軽減税率を分かりやすく解説!軽減税率の品目や企業の対策は?
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「軽減税率の対象商品はなにが当てはまる?」「軽減税率とはどのようなものなのか?」
2019年10月以降に施行された消費税の軽減税率だが、このような疑問を抱いている人もいるのではないだろうか。
軽減税率の対象品目は非常にわかりづらく、状況によっても異なるため、熟知するのは困難だ。
そこで本記事では、軽減税率の概要や対象品目を具体的に解説する。軽減税率を詳しく知りたい方は、ぜひ本記事を参考にして頂きたい。
法人の税金に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事を推奨する。
目次
そもそも軽減税率とは?
まずは、軽減税率について具体的に解説する。
軽減税率という言葉を聞いたことはあっても、その概要や実施されている理由を熟知している方もいるだろう。
軽減税率の対象品目を紹介する前に、まずは軽減税率について詳しく知る必要がある。
軽減税率の概要
軽減税率とは、2019年10月から施行された消費税の軽減税率制度のことである。
軽減税率の対象品目は、
①酒類外食を除く飲食料品
②新聞の定期購読料
となっている。
しかし、①酒類外食を除く飲食料品は、コンビニの「イートイン」などの普及により、外食か否かの判断は非常に難しくなっている。
また、「飲食店で購入した食べ物を家に持って帰る場合はどうか?」などの問題も発生し、飲食店店員の負担を増やしているのが現状だ。
軽減税率を実施する理由
それでは、このややこしい軽減税率を実施した理由を見ていこう。
軽減税率を実施した理由は、「全ての商品を消費税10%にすると買い溜めなどおこり、しばらく経済が停滞してしまう」と日本政府が考えたからだ。
事実、2014年に消費税が5%→8%に引き上げられた際は、それまで上昇傾向だった景気同行指数が低下している。引用:REUTERS
日本政府にしてみれば、「景気が後退するのは避けたい問題で、しかし増税もしたい」これらの問題を解決するために施行されたのが、この軽減税率なのである。
軽減税率の品目は?
軽減税率の概要や実施する理由が分かったところで、ここからは軽減税率の対象品目を見ていこう。
先ほども触れたように、軽減税率の対象品目は
①酒類外食を除く飲食料品
②新聞の定期購読料
である。
ここでは、例外なども含めて解説する。
酒類外食を除く飲食料品
軽減税率対象品目のひとつ目が、「酒類外食を除く飲食料品」だ。
これは、生鮮食品やミネラルウォーターといった「生活必需品」にあたる。軽減税率の対象品目のメインとも言えるだろう。
しかし、子供向けに販売されているおもちゃが付いているお菓子、「食玩」と呼ばれるものには、細かな規定が設けられている。
【食玩の軽減税率規】
①税抜き1万円以下であること
②触診の価格が全体の2/3以上を占めていること
この条件を満たしている食玩は、軽減税率の対象となる。
また、外食の線引きなどについては、後の章で詳しく解説しているので参考にして頂きたい。
新聞の定期購読料
新聞の定期購買も軽減税率の対象品目となる。
ちなみに、軽減税率の対象となる新聞の条件は以下の通り
①週2回以上発行されていること
②定期購買契約が結ばれていること
③電子新聞は対象外
新聞の定期購買が軽減税率の対象になる理由は、ニュースや情報の収集コストを減らすためとされている。
また、日本の活字文化の維持・普及にも新聞は欠かせないため、軽減税率の対象品目となった。
どこまでが外食?:あいまいな線引きを解説
ここからは、軽減税率の最大の問題とも言える、「対象品目の線引き」について分かりすく解説しよう。
軽減税率の対象となる飲食料品は、「人の飲食又は食用に提供されるもの」となっている。
したがって、ミネラルウォーターは8%、お風呂や洗濯などでも使用される水道水は10%なのだ。
ここでは、線引きがややこしい軽減税率の品目をまとめたので、参考にして頂きたい。
