【決算期とは?】 決算期の変更から決算書の作り方まで徹底解説!!

2020年7月31日

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

経営者には、数字を正しく見る力と判断力が求められる。そこで大切なのが、決算期についての知識。今回は、決算期の決め方や概要から、決算書の作り方、読み方など決算関連の抑えておきたい知識を網羅的に解説していく。

この記事を読むメリット

  • 経営者として抑えておきたい決算関連の知識を網羅的に把握できる
  • 具体的な決算書の作成方法や読み方なども理解できる

決算期とは?

会社では、期間を区切って「会社がどれだけ利益をあげたか」「何に、どれくらいお金を使ったか」「資本金はどれだけ増えたか」など、会社のお金の動きを計算する。この区切った期間を「事業年度」といい、事業年度の最後の月を「決算期」という。

会社経営を舵取りしていく上では、数値的な判断基準が必要不可欠。そこで重要なのが、決算期である。期間を区切って会社のお金の動きや利益などを見ることで、適切な判断ができる。

あなたの会社の決算期はいつ?

日本では「決算期は3月」というイメージが強いが、決算期は会社を創業した際に経営者が決める。1年を超えなければ何ヶ月でも自由に決められるが、12ヶ月で区切るのが一般的だ。

行政機関の年度設定が4月スタートの3月締めになっていることから、公共事業など行政機関と関係ある業務を行う大企業は3月を決算期に選ぶことも多い。しかし小規模な企業、特にスタートアップであれば3月にこだわらず、自社の状況によって適した時期を選べばよい。決算期を決める際に意識したいのは、以下の3つのポイントだ。

  • 消費税の免除期間を最大限確保する
  • 繁忙期との兼ね合いで決める
  • 資金繰りを意識する
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決算書の作り方

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決算書は、以下の3つのステップで作る。

  • 決算残高を確定させる
  • 税金等を計算・確認する
  • 決算書の作成

まず、決算残高を確定させる。勘定科目の「実際の残高・在高」、「あるべき残高」と「合計残高試算表の科目残高」を照らしあわせて、決算日現在の各勘定科目の残高が、実際の残高と一致しているかを確認していく。残高が確定したら、「勘定科目内訳明細」という文書を作成する。

次に税金等を計算・確認する。税金の計算は「消費税→法人税等」の順で行う。これらの作業で確定した残高などを元に、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書などの決算書を法令に定められた書式にもとづいて作成する。経理担当者が作成した後に経営者が確認し、その後役員会で承認、株主総会に提出・承認という流れになることが多い。

もっと詳しい作り方を知りたい方は、以下の記事を参考にしてほしい。

決算書の読み方

決算書を読むことで、会社の財政状態や経営成績を知り、自社の現状がどのような状態なのかを数値で把握することができる。資金は足りているか、利益は出ているか、無駄や不足がないかどうかなどを決算書を元にチェックすることで、次年度の事業計画や経営の方向性も定めやすくなる。経営者や役員クラスは必ず読めるようにしておきたい。

決算書の中でも特に重要なのが「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュ・フロー計算書」の3つの書類である。これらはそれぞれ、以下のような役割がある。

  • 貸借対照表:会社がどこから営業活動に必要な資金を調達し、何に使っているかを示す書類
  • 損益計算書:会社が1年間でどのくらい利益を得たかを示す書類
  • キャッシュ・フロー計算書:お金が増えたり減ったりした原因を示す書類

3つの決算書は役割の異なる独立した書類であるが、互いに連動しており、これらを全体的に見ることで、会社の経営状況を正しく把握できる。

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決算期を変更する際の方法と注意点

会社を創業した際に自由に決められる決算期だが、予定外の収益が一時的に発生したり役員報酬を改定したくなったりと、後から会社の状況や事情が変わってくることもあるだろう。そんなときは、手続きさえすれば後から変更することも可能である。

決算期を変更するためには、以下の手続きが必要である。

  • 臨時株主総会を開催し議事録を作成
  • 所轄税務署・都道府県税事務所・市区町村の役所等へ届出

多くの会社は事業年度を定款で定めているため、決算期を変更する際は株主総会を開催し、その議決権の3分の2以上の賛成を得なければならない。そして株主総会での決議の内容を記した株主総会議事録を作成する。

その後、所轄税務署・都道府県税事務所・市区町村の役所へ、「異動届出書」を提出する。事業年度は登記事項ではないため、決算期を変更しても法務局へ届け出る必要はない。許認可事業を行っている場合は、管轄する省庁等へも届出が必要となる場合がある。主要取引先や銀行などの金融機関にも決算期を変更した旨を連絡しておく。

決算期変更の手続きについて詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてほしい。

まとめ

今回は、決算期の決め方や概要から、決算書の作り方、読み方など決算関連の抑えておきたい知識を網羅的に解説した。日々の会計業務を「決算期にまとめてやろう」と後回しにしていると、いざ決算期がやってきたときにその業務量に気が遠くなるはず。会社のお金の流れを把握して適切に経営していくためにも、日々しっかり会計業務を行っておくことが大切である。今回の記事を参考に決算の知識を身に着け、決算期までに地道に会計業務を進めてほしい。

税理士・公認会計士コメント

2020年7月31日税務サポート