コインランドリー開業資金の内訳と失敗を避ける3つの要素
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近年需要が高まっているコインランドリー、その経営に興味のある方も多いだろう
ではそのサービスの内容、必要な資金や経費はどのくらいなのでろうか?
本記事では、コインランドリー経営に関心があるが開業費・収益性・維持費がわからない方に向けて、店舗の開業・経営に必要な資金やどのようにすれば経営を成功させることができるのかなどを詳しく解説する。
この記事を読むことで、経営するにあたって必要な要素を知ってもらい、開業方法の検討ができるようになるだろう。
目次
コインランドリーの開業資金と費用の内訳
コインランドリー経営に必要な開業資金の目安は、2000万円〜というのが一般的だ。
その内訳は以下の通り。
- 機器代(洗濯機や乾燥器など)
- 工事費用(看板工事やダクト工事・電気工事・給排水工事・その他内装工事など)
店舗のスタイルや規模感によってその費用は大きく変わってきますので、店舗規模別で具体例をご紹介する。
以下、小型店と大型店、プレハブタイプの3つに分けて初期費用と内訳を見ていきたいと思う。
10坪~15坪の小型店の初期費用と内訳
小型店舗の初期費用はおよそ2000〜2500万円だ。
10~15坪の小型店は病院やテナント内の小型のコンビニ程度の大きさをイメージすると分かりやすい。
費用の内訳は以下の通りだ。
- 機器:約1300万円
小型店舗に設置できる機器の数は、洗濯機が3〜4台、乾燥機が7〜8台程度と考えるとよいだろう。
- 内装工事:約700〜900万円
機器設置に伴う電気配線や給排水工事をメインに、看板やダクトなど一般的な内装工事を含めてこの金額だ。
50坪~の大型店の初期費用と内訳
大型店の初期費用はおよそ3000万円である。
駐車場付きのコンビニと同等の規模感で、実際にコンビニの跡地を利用することも多い。
費用の内訳は以下の通り。
- 機器:約2200万円
小型店舗の倍以上の広さなので、洗濯乾燥機3台〜、洗濯機2台〜、乾燥機10台程は必要になる。
- 内装工事:約800万円
作業内容は小型店舗と変わりないため、大きな金額差はなくおよそ800万円程度である。
プレハブタイプの初期費用と内訳
プレハブタイプの店舗の初期費用はおよそ3500万円である。
土地は持っていても建物がない、というオーナーが利用する場合が多いのがプレハブでの出店です。コンビニやスーパー等の駐車スペースに空きがある場合に設置することもできる。
費用の内訳は以下の通りだ。
- 機器+プレハブ代:約2500万円
機器代以外にプレハブ代金も必要である。
- 基礎工事:約500万円〜1000万円
土地の基礎工事や給排水引き込み、申請費などを合わせての金額だ。
開業後の維持費用と収益性
コインランドリーの維持費用、つまり運営資金は売上の50〜60%程度である
逆にいうと最終的な利益は40~50%になる。
コインランドリーは、前述のように初期投資は高額ですが、長期的に安定した収入を見込むことができる。
また、マンション投資などと比べても高い収益性の事業とも言われている。
ではこの2点について詳しく見ていこう。
コインランドリーの運営に必要な維持費用
コインランドリーの維持費用には、以下のようなものがある。
- 人件費
- 賃貸料
- 水道光熱費
- 洗剤などの消耗品費
店舗の規模や従業員数によって金額は変動しますが、必要な項目はあまり変わらない。
コインランドリーの収益率は売上40~50%と高い
コインランドリー維持に必要な費用の種類は前述の通りだ。
売上から費用を引いた収益は、およそ40~50%となる。
おおよその割合を見てみると以下のようになる。
- 人件費:0~8%
- 賃貸料:13~16%
- 水道光熱費:10〜30%
- 洗剤などの消耗品費:2%
以上を合計し、売上から差し引いた収益率はおよそ40~50%程度になることがお分かり頂けるかと思う。
コインランドリー開業のメリット・デメリット
ここでは、コインランドリー開業のメリット・デメリットを見ていきたいと思う。
メリット
コインランドリー開業のメリットは以下の通りでだ。
- 収益性が高い
- 安定した利益が見込める
- 副業に適している
それぞれ特徴を挙げると以下のようになる。
収益性が高い
- コインランドリーは無人での店舗運営ができるため、多くの業種において運営費用の大きな割合を占める人件費が不要
- 自己所有の土地やテナントで営業する場合、毎月の経費は水道光熱費と消耗品費のみ
- ランニングコストを抑えやすいため、高い収益が期待できる
安定した利益が見込める
