デイサービス(通所介護)の開業。必要な資金や調達する方法を解説

2021年1月19日

この記事を読むのに必要な時間は約 12 分です。

1x1.trans - デイサービス(通所介護)の開業。必要な資金や調達する方法を解説

超高齢者社会とも言われる現代社会において、介護サービスのニーズは高まっている。

デイサービスは、介護が必要な高齢者の生活支援を日帰りで行う施設だ。デイサービスの開業にはある程度まとまった資金が必要となる。

この記事ではデイサービスを開業したい方のために、

  • デイサービスを開業するための必要資金
  • デイサービスの開業にかかる資金の調達方法

について解説する。

デイサービスの開業で失敗しないためのポイントもまとめているので参考にしてほしい。

デイサービスはどんな事業?

1x1.trans - デイサービス(通所介護)の開業。必要な資金や調達する方法を解説

デイサービスは要介護状態の高齢者の入浴、排せつ、食事の介助、機能訓練等を日帰りで行う生活支援のための施設だ。

基本的に利用者の送迎も行い、利用者が楽しく利用できるようにさまざまなプログラムが用意されているのも特徴。介護する家族の負担を軽減する役割もある。

デイサービスは、比較的参入しやすい事業だ。というのも、デイサービスの利用料金のほとんどは介護保険から支払われるので貸し倒れの少ないビジネスであるためだ。

とはいえ、参入すれば誰でも成功するわけではない。デイサービスの利用料金は、介護保険法で定められているので全国どこでも同じ。価格以外のサービスなどで特色を打ち出すことが成功のカギだ。

1x1.trans - デイサービス(通所介護)の開業。必要な資金や調達する方法を解説

デイサービスを開業するために必要な資金は?

1x1.trans - デイサービス(通所介護)の開業。必要な資金や調達する方法を解説

デイサービスを開業するためには、独立して開業する方法、フランチャイズに加盟して開業する方法がある。

それぞれ必要な資金について解説する。

独立して開業する場合

必要な資金は、

  • 人件費
  • 施設費
  • 改装費
  • 車両費
  • 備品、設備費
  • レセプトシステム導入費

など、最低500~1,000万円以上は必要だ。

デイサービスの利用料は、利用者負担が1割、残りは2か月後に介護保険から給付される。そのため、介護保険が入る開業後3か月ごろまでは無収入の可能性もある。

最初から稼働率が100%にならない可能性も考えて、最低でも3~4か月分の運転資金も用意しておきたい。

運転資金の目安は開設するデイサービスの規模にもよるが、1か月約250万円とした場合、750~1000万円となる。

フランチャイズに加盟する場合

フランチャイズに加盟する場合、加盟する企業により大きく異なる。

ここでは、目安の資金について解説する。

フランチャイズに加盟する場合、必要な資金は

  • 加盟金
  • 店舗関連費
  • 資格取得費
  • 研修費

などで約200~1000万円以上必要となる。

新たな施設を用意する必要がない場合だと、比較的開業資金は少なくなる可能性もある。ただし、独立する場合と違って加盟金が必要となることを忘れずに。加盟金の相場は、100~500万円。フランチャイズに加盟すると経営のノウハウやサポートを受けることができる、ネームバリューがあるので集客が楽というメリットがある。

フランチャイズに加盟する場合でも運転資金の用意は大切だ。

最低でも3~4カ月分の運転資金があると安心だろう。独立開業する場合と違うのは、毎月ロイヤリティが発生する点だ。ロイヤリティも固定費として考え運転資金を計算しよう。ロイヤリティの相場は売り上げの5~10%。加盟する企業により異なり、収入による変動制の場合もあるので契約時によく確認しよう。

デイサービスの開業資金の調達方法

1x1.trans - デイサービス(通所介護)の開業。必要な資金や調達する方法を解説

デイサービスの資金調達はどのような方法があるのだろうか。

ここでは、代表的な方法を3つ紹介する。

日本政策金融公庫から融資をうける

政府が100%出資する金融機関である日本政策金融公庫は、中小企業をサポートすることが目的のため、融資を受けにくい開業時にも融資を受けやすい。他の金融機関では融資を受けられない場合でも、融資を受けられる可能性がある。

低金利で返済期間も長く、保証人が不要の制度があることもメリットだ。資金の使途や担保の有無などによって適用される金利が異なるのでよく確認しよう。創業者を応援するために、事業のアドバイスをもらえることもある。

日本政策金融公庫には、さまざまな融資制度がある。

代表的なものに、

  • 新規開業資金
  • 女性、若者/シニア起業家支援基金
  • 新創業融資制度

がある。それぞれ簡単に解説する。

新規開業資金

新たに事業を始める場合や事業開始後おおむね7年以内の場合に利用できる。

事業を始めるためや事業開始後に必要な設備資金や運転資金に利用可能だ。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金は7年以内。それぞれ2年以内の据え置き期間がある。

日本政策金融公庫 新規開業資金の概要

女性、若者/シニア起業家支援基金(国民生活事業)

事業開始後おおむね7年以内の女性、または35歳未満もしくは55歳以上の方が利用できる。新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要となる資金に利用可能。融資の限度額は7,200万円(うち運転資金は4,800万円)だ。返済期間は、設備資金20年以内、運転資金は7年以内でうち2年間以内は据え置き期間が設定される。

