ストックオプションにかかる税金と、ストックオプション税制適格について

2020年8月4日

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「ストックオプションにかかる税金をなるべく減らしたい」と考えている経営者は多いだろう。ストックオプション制度は、条件を満たせば税制の優遇措置を受けることができる。知らずに損することがないよう、どのような条件で優遇措置を受けられるのかをしっかり理解しておきたい。今回はストックオプションにおける税金と税制適格の側面とストックオプション関係の節税対策、会計の際の注意点まで網羅的に解説していく。

本記事を読むメリット

  • ストックオプションにかかる税金制度に関して理解できる
  • ストックオプション税制適格に関しても把握できる

ストックオプション制度に関して

ストックオプションとは、会社法で定められた「新株予約権」のことを指し、会社全体の業績と連動する長期的なインセンティブ制度である。会社が従業員や取締役に対して、会社の株式をあらかじめ定めた価額である「権利行使価額」で将来取得する権利を付与する。

会社の従業員や取締役は会社の発展に貢献し、その見返りとして権利行使による利益を得られる。あらかじめ定められた金額と市場での株価との差額が大きくなるほど、得られる利益は大きくなる。

株式を自由に売ることができなければ、付与された側にメリットがあまりない。また成熟した起業は、株価が短期間で大きく上昇することはほとんどない。そのためストックオプション制度を有効に活用できるのは、既に上場している企業、もしくは将来的に株式上場を目指すベンチャー企業である。資金に余裕が無くても導入できるインセンティブ制度であり、特に創業初期のベンチャー企業から注目を集めている。

ストックオプションにかかる税金に関して

1x1.trans - ストックオプションにかかる税金と、ストックオプション税制適格について

ストックオプションに対しては、原則として2回課税される。1回目は権利行使時に、行使時の時価が権利行使価額を上回っている部分に対して「給与所得」として課税。2回目は株式売却時に行われ、売却価額と権利行使時の時価との差額部分について、「譲渡所得」として課税される。しかし一定の条件を満たした場合は、税制の優遇措置を受けられる。

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ストックオプションの税制適格について

ストックオプションは、税制の優遇措置の有無によって「税制適格ストックオプション」と「税制非適格ストックオプション」に分類される。それぞれの特徴をご紹介する。

税制非適格ストックオプション

税制非適格ストックオプションとは、税制の優遇措置を受けられないストックオプションのことを指す。ストックオプションの権利を行使したときの時価が、権利行使価格を上回った場合、その差額は「給与所得」となり、所得税が課税される。つまり、実際に手元に現金等の形で利益が入ってくる前の段階で課税されてしまう。また株式譲渡における売却価格と権利行使時の時価との差額の利益分については「譲渡所得」となり、所得税が課税される。

税制適格ストックオプション

税制適格ストックオプションとは、税制の優遇措置を受けられるストックオプションのことを指す。税制適格ストックオプションは、ストックオプションの権利行使をした際の課税がない。株式譲渡における売却価格と権利行使時の時価との差額の利益分については「譲渡所得」となり、所得税が課税される。つまり課税のタイミングが1回だけになる。

税制優遇措置を受けるためには、付与対象者要件や権利行使期間要件などの細かい条件を全て満たさなければならない。条件内容については以下で詳しく解説する。

税制優遇措置を受けるための要件

税制優遇措置を受けるためには、以下の全ての要件を満たす必要がある。

付与対象者について

  • ストックオプションの付与対象者が下記のいずれかに該当すること(ただし、未公開会社で発行済株式の3分の1超を保有する等の大口株主や、その配偶者等の特別関係者は除く)
  • 自社の取締役、執行役または使用人およびその相続人
  • 発行株式総数の50%超を直接または間接に保有する法人の取締役、執行役または使用人およびその相続人

権利行使期間について

  • 付与決議の日後2年を経過した日から付与決議の日後10年を経過するまでの間であること

権利行使価額について

  • 権利行使価格が、ストックオプションについての契約締結時の1株あたりの価額以上であること
  • 権利行使価額が年間1,200万円を超えないこと

ストックオプション関連の節税対策

税制優遇措置を受けるための要件をすべて満たすにはかなりの手間がかかり、税務署へ調書を提出する必要もある。担当者は、ストックオプション制度に関してしっかりと理解して、綿密に設計しなければならない。税金や会計の専門知識が必要とされるため、社内に詳しい人がいなければ税理士や公認会計士などの専門家に相談した方がスムーズかつ確実に節税することができる。

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まとめ

今回はストックオプションにおける税金と税制適格の側面とストックオプション関係の節税対策、会計の際の注意点まで網羅的に解説した。優秀な人材の確保のために効果的なインセンティブ制度であるが、その税務関係は複雑だ。要件を満たせば節税できるため、税理士や公認会計士などにアドバイスをもらいながらしっかり設計して導入したい。

ストックオプション関連の税金を支払った際に気になるのが、会計処理方法。ストックオプションの会計処理について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてほしい。

税理士・公認会計士コメント

ストックオプションは税制適格になるか否かで課税のタイミングと回数の相違もありますが、給与所得の所得税率(個人によって異なりますが最大で45%)と譲渡所得の税率(15%)が異なることから、キャッシュフローに大きな影響を与えます(税率はともに住民税、復興特別所得税は含まない)。そのためストックオプション発行時は税理士に相談することをお勧めします。また近年では発行時に対象者など決める従来型のストックオプション制度の他に、対象者を後で決められる信託型ストックオプションというものもありますので、選択肢の一つとして検討されるとよいでしょう。

2020年8月4日経営者の課題と解決策

Posted by shiorisakata