「みりん」と「みりん風調味料」
・みりん→10%
・みりん風調味料→8%
みりんに含まれるアルコールが1%以上であるため、みりんは酒類に該当する。しかし、みりん風味調味料はアルコール1%未満。こちらは酒類以外の飲食品となり、8%の対象となる。
「オロナミンC」と「リポビタンD」
・「オロナミンC」→8%
・「リポビタンD」→10%
オロナミンCとリポビタンDは、栄養ドリンクとして混同されがちだが、商品区分に違いがある。
オロナミンCは清涼飲料水であるため8%だが、リポビタンDは指定医薬部外品のため10%となる。
「映画館での飲食」と「カラオケ店での飲食」
・「映画館の売店で注文した食事や飲み物を映画館で飲食」→8%
・「カラオケ店で注文した食事や飲み物を店内で飲食」→10%
映画館の売店で購入したものを、映画を見ながら食べる場合は8%が適用される。これは、映画間では飲食スペースが設けられておらず、テイクアウトと判断されるからだ。
しかし、カラオケルームは飲食スペースとみなされ、軽減税率対象外の10%となる。
コンビニのイートインなどは利用する際は客が自己申告
また、コンビニで購入した食料品は軽減税率が適用されるが、イートインを利用してその場で食べる場合はどうなるのか。
結論は軽減税率が適用されず、10%となる。
しかし、コンビニ店員が利用客ひとりひとりにイートインの使用を尋ねるのは負担が大きい。
そこでイートインを使用する場合は、利用客自ら自己申告し、税率10%にしてもらうという方法がとられている。
企業の軽減税率対策は?
ここからは、企業の軽減税率対策を見ていこう。
軽減税率施行から1年以上経った現在では、企業・消費者とも軽減税率に慣れていることだろう。
しかし、これからお店を開店するという方はぜひ参考にして頂きたい。
起業に関してのロードマップを知りたい方は、こちらの記事を推奨する。
各企業で価格表示は異なる
軽減税率をどう価格表示するかは、各企業に判断が委ねられている。
例えば、100円のおにぎりを販売する場合、以下のような価格表示を検討して頂きたい。
①「持ち帰り」と「店内飲食」両方の税込価格を表示
例:おにぎり持ち帰り108円 店内飲食110円
②本体価格を調整し、「持ち帰り」と「店内飲食」の税込価格を統一
例:おにぎり110円
③「持ち帰り」と「店内飲食」どちらかの税込価格を表示
例:おにぎり108円(税込み)(店内飲食の場合は、税込価格が異なります)
④税抜きであることを明示したうえで、本体価格のみ表示
例:おにぎり100円(税抜き)
軽減税率の内容を熟知する
企業が軽減税率対策をする際は、軽減税率への理解が不可欠だ。
したがって、対象品目・仕入税額控除のための帳簿及び請求書等の記載事項、納税事務などの内容をしっかり理解しておく必要がある。
対応が必要な範囲を対策する
軽減税率の内容を理解し表示方法を決定したら、対応が必要な業務範囲の対策が急がれる。
具体的には、
・対象品目の価格表示決定
・事務手続きなどの確認や業務手順見直し
・会計システムの導入
・軽減税率に対応したレジの導入
・補助金の申請
などが挙げられる。
しっかりと確認を行えば、軽減税率のトラブル防げるので、細部まで確認することを推奨する。
まとめ:軽減税率を正しく理解しよう
今回は、2019年10月に施行された軽減税率を詳しく解説した。
おさらいしておくと、
・軽減税率とは、消費税の軽減税率制度のこと
・軽減税率の対象品目は「酒類外食を除く飲食料品」と「新聞の定期購読料」
・外食の線引きなど、曖昧な部分も多い
・企業の軽減税率対策は、内容を熟知するところから始める
軽減税率は、線引きなどが曖昧で理解するのに困難な部分も多い。
これから軽減税率対策をする方は、ぜひ本記事を参考に軽減税率への理解を深めて頂きたい。
監修税理士・公認会計士からのコメント
軽減税率というのは消費する側はもちろんのこと、生産する側の企業ももちろん知っておく必要があります。対応方法としては軽減税率に対応したレジや会計ソフトなどを導入するのがおすすめです。