよりも金利が低いため、返済しやすいのもメリットである。また、一度融資実績ができれば今後の取引もしやすくなるというメリットもある。
銀行融資を受けるデメリット
銀行融資を受けるにはデメリットもある。
そのデメリットとは以下の通りだ。
・融資までに時間がかかる
・毎月返済する必要がある
・返済を滞納すると信用情報に傷がつく
初めて融資を受ける場合、申し込みから融資完了まで時間がかかるのがデメリットだ。
また、売り上げが低い月でも毎月同じように返済する必要があるため、返済によって経営を圧迫する可能性もある。
ここで返済を滞納してしまうと会社の信用情報に傷がつき、ローンなどが組めなくなる恐れもあるので注意が必要だ。
銀行融資を利用するときに注意したい9つのポイント
銀行融資には多くのメリットがあるが、審査が厳しいのが難しいところ。
そこで審査を受ける前に知っておきたい「審査を通過するためのポイント」について解説する。
審査を受ける前にぜひ参考にしてもらいたい。
ポイント①:銀行からの評価を良くする
銀行では、取引先の企業を評価別にランク付けしているのである。
そのランクをもとに融資を行うか決めているため、審査を通過したい場合にはそのランクをアップさせる必要があるのだ。
このランクによって金利も変わってくるため、今後も取引を考えているならば意識したいポイントだ。
ポイント②:純資産を重視する
先ほど紹介したランクをアップさせるための方法として「決算書の内容を良くする」ということが求められる。
決算書のなかでも「貸借対照表」は重要で、損益計算表と合わせて重視されるポイントとなっているのだ。
貸借対照表には会社の資産や負債がどのくらいあるのかが記載されており、銀行の融資担当者は「純資産」という項目を重視する。
ポイント③:損益の変化を重視する
融資担当者が重視するポイントの1つに「損益計算表」がある。
この資料をもとに「営業利益」「経常利益」をチェックするのだ。
この2つの項目は最低でもプラスであることが大切で、ここがマイナスとなっていると「この企業は利益を生み出す力がない」と判断されてしまうのである。
「利益が生み出せない=融資をしても返済能力がない」という判断になり、審査ではだいぶ不利になってしまうため注意が必要だ。
ポイント④:説得力のある事業計画書を作成する
企業によっては、これまで紹介した貸借対照表や貸借対照表の内容が良くない場合もある。
そんな時は事業計画書で挽回することができるのだ。
決算書の内容に自信がないときには、自主的に事業計画書を持参するようにしよう。
事業計画書を使って説得力のある返済計画をアピールすることで、不利な状況を変えることが可能だ。
ポイント⑤:資金の使い道を明らかにする
融資の審査で必ず聞かれるのが「資金の使い道」である。
これをしっかり説明できないと審査に不利となってしまう。
資金の使い道と一言で言ってもさまざまなものがある。
以下を参考に、どのような使い方をするのか説明できるようにしておきたい。
・経常運転資金
事業を行っていると、売上が入ってくるタイミングと仕入れ代金を支払うタイミングがずれることがある。
この時に一時的に仕入れ代金を建て替えることとなるのだが、その建て替える代金を「経常運転資金」という。
・増加運転資金
売上が増加する、販売代金の回収が遅れるなど収益の変化があった場合、経常運転資金の額が大きくなることが考えられる。その増加した分の経常運転資金を「増加運転資金」という。
・納税資金
企業は納税額も大きくなりがち。そのため多額の税金を支払うための資金を「納税資金」という。
・赤字資金
赤字になり資金不足となってしまった経営を改善するための資金。
赤字分を補填することとなる。
ポイント⑥:代表者が連帯保証人となる
銀行融資ではほとんどの場合、代表者が保証人となるよう求められる。
企業が資金を返済できなくなった際に、代わりに返済するのが保証人の役割だ。
企業の代表者個人がある程度の資金を持っていると融資を受けやすいという特徴がある。
ポイント⑦:実現可能な返済計画を立てる
計画的な返済計画を立てるのも大切なポイントだ。
早く返済したいために無理のある返済計画を立ててしまうと、経営を圧迫することになるだけでなく、審査でも不利になってしまう。
自社の経営状況を考えながら無理のない返済計画を立てるように心がけよう。
ポイント⑧:銀行融資担当とのコミュニケーションに気をつける
銀行の融資担当者としっかりコミュニケーションをとることも重要なポイントである。
融資担当は融資の貸し倒れを起こさず、融資した資金をしっかり回収することで評価される。そのため、融資を申し込んだ企業を厳しく判断するのだが、ここで融資担当としっかりコミュニケーションを取れていればポジティブな評価をもらえる可能性があるのだ。
少しでも審査を有利にしたいのであれば、融資担当とコミュニケーションをとっていきたい。
ポイント⑨:税理士に依頼する
銀行融資を申し込むには、さまざまな書類を用意する必要がある。
審査に有利になるようにしっかり内容を吟味したいところだが、自信がない場合には税理士にアドバイスをもらうのもおすすめだ。
プロの意見を取り入れながら説得力のある書類を作成しよう。
まとめ:銀行融資を利用するためにポイントを抑えよう
今回は銀行融資を検討している方へ向けて、以下の内容を紹介した。
・銀行融資とは
・銀行融資を受けるメリットやデメリット
・銀行融資を利用するときに注意したい9つのポイント
銀行融資は多くのメリットがある資金調達方法だが、審査が厳しいのが難点である。
そのため、今回紹介した9つのポイントに注意しながら、説得力のある書類を作成するよう心がけよう。
監修税理士・公認会計士からのコメント
銀行から融資を受ける際に大切になるのは、これまでの実績です。なので創業当初にはあまりおすすめではありませんが、金融機関との取引実績ができるのはメリットの一つです。資金調達の方法は他にもたくさんあるので、Taxtechの他の記事も参考にしてみてください。