節税保険商品って何?通達を改正させた背景や変更点について徹底解説!

2020年12月31日

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大きな節税効果があるとして、爆発的に売れた保険商品である「節税保険」

節税保険は他の保険商品のメリットがまとまっており、保険業界では「発明」といわれるほどお得な商品となっていた。

しかし、令和元年6月に通達が改正され、これまでとは違う運用になったのである。

事業者にとってはぜひ加入したい保険商品だった節税保険、この保険商品はなぜ通達を改正することとなったのだろうか。

今回は節税保険について、以下の内容を紹介していく。

・節税保険とは

・節税保険が見直しになった背景

・節税保険の具体的な変更点は3つ

節税保険についての変更点が知りたい方はぜひ参考にして欲しい。

節税保険とは

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そもそも節税保険とはどのような商品なのだろうか。

節税保険と呼ばれている商品は、初めに日本生命が発売した商品「プラチナフェニックス」が皮切りとなっている。

この商品が販売されたのをきっかけに、数多くの保険会社が同じような商品を発売し始めたのである。

プラチナフェニックスは正式名称が「傷害保障重点期間設定型長期定期保険」という商品で、いくつかの保険商品の長所が集められているのが特徴だ。

その保険商品とは主に以下の3つである。

・長期定期保険

・傷害保障

・重点期間設定型

ここではこの3つの商品について詳しく解説していく。

長期定期保険

まず、長期定期保険は定期保険をベースにした保険商品である。

定期保険とは、決まった期間保険料を払うことで、その期間に死亡した場合保険金が受け取れるというもの。

定期保険のメリットは保険料が掛け捨てで安いことだが、保険期間が終了する度に更新が必要なこと、更新の度に保険料が上がるのがデメリットである。

このデメリットを改善するために作られたのが長期定期保険だ。

長期定期保険のメリットは保険期間を長く取ることができるという点。

そのため保険の更新をする必要がなく、保険料も一定のままである。

ここで注意したいのが早期解約を避けることだ。

加入後3年くらいまでは保険会社の経費分が引かれるため、早期解約をすることで払戻金が少なくなってしまうのである。

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傷害保障

傷害保険は、事故で死亡した場合にのみ保険金が下りる保険である。

そのため、病気で死亡した場合にはほとんど保険金が下りないのが特徴だ。

死亡保険の保険料は死亡のリスクが上がるほど保険料も上がっていく。しかし傷害保険は死亡のリスクが年齢によって変わらないため、保険料が他の保険に比べて安いというメリットがある。

重点期間設定型

プラチナフェニックスで注目したいのが「重点期間設定型」という点だ。

この商品では第1保険期間と第2保険期間を設定しているのがポイント。

まず第1保険期間を傷害保障にし、保険料を抑えるのだ。

そして、第2保険期間に死亡リスクが高く保険料も高くなる保険商品を充てることで、節税効果を高めるのである。

第1保険期間にリスク応負担分の保険料を超過して支払われた保険料が積立分となることによって、解約したときの払戻金を膨らませる効果がある。

節税保険が大ヒットした理由

このような仕組みから、節税保険には大きな節税効果があるとして、多くの事業者が加入することとなった。

その理由は「解約返戻金が80%を超える」という点である。

長期定期保険と傷害保険、第2保険期間の設定を組み合わせるといった合わせ技によって「発明」ともいわれる仕組みを作り出したのだ。

しかし現在では通達の改正によって、解約返戻金が50%を超える場合には資産計上を求められることとなった。

資産計上割合も最高返戻率によって3パターンに分類されるため、注意したいところである。

節税保険が見直しになった背景

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保険商品の発明ともいわれ、大ヒットとなった節税保険だが、なぜ通達を改正することとなったのであろうか。

ここでは以下の2つの理由について詳しく解説していく。

理由①国税庁が行き過ぎた節税を問題視したため

節税保険の通達が改正になった理由の1つが「国税庁が行き過ぎた節税を問題視したため」である。

国税庁が問題視しているのは、節税保険の税務上での取り扱いである。

本来であれば、定期保険の保険料は保険期間中一定料金であり、税務上では損金という扱いになる。

しかし、節税保険は定期保険でありながら、支払った保険料の80%が戻ってくる仕組みだ。そのため、保険料は損金扱いではなく資産として計上するべきではないのかという結論に至ったのである。