- 「洗濯」は日常生活において欠かせない行動であるため、景気に左右されにくい
- アレルギーやウイルス対策、共働き世帯の増加によって年々需要がアップ
- 現金やプリペイドカードでの支払いが中心であるため、代金未回収のリスクが低い
副業に適している
- 店舗見回りや集金など業務が限られており店舗への常駐が不要
- きつい労働や接客が必要なく時間の有効活用ができる
- フランチャイズであれば必要な業務を代行してくれるためオーナーの負担はさらに減少
デメリット
逆に、デメリットは以下が挙げられるだろう。
- 高額な初期費用
- 競合が多い
高額な初期費用
- コインランドリーに欠かせない洗濯機や乾燥機は1台100万円前後することもあり、大型店舗であればかなりの台数が必要
競合が多い
- 年々需要が増加しているコインランドリーの経営は人気があるため、自分が開業を考えている地域に既に店舗があったり、開業後に近所に競合店ができる可能性がある
コインランドリー経営の成功を握る3つの要素
コインランドリーの経営を成功、つまり損益分岐点を超えるために必要な要素は以下の通りだ。
- 効率の良いランドリー機種選択
- 集客が見込める立地の見極め
- 競合店の分析とサービスの差別化
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ランドリー機種の選択
コインランドリーに経営で重要になるのが、最も効率の良い機種の選択です。客数に対して機械が多すぎてはいけないし、逆に少なくても機会ロスになってしまう。
また設備投資に同じ金額をかけても、洗濯機や乾燥機のメーカー、サイズなど選べる選択肢は多くある。
店舗の立地や客層によって、どのくらいの大きさの物を何台置くのか、操作性や機能が客層に合っているのかなど、開設時にしっかりと分析し、売上を最大化するために効率の良い選択をすることが必要だ。
集客の見込みと立地
コインランドリー経営を成功させるために、集客の見込める立地で開業することはとても重要だ。
例えば繁華街のど真ん中にコインランドリーがあっても、利用客は人通りの多い場所を汚れた洗濯物などを持って歩きたくはないだろう。
また、自宅の洗濯機ではサイズが小さく洗えない布団やカーペットなどを車で持ち込む利用客も多いが、駐車スペースが確保できていなかったり、駐車場から店舗が離れていると利用しづらくなってしまう。
繁華街ではなく集合住宅の多い地域、車で通いやすい場所かつ駐車場も入口の目の前にあることが理想的だ。
利便性を重視し、利用しやすい場所を選ぶとよいだろう。
競合分析とサービスの差別化
コインランドリーに限ったことではないが、競合店の分析とそれを踏まえたサービスの差別化は店舗経営においてとても重要である。
機種や洗剤の種類、照明などのインテリア、待ち時間を充実させるためのカフェの併設などに加え時代性を踏まえたキャッシュレス端末の導入など、洗濯・乾燥ができるという必要な要素をクリアした上で、他店には無いサービスで差別化を図ることが大切だろう。
コインランドリー開業は「FC加入・独立」のどちらがいいのか?
コインランドリー開業の方法として「フランチャイズ」「独立開業」2つの選択肢がある。
下記ではそれぞれのメリットをご紹介する。
FC加入するメリット
- 知名度の高い店名や看板を利用できる
- CMや広告などチェーン店ならではの販促活動を行える
- FC本部が培ってきた知識やノウハウに基づいた経営ができる
- 本部が仕入れや生産を行った、安心して使用できる消耗品を安価で購入できる
このように、本部のサポートや知名度を利用できることがフランチャイズ加入の大きなメリットだ。
独立開業するメリット
- オーナー個人の独自性やアイデアを反映でき、他店との差別化がし易い
- 休業日、営業時間などの自由度が高い
- 取り扱う商品やサービスなど、本部の経営方針に沿って行う必要がない
他店差別化や経営スタイルの自由度が高いという点で、フランチャイズ失敗のリスクを回避することができることが独立開業のメリットだろう。
まとめ:開業資金は面積次第、ただし極力抑えて開業すること
コインランドリー開業について、費用の内訳やメリット・デメリットなどお伝えした。
コインランドリーの開業資金は、店舗の面積に応じた機器の数量やサイズで大きく変わってくる。
立地や見込める客数に対して規模を広げすぎず、維持費も含め効率の良い選択を行うことが肝心だといえるだろう。
監修税理士・公認会計士からのコメント
コインランドリーの開業資金は一般的に2000万~3000万円ほどかかります。高い収益率が期待でき、副業としても人気があります。しかし初期費用が高額で利益が出るまでに時間がかかるので、会計管理をしっかりとしておきましょう。