日本政策金融公庫 女性、若者/シニア起業家支援資金の概要

新創業融資制度

新たに事業を始める場合や、事業開始後税務申告を2期終えていない場合に利用できる。事業開始に必要な設備資金や運転資金に利用可能。融資の限度額は3,000万円(うち1,500万円は運転資金)となる。

原則担保や保証人が不要なので、利用しやすい。創業時において創業資金の総額の1/10以上の自己資金が必要なので注意しよう。

日本政策金融公庫 新創業融資制度の概要

制度融資

中小企業やスタートアップ企業、個人事業主のために、地方自治体、民間の金融機関、信用保証協会が連携して行われる融資制度だ。

中小企業の支援が目的のため、信用力が低い創業時でも審査のハードルが低いことが特徴。自治体が利用者の利息を一部負担することで保証協会への信用を高め、金融機関から借り入れしやすくなるということだ。

低金利で据え置き期間も長いので、開業したばかりの収入がない期間を比較的楽に乗りきることができる。経営支援としてアドバイスをもらえることがあるのもメリットだ。

自治体ごとの制度なので、内容が全て同じではないので注意が必要。自分が所属する自治体の要件をよく確認しよう。手続きが複雑で融資実行までに時間がかかることもある。

助成金・補助金

開業する際に一定の要件を満たせば助成金や補助金が利用できることもある。助成金や補助金は、国や自治体、企業などが事業を始めたい人を金銭的に支援するための制度。返済義務がないので開業時の資金調達方法としてメリットが大きい。

補助金と助成金の違いは、補助金は経済産業省が管轄し創業支援や事業の展開のための補助、助成金は雇用の安定や職場環境整備のためのものという点だ。

補助金は申請期間が決まっており、要件を満たしていても審査を通過しないと受給できない。一方助成金は通年申請可能で、要件を満たせば受給できる。

どちらも、実際に支給されるのは事業後となるので、事業資金は準備しておく必要がある。とはいえ、資金繰りが厳しい開業時に返済不要の資金が調達できるのは大きなメリットだ。要件が合えば、ぜひチャレンジしてみよう。注意点とて、補助金や助成金の使用使途についてはきちんと記録しておこう。

【デイサービス開業】失敗しないためには?

1x1.trans - デイサービス(通所介護)の開業。必要な資金や調達する方法を解説

デイサービスは、収入のほとんどを介護保険料から得ており、収入が安定しやすい。参入しやすいビジネスであるため、地域によってはデイサービスの施設が非常に多いこともある。これからデイサービスを開業するにあたり、失敗しないためのポイントを紹介しよう。

他にはない特色を出す

デイサービスの利用料は決まっており、価格による差別化はできない。そのため、デイサービスの利用者を増やすためには他にはない特色を出すことが重要だ。

そのためにはまず地域の方に、何に特化した施設であるかを知ってもらう必要がある。例えば、認知症のケアに特化、カルチャースクールなどの交流に特化、ホテルのようなきれいな設備でくつろぐことに特化など、他の施設とは違うと感じてもらうことで集客することが可能だ。介護には自立度の違いがあるので、どれくらいの自立度で、どのような機能訓練を行うのかを明確にすることも大切だ。

利用者目線

常に利用者目線であることも重要だ。利用してもらえても満足度が低いと、利用を止めてしまう可能性もある。介護がどれくらい必要なのかは、利用者によって異なる。そのため、利用者それぞれのニーズをしっかりと聞き、ニーズに合わせて柔軟に対応すると利用者の満足度も上がるだろう。時代のニーズにもマッチするように、時代に沿った改装をする、使いやすい設備を取り入れる、BGMを取り入れるなど、できるだけ古臭い印象を持たれないこともポイント。利用者にとって、何が必要なのかを常に考えよう。

スタッフを大切に

介護業界全体の問題として、離職率の高さがある。スタッフが少なくギリギリの状態であると利用者のニーズに応えることができず、利用者の満足度も下がる。

スタッフに余裕がなくなると、経営者は稼働率を上げたいが、現場では稼働率を上げたくないという矛盾が生じることもある。稼働率を上げることによって、現場は忙しくなり、施設に余裕もなくなり、満足のいくサービスが提供できないという事態にもなりかねない。

デイサービスの経営に失敗しないためには、スタッフの声を聞くことを意識し、働きやすい環境づくりを心がけよう。

1x1.trans - デイサービス(通所介護)の開業。必要な資金や調達する方法を解説

まとめ:デイサービスを開業するためには自分に合った資金計画を!

1x1.trans - デイサービス(通所介護)の開業。必要な資金や調達する方法を解説

デイサービスを開業するためには、ある程度まとまった資金が必要だ。

開業時の資金調達方法によって、開業後の資金繰りも変わる。デイサービスを成功させるためには、自分に合った資金調達の方法を見つけることが重要だ。

デイサービスの成功のためには、他社との差別化がポイント。利用者やスタッフ目線を忘れずに地域に必要とされるデイサービスを目指そう。

監修税理士・公認会計士からのコメント

デイサービスの開業を成功させるカギは、資金調達と利用者・スタッフ両者の満足です。資金調達とひとくちに言っても方法はさまざま。自分に合った資金計画を行いましょう。他社との差別化やスタッフ目線を忘れずに。

2021年1月19日起業準備

Posted by taxtech-editor