理由②生命保険会社による強気な営業姿勢が問題視されているため

節税保険の通達が改正になった理由の2つ目が「生命保険会社による強気な営業姿勢が問題視されているため」だ。

大ヒットとなった節税保険であるが、その影で生命保険会社による強気な営業姿勢が問題となっていた。

節税保険に加入しているのは、自社の税務を考慮した事業者だけではない。

税務に関する知識が全くない高齢の事業者に対しても強気な営業姿勢をとっていたため、問題となっているのだ。

特に節税保険は他の保険商品に比べて特殊な仕組みとなっている。

そのため、事業者本人は納得して加入していても事業者が亡くなった後に遺族とトラブルになるケースも少なくはない。

このトラブルを今後減らしていくためにも制限がかけられたとする見方があるのだ。

節税保険の具体的な変更点は3つ

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節税保険は大きく分けて3つの部分が変更となった。

この3つの変更部分について詳しく解説していく。

ポイント①:個別通達の廃止

これまでの保険では法人契約の保険は「個別通達」という形で税務上の処理方法を規定してきた。

しかし、節税保険では解約を前提としていたため、保険の新商品が出るたびに国税庁が「通達」という形で規制をかけていたのである。

そこで「さらに保険会社が新たな商品を販売する」というキリがない状態になっていたため、国税庁は「解約前提の節税保険を増やさないために個別通達を廃止する」という方法を取ったのだ。

ポイント②:最高解約返戻率50%以上の商品の取り扱いを規定

先ほど紹介したとおり、国税庁は節税保険の販売を規制する動きをとっている。

規制する対象は保険の内容や期間ではなく「解約返戻金が50%を超えるかどうか」という点だ。

この理由は、保険の内容や期間で規制しても、新たな商品が出るたびにまた規制しなくてはならないため。

「解約返戻金が50%を超えるかどうか」という水準で規制することで節税保険を規制することができるのだ。

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ポイント③:最高解約返戻率に応じ、損金算入できる割合を3つに分ける

節税保険の変更点で最も注意したいのがこの項目である。

解約返戻金が50%を超える保険商品については、最高解約返戻率に合わせて3つの区分に分けられることとなる。

そして、支払保険料に一定割合を乗じた金額を一定期間資産に計上し、残額を損金の額に算入するという取り扱いになったのである。

最高解約返戻率ごとの資産計上は以下の通りだ。

・最高解約返戻率 50%超70%以下

保険期間の40/100に相当する期間を経過するまで、支払保険料の40/100を資産計上

・最高解約返戻率 70%超85%以下

保険期間の40/100に相当する期間を経過するまで、支払保険料の60/100を資産計上

・最高解約返戻率 70%超85%以下

保険期間の40/100に相当する期間を経過するまで、支払保険料の60/100を資産計上

これから節税保険に加入を考えている方は、この点をきちんと把握しておきたいところだ。

まとめ:節税保険の変更点を正しく理解しよう

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今回は節税保険について、以下の内容を紹介してきた。

・節税保険とは

・節税保険が見直しになった背景

・節税保険の具体的な変更点は3つ

節税保険が見直された理由は以下の2つである。

①国税庁が行き過ぎた節税を問題視したため

②生命保険会社による強気な営業姿勢が問題視されているため

さらに見直しとなった3つの点もきちんと把握しておきたい。

①個別通達の廃止

②最高解約返戻率50%以上の商品の取り扱いを規定

③最高解約返戻率に応じ、損金算入できる割合を3つに分ける

これから節税保険に加入を検討している方は、ぜひこの記事を参考にして欲しい。

監修税理士・公認会計士からのコメント

節税効果のある生命保険は令和元年から見直しが行われ、節税効果が期待できなくなりました。しかし、節税できるのは保険だけではありません。しっかりと会計管理をすることで、節税することができます。Taxtechの他の記事でも節税に関しては解説しているので、参考にしてください。

2020年12月31日税務サポート

Posted by taxtech-editor